CoinPostで今最も読まれています

Visaが描く決済の未来とは 従来型とWeb3型が共存する時代へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ブロックチェーンは「ブロードバンド時代」へ

決済大手Visaの暗号資産(仮想通貨)部門のトップCuy Sheffield氏は6日、公式ブログでインターネットの黎明期に言及。今まさに「ブロードバンド時代」を迎えようとしているブロックチェーン技術が、今後大きく発展する可能性を確信していると語り、同社が想定する将来像を紹介した。

Sheffield氏は、その黎明期には誕生したばかりのインターネットを「将来性のないハイテク・プロジェクトにすぎない」と軽んじる傾向は珍しくなかったと指摘。「遅くて信頼できず、不恰好で使い勝手の悪い」当時のインターネットやブラウザからすると、その評価も無理からぬものだったと述べた。

しかし、インターネットを支えるオープンソース技術は進化を続け成熟していく。ブロードバンド、Wi-Fi、3G接続によるネットワーク性能の拡張、スマートフォンの登場と消費者向けの様々なアプリ開発などの相乗効果により、インターネットは発展し今日に至る。

今日、インターネットは宇宙からライブビデオをストリーミングできるほど速く、多くの場所で無料になるくらい安く、6歳の子供でも簡単に使えるようになった。

Sheffield氏は、初期のインターネットと今日のブロックチェーンには類似点があると指摘。批評家は「ブロックチェーンは遅すぎるし、使いにくすぎる上に、高すぎる。ユースケースもない」と批判しているが、インターネットに対する批評を思い起こさせると語る。

Visaはインターネットの黎明期にその可能性を見出し、発展をサポートする上で大きな役割を果たしたと同氏。そして今日、同社はブロックチェーン・ネットワークに大きな可能性を見出しており、様々な未来が想定できるとして、現在取り組んでいるユースケースについて紹介した。

ステーブルコインによるグローバル決済

Visaは5日、加盟店契約会社(アクワイアラ)へのステーブルコインUSDCによる決済機能を、ソラナ(Solana)ブロックチェーンに拡大すると発表した。

Visaは2021年からイーサリアム(ETH)基盤のUSDCによる決済の試験を開始。Crypto.comとの試験運用を経て、イーサリアム上での実装を果たした。今回、ソラナを選んだのは「高速で手数料が極めて安い」ためだという。

関連:VisaがソラナでUSDC決済対応へ

Sheffield氏は、Visaのネットワークが今後、「複数の通貨や銀行の決済ネットワークだけではなく、複数のブロックチェーンネットワークやステーブルコイン、CBDC、トークン化された預入金」を支える未来を想像していると語る。

Visaの役割は、「優先される通貨、決済ネットワーク、電子機器の仕様・規格に関わらず、ユーザーのニーズに対応することだ」と同氏は主張し、次のように述べた。

我々は、伝統的な法定通貨と旧来の決済ネットワークが、グローバルな24時間365日リアルタイムのブロックチェーン・ネットワーク上で機能するトークン化された法定通貨と、共存する時代が長く続くと予想している。

様々な新機能の実験

Visaは、積極的にブロックチェーン技術を活用した決済サービスの導入に取り組んできた。また、様々な先進的な実験も行なっている。

今年2月には、仮想通貨決済サービスを提供するWirexと新たなパートナーシップの提携を発表。英国を拠点として仮想通貨決済アプリを提供するWirexは、世界40カ国以上で仮想通貨対応のデビットカードとプリペイドカードを発行できるようになる。

関連:Visa、仮想通貨決済のWirexと戦略的パートナーシップ締結

今年5月には、イーサリアムのERC-4337「アカウント抽象化」という仕組みを使った実験を行い、報告書を公開した。

アカウント抽象化とは「スマートアカウント」とも呼ばれ、ユーザーがアカウントでスマートコントラクトを使用可能にするブロックチェーン技術で、高度な支払い機能を利用できる。今年3月にイーサリアムのメインネットに実装された新しい機能だ。

この実験には、Visa独自のスマートコントラクト「Paymaster」を使用。Paymasterは、取引をカスタマイズしたり、ユーザーがスマートコントラクトとやり取りする際のガスの支払い処理など、アカウント設定の管理を可能にする。

関連:Visaのイーサリアム実験報告書、「アカウント抽象化」による取引機能を探求

直近では8月に、イーサリアム・ブロックチェーンのガス代を、カードを使って法定通貨で支払えるようにするための実験を行った。

同社はブロックチェーン技術は決済分野で大きな可能性を秘めている一方で、ガス代の支払いのためにネイティブ通貨が必要となるなど、従来の決済にはない複雑さもあると指摘。ガス代の支払いを、カードでコーヒーを買うのと同程度に簡略化することで、ユーザー体験の向上を目指す。

関連:イーサリアムのガス代をカードで支払い Visaが実験を実施

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/19 木曜日
17:48
「SECの仮想通貨規制は市場混乱を招く」米下院公聴会で厳しい批判
米国下院金融サービス委員会の公聴会で、証券取引委員会は「仮想通貨市場に更なる混乱と不確実性をもたらした」として、厳しく批判された。元SEC委員の証言では、議会主導の包括的な規制枠組みの必要性が強調された。
17:39
ゼロ知識証明の利点と課題:汎用性の高さと多彩なユースケース|WebX2024
WebX2024で業界トップの専門家が、ゼロ知識証明の可能性について語った。スケーラビリティ、プライバシー、セキュリティの向上から、AIや金融分野での革新的応用までの幅広いトピックで意見を交換した。
14:30
テザー社、これまでに不正ウォレット凍結で160億円を回収 市場シェアは75%に到達
テザー社が不正資金対策の成果を報告。世界180の当局と協力し、1,850以上のウォレットを凍結。USDTの市場シェアは75%に拡大。
14:08
FOMC後に上昇加速したビットコイン相場をプロが解説|寄稿:仮想NISHI
米連邦公開市場委員会(FOMC)後に上昇した暗号資産(仮想通貨)相場の今後の展望は? ビットコイン相場とデリバティブの最新データについて、SBI VCトレードのアナリスト「仮想NISHI」が解説した。
13:20
ソラナスマホ「チャプター2」、「Solana Seeker」へと改名 Helium無料サービスなど搭載
ソラナラボ傘下のスマホ子会社「Solana Mobile」は19日、二代目のスマートフォン「チャプター2」を「Solana Seeker(ソラナシーカー)」へとリブランディングしたことを発表した。
12:55
Bitgetら2社、TONへの42億円の投資を発表
TONエコシステムの発展を支援することを目的に、BitgetとForesight Venturesが42億円の投資を発表。仮想通貨TONを大口保有者から入手することで投資を行うという。
11:20
三菱商事のDREAMが推進する不動産投資、トークン化されたSTファンドの新たな展開
ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社、みずほリース株式会社、およびエムエル・エステート株式会社は18日に、適格機関投資家向け不動産STOファンドを組成した。
09:45
米SEC、仮想通貨DeFiプラットフォームRari Capitalと和解
SECがRari Capitalの利回りサービスの問題点を告発・和解。未登録ブローカー活動や誤解を招く宣伝などで和解に至った経緯を解説。
08:25
米FRB、0.5ポイントの大幅利下げを決定
米FRBはFOMCの会合で0.5ポイントの大幅利下げを決定。金融政策の転換がビットコインなどの仮想通貨相場の追い風となるか注目が集まっている。
08:05
米国初、ルイジアナ州政府 ビットコインライトニングに対応 
ビットコインの支払いの仕組みについては、政府間取引のための仮想通貨変換サービス「Bead Pay」によって米ドルに変換される。政府としては、ビットコインを直接保有したりしない。
06:55
トランプ氏、ニューヨークのバーで初めてのビットコイン決済
米国のドナルド・トランプ前大統領は18日、大統領選に向けたキャンペーンで、ニューヨーク市のバー「PubKey Bar」を訪問し仮想通貨ビットコインを使ってチーズバーガーを購入した。
06:20
仮想通貨ALEOとZETA、コインベースへ新規上場 価格高騰
仮想通貨取引所大手のコインベースは19日、2銘柄の新規上場を発表した。ZETAは価格が高騰している。
09/18 水曜日
16:52
「ビットコインはリスク資産ではない」ブラックロック幹部が指摘
ブラックロックのデジタル資産責任者が、ビットコインの誤った認識を指摘。リスク資産ではなく非相関資産であると主張し、機関投資家教育の重要性を強調した。
14:00
シンガポール最大銀DBS、仮想通貨オプション提供へ
年内に提供か シンガポール最大の銀行であるDBSは17日、2024年第4四半期(10〜12月)から機関投資家と富裕層向けに暗号資産(仮想通貨)のオプション取引と仕組み債を提供す…
12:50
Wintermute、米国選挙の予測市場開始へ トランプとハリストークンを上場
Wintermuteが米国選挙予測市場をまもなく開始する。イーサリアムなど複数ブロックチェーン対応。トランプ氏とハリス氏の勝利予測動向も解説。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア