有価証券問題めぐる訴訟で新たな申し立て
米証券取引委員会(SEC)は7日、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースに対する訴訟で新たに書類を提出した。
コインベースが、その行為が証券法に違反する危険性を認識していなかったと主張していることについて懐疑的な姿勢を示している。
また、SECが2021年にコインベースの新規株式公開を承認したことは、コインベースのすべての事業慣行を正当と認めることを意味するものではないとも主張した。SECは、次のように述べている。
上場する前、コインベース自体が、同社のプラットフォームにおける仮想通貨の販売が有価証券の取引となるかどうかを評価するために、ハウィーテストに依存していた。コインベースは、上場決定の根拠として、この法的枠組みを採用したのである。
さらに、コインベースが、仮想通貨発行体に対して、伝統的に証券と関連付けられてきたような、「問題のある記述」を行わないよう勧告していたと指摘した。
また、コインベースが株主に、プラットフォームで取引される仮想通貨が当局より証券とみなされるリスクがあると繰り返し伝えてきたとも申し立てている。こうした行為は、コインベースが、自社の事業に証券法が適用される可能性を認識していたことを示すと述べる形だ。
ハウィーテストとは
米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。これ自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対してリーガルアクションを起こした経緯がある。
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ハウィーテストの解釈で異論
SECは、ハウィーテストの解釈についても、コインベースに異論を唱えた。
コインベースは、先に提出した申立書で、証券を定義する「投資契約」は、利益を生み出すための契約上の取り組みや、経営陣が投資家に対して負う、法的強制力のある義務がない場合には当てはまらないと主張していた。
「資産販売」である仮想通貨取引を通じてユーザーが受け取る利益は、ユーザーが購入する仮想通貨に内在するものであり、「投資契約」から生み出されるものではない。つまり、そうした売買取引は証券取引ではないとしている。
また、SECによる、最近の過剰な規制以前には、「投資契約」を単独の資産売却に適用するように解釈した判例は存在しなかったとも指摘していた。
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これに対してSECは今回、仮想通貨取引所プラットフォームなどの流通市場で仮想通貨を購入する場合でも、購入者は、その仮想通貨事業の進展から利益を得るという期待を抱くため、それは証券取引に当たると反論している。
コインベース側の反応
コインベースのポール・グレワル最高法務責任者は、今回のSECの申し立てについて、前とほぼ同じ主張を繰り返しているだけだとして以下のようにコメントした。
After Coinbase gave notice of it intent to move to throw out their case, we consented to a few extra days for the SEC to explain why it intends to oppose. They’ve now filed and, sadly, it’s more of the same. 1/6
— paulgrewal.eth (@iampaulgrewal) July 7, 2023
SECは、投資契約には何よりもまず、投資家が証券などの発行者に対して強制力のある権利を持つという、ハウィー事件における判決の要件を無視している。(証券性をとなえるには)単にお金などを投資する以上のことが必要だ。
SECは、(事業内容を確認していないのであれば)コインベースに上場を許可した際に、公益と投資家保護を十分に考慮するという義務を無視していたことになる。
地方裁判所のポーク・ファイラ判事は、弁論を検討して数日以内に判決を下す予定だ。