はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ステーブルコインとマネーマーケットファンドの「取り付け騒ぎ(ランリスク)」とは? 金融安定性への影響を分析ー米NY連銀

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

より安全な資産への逃避行動

米ニューヨーク連邦準備銀行は26日、ステーブルコインのリスクに関するレポートを発表した。ステーブルコインの主要な金融市場との相互接続が強まれば、金融システムにとって不安定要因となる可能性があると結論付けている。

ステーブルコインは、ブロックチェーン技術を利用して発行される仮想通貨。準備金の担保により、その価値が一定の資産(通常は法定通貨、例えば米ドル)に連動するよう設計されている。米ドル連動型ステーブルコイン(例:USDT、USDC)が、市場シェアの大部分を占める。

ニューヨーク連銀のレポートは、ステーブルコインとMMF(マネーマーケットファンド)が類似の特性を有していると指摘。両者とも、投資家が安全性を求めて集まる資産クラスである。市場にストレスが発生すると、投資家はよりリスキーなファンドやステーブルコインから、より安全とされるものへと資金を移動させる。この動きは、「ラン(取り付け騒ぎ)」と呼ばれ、両者に共通するリスクの一つである。

レポートによれば、MMFではランリスクが主にリスクの高いプライム・ファンドで発生し、ガバメントファンドへと資金が流れるのに対し、ステーブルコインでは異なる種類のコイン間でランが観察されている。

具体的には、2022年に起きた旧テラエコシステムの暴落や、2023年のシリコンバレー銀行破綻のような、仮想通貨市場でストレスが高まった時期を分析。レポートの著者らは、ステーブルコインが伝統金融を脅かす要因について、以下のように警笛を鳴らしている。

我々の調査結果は、ステーブルコインは仮想通貨市場の大きな混乱期だけでなく、それぞれ特有な性質を持つストレスイベント時にも暴落しやすいことを示している。

ステーブルコインが成長を続け、短期資金調達市場などの主要な金融市場との相互接続が強まれば、より広範な金融システムにとって金融不安定の要因となる可能性がある。

マネーマーケットファンドとは

投資家に安全かつ安定した収益を提供するために利用される投資ファンドの一種。1株あたりの純資産価値を1ドルに保つことを目指す。プライム・ファンドは、銀行の短期の証券や商業用紙(CP)など、企業の短期資金需要に投資するMMF。ガバメント・ファンドは、主に国債などの公的セクター発行の証券に投資する。

▶️仮想通貨用語集

関連USTディペッグ騒動の引き金とは、ブロックチェーン分析企業Nansenの調査レポート

ステーブルコイン間の逃避行動

ニューヨーク連銀のレポートによれば、ステーブルコインの準備金を管理する銀行が経営危機に陥った場面で、投資家がリスクの高いステーブルコインから資金を引き上げ、安全性の高いステーブルコインに資金が流入する動き(flight-to-safety:低リスク資産への逃避)が起こり得る。

実際、2023年3月にシリコンバレー銀行が経営破綻した時にこれが現実となった。流通総額6兆円(当時)のステーブルコインUSDCoin(USDC)の発行元である米サークル社は、準備金の現金保有分の約25%をシリコンバレー銀行を含む6つの銀行パートナーで管理していた。

サークル社は3月11日、シリコンバレー銀行で約4,450億円の電信送金が未処理のまま残されていることを公表。一時的にUSDCの価格は0.9ドル以下まで下落した。準備金へのアクセスが停止したことで現金償還の義務を果たせなくなるリスクが高まる。これを危惧した投資家はいち早くUSDCから、他のステーブルコインへ価値を逃がした格好だ。

FRBのレポートは、USDCから流出した資産の大部分が、他のステーブルコイン「USDT、TUSD」に流入したと分析している。

なお、USDC価格は13日には米ドルと同価値に回復している。サークル社のジェレミー・アレールCEOは、「USDCの準備金は100%安全であり、シリコンバレー銀行に預けている現金については、BNYメロン銀行へ移管する」と説明した。

関連米サークル社CEO、ステーブルコインUSDC準備金の安全性を強調

レポートはまた、ステーブルコインの価値が1ドルから少しでも落ちると、人々はそのコインを手放し、他の資産に換えようと急ぐ傾向があると指摘した。そして、この動きはそのステーブルコインの価値が99セントになった時点で、特に速くなると推定されている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/05 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、BTC20万ドル到達分析や米国でXRPなどのETF個別申請が不要になど
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン1700万円台後半に回復、米政府機関閉鎖で逃避資金流入|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコイン円相場は1775万円周辺まで反発。米政府機関閉鎖による逃避資金流入と利下げ期待の復活が支援材料に。ドル建て12万ドル回復で史上最高値更新の可能性を解説。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|自称「IQ276」投資家のBTCへの全財産転換に高い関心
今週は、自称IQ276の投資家によるビットコインへの全財産転換、米政府閉鎖による仮想通貨ETF承認手続き停滞、バイナンスによるビッグトレンド分析に関する記事が最も関心を集めた。
10/04 土曜日
13:30
仮想通貨強気相場を加速か? トランプ米大統領が最大2000ドルの給付金を検討
米国のトランプ大統領が関税収入を基に最大2,000ドルの国民給付金を検討している。コロナ禍では給付金がビットコイン上昇を後押ししており仮想通貨市場への影響が注目される。
11:40
ビットコインマイニング大手MARA、BTC保有量が1兆円に迫る
Maraが発表した9月の生産実績によると、218ブロックを獲得し前月比5%増を記録した。ビットコイン保有量は52,850BTCに達し、上場企業の中でストラテジーに次ぐ第2位の保有額。
11:05
ウォルマート傘下のワンペイ、仮想通貨取引機能を年内追加へ
ウォルマートが過半数を所有するフィンテック企業ワンペイが年内にモバイルアプリで仮想通貨取引とカストディサービスを開始すると報じられた。
10:15
ビットコイン現物ETFへの週間流入が3300億円到達、「アップトーバー」の兆しか
米国の仮想通貨ビットコイン現物ETFへの週間流入額が3,300億円に到達した。過去データから10月の上昇傾向「アップトーバー」が注目されている。
09:50
テザーなど、金トークントレジャリー設立で2億ドル調達へ=報道
テザーとアンタルファがトークン化ゴールドを蓄積するトレジャリー会社設立のため2億ドル以上の資金調達を協議中とブルームバーグが報じた。
08:30
ビットコイン円建て史上最高値更新、米政府閉鎖で逃避資金が集中|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは4日、円建てで史上最高値を記録。米政府の閉鎖によって「無国籍資産」としてのビットコインの存在感が強まり、投資家心理は極めて強気である。
07:50
コインベースが連邦信託認可を申請、決済サービス拡大の狙いで
仮想通貨取引所大手コインベースが3日に通貨監督庁に国家信託会社認可を申請したと発表した。カストディ事業を拡大し決済関連サービスを提供する計画で、銀行になる意図はないと明言。
07:42
コインベースとSamsung、Galaxyスマホユーザーに仮想通貨体験を提供へ
コインベースとSamsungがパートナーシップを締結。まずは米国のGalaxyスマホユーザーがCoinbase Oneを試験利用できるようにして、仮想通貨の利用機会を提供する。
06:40
24銘柄以上の仮想通貨関連ETFが新規申請、米政府閉鎖で承認手続きに遅延
様々な投資運用会社が3日に24銘柄以上の仮想通貨ETFを新規申請したと報じられた。しかし米国政府閉鎖によりSECの審査プロセスが停止し、承認時期が不透明になっている。
06:10
BNBが1100ドル突破でBNBチェーン銘柄大幅高、CAKEが40%高騰
仮想通貨BNBが3日に1,100ドルを突破したことでBNBチェーンのネイティブプロトコルへの投資家関心が再び高まった。パンケーキスワップのCAKEトークンは24時間で約30%上昇。
05:45
イーサリアム財団、6.6億円相当ETHをステーブルコインに換金予定
イーサリアム財団が4日に1000ETH(6.6億円相当)を売却すると発表した。CoWSwapのTWAP機能を使用し、研究開発や助成金、寄付の資金調達を目的としている。
10/03 金曜日
18:27
野村HD傘下Laser Digital、暗号資産交換業登録を目指す
野村HD子会社Laser Digitalが、日本で暗号資産交換業者登録を目指し金融庁と協議中。スイス発の同社は国内金融機関向け事業展開を計画。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧