全てのミントを停止
暗号資産(仮想通貨)テラ・クラシック(LUNC)コミュニティは、ステーブルコインUSTC(テラ・クラシックUSD)の全てのミント(発行)及び再ミントの停止案を決定した。21日に締め切られたコミュニティ投票では、約59%が賛成票を投じ、USTCのmint(鋳造)および再mintを停止する提案が可決された。
LUNCコミュニティは、USCTの供給量を削減するためのバーン活動に参加しているが、今回USTC発行を終了することでUSTCの新規供給を止め、米ドルとUSCTの再ペッグを確立するための取り組みが強化される。
コミュニティはまた、大手仮想通貨取引所バイナンスに対し、USTCをバーンするよう依頼する提案を可決した。提案によるとバイナンスは現在、50%のテラ・クラシックトークンLUNCを毎月バーンしているが、残りの50%をUSTCのバーンに割り当てるよう働きかけることになる。
バーン(焼却)
仮想通貨を出金不可能なアドレスに送付し、発行枚数を減らす行為。バーンをすることで、流通する通貨の一枚あたりの価値が高まることになる。株式の「自社株買い」に似た供給量を減らす仕組み。
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エコシステムの崩壊から再興を目指す
旧テラ(LUNA)は、アルゴリズム型ステーブルコインのブロックチェーン決済ネットワークとして開発されたが、旧TerraUSD(UST)は、2022年5月に米ドルとの価値との乖離(デペッグ)が発生し暴落。数日間のうちに99.99%の価値を失った。裏付け資産であった旧LUNAも大きく影響を受け、両方が暴落していくデススパイラルに陥った。
デペッグ騒動から復興を目指すテラは、新しいテラチェーンとなるテラ2.0の作成(ステーブルコイン発行なし)をコミュニティ投票で可決し、旧チェーンはテラ・クラシック(LUNC)とリブランディングされ、継続することとなった。ステーブルコインUSTは、新たにUSTCとしてテラ・クラシック・チェーン上に引き継がれて今日に至る。
しかし、暗号資産(仮想通貨)業界を揺るがしたデペッグ騒動の影響による負の遺産はとてつもなく大きい。
USTの米ドルの価値とのペッグ(連動)維持のためには、UST価格に基づき、LUNAトークンを発行したり、バーンしたりすることで供給量を調節するアルゴリズムが使用されていた。UST価格が1ドルを超えると、LUNAをバーンすることで1USTを入手できる一方、UST価格が下落した場合は、1USTを1ドル相当のLUNAと交換できる仕組みだ。
そのため、USTが下落するほど大量のLUNAが発行され、市場で売却されることになる。実際、デペッグが発生すると、LUNAの流通量は22年5月8日時点の3億4000万枚から5月13日に6兆枚強まで増加した。
バーンされたLUNCの量を追跡するLUNC Metricsによると、コミュニティがこれまでにバーンしたのは約750億LUNCのみで、流通している約5.8兆LUNCの約1.3%に過ぎない。ペッグの再確立を目指すUSTCの価格は執筆時現在、0.01264210ドルとなっている。
LUNCコミュニティは、トークン発行停止によって、LUNCのバーンを促進し価値を高めることで、USTCの価値回復を目指しているが、復興への道のりは長く、険しいものになりそうだ。
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米SECが創設者を提訴
米証券取引委員会(SEC)は今年2月、崩壊したテラエコシステムを運営していたTerraform Labsと、その創設者であるDo Kwon氏を、証券詐欺を指揮したとして提訴した。
ステーブルコインUSTおよび仮想通貨LUNAがほぼ無価値同然となり、市場では合計約5.9兆円(400億ドル)以上の価値が失われた。
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韓国の捜査当局は昨年9月、資本市場法違反の容疑でKwon氏に逮捕令状を発行。その後、国際刑事警察機構(インターポール)の国際指名手配リストへの掲載手続きを開始しするとともに、韓国外務省に対して、同氏のパスポートを取り消すよう要請した。
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Kwon氏は3月、偽造書類を用いてドバイへ渡航しようとしていたとしてモンテネグロで逮捕され、現在服役中だが、米国と韓国は同氏の身柄引き渡しを求めている。