規制明確化めぐるSECの遅れを指摘
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは22日、米証券取引委員会(SEC)との裁判で、SECに対する反論を提出した。SECに規制明確化への請願文書に回答するよう求めることは正当だと主張している。
コインベースは現在、SECに対して限定的な訴訟を起こしているところで、書類はこれに関わるものだ。この裁判は、コインベースが2022年にSECに提出した「仮想通貨業界に関する規制の明確化を求めるペティション(署名文書)」への回答を要求することを趣旨としている。
控訴裁判所はSECに対して回答を出すよう命令したが、SECはこれを拒否。コインベースには政府機関に職務を遂行するよう命じる権利はなく、ペティションへの返答には然るべき時間がかかると返答した格好だ。
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今回、コインベースが提出した文書はこうしたSECの回答へ反論を示すものである。同社は、次のようにSECを批判した。
SECは、請願書(ペティション)への回答について、まったく目安となる期日を示していない。そうする代わりにSECは、コインベースからの請願書を無視しつつ、まさにその請願で提起されている問題をめぐって、仮想通貨業界に対する訴訟を続けるつもりでいる。
こうした行為は、コインベースの請願を「積極的に検討しているところだ」というSECの主張が偽りであることを示すものだ。
請願書は、「実行可能な仮想通貨規制枠組みの構築」をSECに求めるものだった。コインベースは、SECが、再三にわたる請願にも関わらず、そうした枠組みやガイドラインを示しておらず、恣意的に仮想通貨業界に対して訴訟を起こしてきたと批判する形である。
コインベースは、次のように続けている。
SECは、ある仮想通貨が「有価証券」であるかどうかを判断するための基準を示す規則を公布したり、必要な場合に事業を登録するための実行可能な方法を示したりすることを拒否している。
こうした拒否は、司法の立場からその是非を審査されるべきだ。
SEC(証券取引委員会)とは
1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。SECは「Securities and Exchange Commission」の略で、日本では「証券取引等監視委員会」が近い役割を担っている。
▶️仮想通貨用語集
「SECは業界からの請願を無視してきた」
コインベースは、SECのゲイリー・ゲンスラー委員長による「(仮想通貨に関する)規則はすでに公開されている」という公的発言を引用。この発言は、SECは当面規制策定を行うつもりがないことを示すと指摘した。
また、SECがコインベースに対して、執行措置を起こす予定であることを示す通知(ウェルズ・ノティス)を発行したことにも言及している。
こうした通知を発行すること自体、SECが、既存の証券法で充分であり、仮想通貨をめぐる追加の規則制定は不要だと信じていることを前提としていると申し立てた。
SECが、明確な規則制定を求める業界からの請願を無視していることを、様々な角度から指摘した形だ。
コインベースの海外展開
コインベースは、米国の不透明な規制を理由の一つとして、海外市場での事業にも力を入れ始めている。特に、シンガポール、ブラジル、カナダ、アブダビ、バミューダなどの市場で取り組みを進めているところだ。
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