旧ソ諸国へのサービス展開を構想
暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitは26日、カザフスタンで現地の当局から事業についての原則的な承認を得たと発表した。
今後、申請プロセスが完了した暁には、カザフスタンのアスタナ国際金融センター(AIFC)で仮想通貨取引所を運営し、カストディサービスを行うことも許可されるとしている。
BybitのBen Zhou CEOは、次のようにコメントした。
アスタナ国際金融センターから原則的な承認を受けたことを嬉しく思う。私たちは、独立国家共同体(CIS)の可能性を信じており、当社の世界レベルの取引プラットフォームを、この地域の仮想通貨投資家のために開放することを切望している。
カザフスタンを、CIS市場に向けた窓口とも捉えている格好だ。CISには、ロシア、ベラルーシをはじめとする国々が加盟している。Bybitは、CISが「仮想通貨とブロックチェーン技術の導入において目覚ましい進歩を見せている」と述べた。
独立国家共同体(CIS)とは
ソ連崩壊を受けて独立した共和国からなる共同体。経済、軍事面での協力機構である。当初はロシアをはじめバルト3国を除く12カ国が加盟していたが、現在はジョージアが脱退しており、ウクライナも絶縁状態にある。
▶️仮想通貨用語集
Bybitは、カザフスタンのアスタナ国際金融センター(AIFC) はCIS諸国において、フィンテックや仮想通貨の規制枠組みでリードしていると指摘。規制の枠組みに沿った運用を行い、カザフスタンでの存在感を高めていきたいとも続けている。
カザフスタンの状況
カザフスタン政府は、大手仮想通貨取引所バイナンスとも協力しながら、デジタル化政策を進めているところだ。仮想通貨関連規制の整備も開始している。
今年4月1日より、仮想通貨の発行者にライセンス登録を課し、マネーロンダリングやテロ資金調達を防止する法律の下で監視する法律が施行されている。
カザフスタンは、中国政府による取り締まり強化後、仮想通貨マイニング事業者の移転先の一つともなってきた。22年1月時点では、カザフスタンのビットコイン・ハッシュレートは世界3位(約13%)に急成長している。
ただその後には、政府が電力不足を背景に、マイニング事業者への電力供給を制限。2023年5月にはグローバル・ハッシュレートに占める割合は約4%にまで低下している。
2022年1月から、仮想通貨採掘に利用される電力に対して1kWhあたり1テンゲ(0.3円)の税金を課しており、2022年には約9.3億円の税収があった。
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ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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ロシアの動き
独立国家共同体(CIS)加盟国の中では、特にロシアで仮想通貨に関する動きが活発化している。
仮想通貨取引プラットフォームを規制するルールを導入することや、仮想通貨マイニングに法的な根拠を与え、実験的な体制の下で、仮想通貨を使った国際決済などを認めることも検討されているところだ。