サム前CEOの伝記が映画に
テクノロジー大手Apple(アップル)社は、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリード前CEOをテーマにした本の映画化権を獲得した。The Anklerが報じた。
情報筋によると、落札価格は約7億円(500万ドル)だったとされる。
この本は、米国のジャーナリストでベストセラー作家マイケル・ルイス氏の「Going Infinite: The Rise and Fall of a New Tycoon(無限へ:新たな富豪の興亡)」と題されたものだ。10月3日に出版される予定である。
ルイス氏はフリード氏に対して一年間取材を行い、その台頭からFTXの破綻、フリード氏逮捕と一連の出来事を目撃した。稀にみる高額の落札価格は「Going Infinite」が話題になると見込まれていることを示唆している。
ルイス氏は、2015年のヒット映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」の原作者としても有名だ。「Going Infinite」についても映画化が予定されていることになる。
アップルが、この映画をストリーミングサービスでリリースするのか劇場公開するのかはまだ明かされていない。アップルは、定額制の動画配信サービス「Apple TV+」を運営している。
様々な映画化プロジェクトが始動
フリード氏に関しては、これまでに合計で少なくとも8つの映画プロジェクトがハリウッドで進められていると報告されている。
例えば、アマゾン・プライムでも、マーベルの「アベンジャーズ」を監督したジョー&アンソニー・ルッソ兄弟が、FTXのミニシリーズを担当するという。
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それに加えて、ナネット・バースタイン監督による映画の制作も進行中だと伝えられているところだ。バースタイン監督は、ウイルス対策ソフトの先駆者であった故ジョン・マカフィー氏や、米国務長官を務めていたヒラリー・クリントン氏に関する映画を手がけていることで知られている。
創設からわずか2年で業界の代表的な大手取引所に成長したFTXが破綻し、フリード氏がマネロンや電信詐欺などの疑いで逮捕されるという変転は、世間の注目を集めるものだった。
また、フリード氏の独特の髪型や服装、言動も映画やドラマと親近性があると考えられた可能性もある。
FTXとは
SBF氏が率いていた仮想通貨取引所。2019年の創設後、急速に頭角を表し、業界最大手バイナンスに次ぐ大手取引所へと成長していた。その後に経営破綻し、11月に米国で破産申請を行なっている。
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初公判が延期となる可能性
書籍の発売予定日10月3日は、当初フリード氏に対する公判開始の日として設定されていた。
現在、フリード氏側の申し立てにより、この期日が5か月延期になる可能性が浮上している。
フリード氏の弁護士は、フリード氏は裁判に向けて証拠を検討する必要があるが、メトロポリタン拘置所がそうした証拠を収めたハードドライブをまだフリード氏に提供していないと述べた。
ニューヨーク地裁のカプラン判事は、「真に予期されていなかった必要性が生じた」ことを証明できる場合には、オンライン審理の開始を延期することも可能だとしているところだ。
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