仮想通貨マイニングへの課税強化
カザフスタン政府は、2022年にビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)のマイニング事業者から約9.3億円(30億7,000万テンゲ)の税金を受け取った。現地メディアHALYQUNIが報じた。
テンゲ(KZT)はカザフスタンの法定通貨。
カザフスタンでは、2022年1月1日から、仮想通貨マイニングに利用される電力に対して1kWhあたり1テンゲ(0.3円)の税金を課す法律が施行されているところだ。
なお、2023年については、4月27日までに約7,300万円(2億4,000万テンゲ)の納税があった。
カザフスタンにおけるマイニングの状況
中国政府が2021年にマイニング事業に対する取り締まりを強化したことから、カザフスタンはマイニング事業者の移転先の一つとなった。課税強化の背景には、21年にマイナーの電力使用が急増した影響でカザフスタンの電力不足が深刻化し、国民の不満が高まったことなどがある。
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英ケンブリッジ大学傘下のCCAF(Cambridge Center for Alternative Finance)の統計によれば、22年1月時点で、カザフスタンのビットコイン・ハッシュレートは世界3位(約13%)に成長。
だがその後、政府が仮想通貨マイニング事業者への電力供給を制限したことなども受けて、2023年5月には世界のハッシュレートに占める割合が約4%にまで低下しているところだ。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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規制強化
カザフスタンでは、仮想通貨に対する規制が強化されている。
まず、新たな法案では、脱税の可能性を減らすための措置として、マイニング事業者は、ライセンス登録された仮想通貨取引所を通じて、採掘した仮想通貨を売却しなければならない。
導入時期としては、事業者は、2024年には採掘した仮想通貨の50%を、2025年には75%を売却することが義務付けられる格好だ。
さらに、仮想通貨の発行者についてライセンス登録を課し、マネーロンダリングやテロ資金調達を防止する既存の法律の下で監視対象とする法案も、今年4月1日より施行されている。
規制を進める一方で、カザフスタン政府は大手仮想通貨取引所バイナンスの協力の下、デジタル化政策にも取り組んでいるところだ。
バイナンスは、カザフスタンが中央銀行デジタル通貨(CBDC)をテストするために独自ブロックチェーン「BNBチェーン」の環境を提供して支援を行っていく。2月に発表されたレポートによると、すでに「デジタル・テンゲ」は、消費者や加盟店が参加するパイロットテストを行う段階にあるとされる。
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CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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