マクロ経済と金融市場
13日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比383ドル(1.14%)高、ナスダック指数は236ポイント(1.9%)高で取引を終えた。
3月の米生産者物価指数(PPI)の伸びが市場予想を下回りインフレ鈍化が確認されたことで、金融引き締めペースの減速が意識された。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.1%高の3,0773ドルに。
世界的なインフレ高止まり(通貨安)や大手銀行の破綻に起因する信用不安、ウクライナ情勢をめぐる地政学リスクなどの影響で資金の逃避先需要が増加する中、代替資産として金(ゴールド)やビットコイン(BTC)相場に追い風となっている。
外為市場では、リスク性資産と逆相関するドル・インデックス(ドル指数)が102ポイント台を下方ブレイクするなど大幅続落しており、昨年の歴史的なドル高局面から一転している。
イーサリアム(ETH)は前日比11.03%高と高騰した。
1ETH=2100ドル台は昨年8月の高値2080ドルを上回る水準。昨年5月に発生したテラ(LUNA)ショック後では初となる。
大型アップグレード「上海(Shapella)」が無事成功したことに加え、ロック解除で売り圧力が強まるとの予想から増加傾向にあったショートポジションや持高調整後の買い戻しが反発を加速させたものと考えられる。
先物市場では急騰局面でショートスクイーズも確認されたが、年初来3番目程度の規模に留まった。
「FundingRate(資金調達率)はフラットで、特に過熱感は見られない。
Blockworks ResearchのアナリストであるMatt Fiebach氏は、「約1800万ETH(340億ドル)のETHが半流動的になるという警戒感もある中、エクスポージャーをヘッジ可能なデリバティブは複数あった」と指摘。市場はすでに先の見通しを織り込んでいるとの見解を示した。
TokenUnlocksのデータによれば、上海アップグレード後、初日にビーコンチェーンから出金されたETHの内、95%以上がステーキング報酬分だった。
これは、バリデーターの撤退行動を意味する「完全出金」ではなく、多くのユーザーが累積報酬分のみを引き出す「部分出金」を選択したことを意味する。
イーサリアムの開発者は、急激なネットワークの不安定化避けるため、1日あたりの解除可能なバリデーター数に「1,800(変動あり)」の制限を設けている。バリデーター条件の32ETHを踏まえると57,600ETHに該当するが、これは供給量の0.05%未満の水準に過ぎない。
オンチェーンデータでは、Shapella後に新規入金数96,000 ETHが確認されるも、約1日でステーキング残高は121,170 ETH純減していることから、相応の売り圧力は認められる。
詳細:イーサリアム(ETH)ステーキング報酬の出金状況と今後の見通しは?
リキッドステーキングプラットフォームの関係者は、「The MergeやShapellaアップグレードの影響で、イーサリアムのステーキングに対する機関投資家の関心増加に疑いの余地はない。今後数週間で出金数をはるかに上回る流入につながるだろう」と自信を示した。
根拠には、ステーキング・バーティカルの信頼性が高まり、出金および資金拘束を巡る不確実性が払拭されたことにある。
ステーキングをしながら代替トークンで資産運用可能なリキッドステーキングデリバティブ(LSD)の市場規模も昨今成長著しい。ステーキングされたETHの内、約6割がステーキングデリバティブプロトコルを利用しているとされる。
DeFi Llamaのデータによれば、LSD市場シェアの大半を占めるLido Financeの預け入れ総額を示す「Total Value Locked(TVL)」は、年初から9割以上増加して125億ドル(1.37兆円)に。Rocket Poolは112%増の9.7億ドル(1070億円)となった。
数年来のETH報酬を回収した多くのステーカーは、さらなる利回り獲得のため、LidoやFraxなどのリキッドステーキングプロバイダーへの再ステークに意欲的なことが想定される。一方、ETH2.0からアンステーク可能になったことは、強制ロック分を活用する分散型ステーキングプロトコル「Lido」の優位性を下げることを意味することから、競争率の激化に伴う勢力図の変化も着目されるところだ。
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暗号資産データプロバイダーNansenによると、出金リクエストのキュー(queue)にロックされた833,000ETHの内、2/3以上が暗号資産取引所クラーケンからのものだった。クラーケンは今年2月、米SEC(証券取引委員会)から無登録有価証券として提訴を受け、米顧客向けのステーキングサービス廃止を余儀なくされたものの、出金リクエストの実装待ちとなっていた。
クラーケンの参加者はステーキング継続希望者を含め強制解除される格好となることから、再ステーキング率は高いとの見方がある。
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