はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨イーサリアムの進化、ブテリン氏が示すZK-EVM統合案とレイヤー2の未来とは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ZK-SNARKsを活用する計画

イーサリアム(ETH)共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏が、ZK-EVMのイーサリアムレイヤー1(L1)への統合に関する新たな提案を14日、ブログで公開した。この提案は、イーサリアムの効率とセキュリティを大幅に向上させる可能性を示唆している。

ブテリン氏によると、将来的にはライトクライアントの機能が強化され、ZK-SNARKsを活用してイーサリアムネットワークのレイヤー1 EVMの実行を完全に検証することが可能になると予想されている。これにより、事実上のZK-EVM(ゼロ知識証明イーサリアム仮想マシン)がイーサリアムネットワークに存在する状態となり、これを最大限に活用するための検討が求められている。

zk-SNARKsとは

「zk-SNARKs」とは、ゼロ知識証明のこと。証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。

L2の構造的な課題

ブテリン氏は、イーサリアム上のレイヤー2 EVMプロトコル、特にオプティミスティックロールアップ(OP Rollups)やZKロールアップ(ZK Rollups)が直面している課題について詳細に説明している。

これらのプロトコルは、イーサリアムのプロトコルに存在するEVM機能を複製しており、中でも、EVM等価性を特徴とする(L2の)ZK-EVMは、実質的にレイヤー1(L1)のイーサリアムブロックの検証と同じ作業を行っている状況だ。つまり、L1にアップデートがあれば、それに追従するためにL2側でガバナンスの必要性が存在する。

しかし、ブテリン氏によると、イーサリアムのレイヤー1がZK-EVMを直接提供することにより、レイヤー2でのガバナンスの必要性が大幅に減少し、その結果、レイヤー2の効率とセキュリティが向上する可能性がある。

ロールアップとZK-EVMとは

イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決すると期待されるロールアップは、オプティミスティック・ロールアップ(Optimistic Rollup)とゼロ知識証明を活用したソzkロールアップの2種類に分類される。ORsの代表例は「Optimism」と「Arbitrum」。ZK-EVMsには、「zkSync」や「Scroll」、「StarkNet」などがある。

関連:ブロックチェーンのレイヤー2とは|種類や注目点、代表的なネットワークを解説

「Enshrined ZK-EVM」の基本構造

「Enshrined(納められた)ZK-EVM」と呼ばれるこのプランでは、イーサリアムブロックの証明生成に現在必要な計算リソースと時間を削減するために、大規模な並列化と「再帰的なSNARKs」の使用が提案されている。これにより、複数の証明を効率的に統合し、プロセス全体の効率を向上させることが可能になる。

さらに、EIP-4844の「ブロブ」トランザクションに似た新しいトランザクションタイプ(ZKEVMClaimTransactionなど)が導入されることで、L1のMempool(メモリプール)でのデータ転送を効率化。これには、関連するトランザクションと証人データが正しいことを証明するZK-SNARKが含まれている。

関連:イーサリアムの次期アップグレード「Dencun」、EIP-4844の重要性とメリットとは?

クライアントのローカル環境にある、ブロックデータに関連付けられた追加情報を格納する「サイドカー」を二つに分割し、一つは「ブロブ」(一時的な大容量データパケット)用、もう一つは「証明」用にする。それぞれのタイプの証明に対して別々のサブネット(ネットワーク内の分割された区域)を設ける。出典:notes.ethereum.org

また、コンセンサス層(ブロックチェーンでの合意形成プロセスの一部)において、新しい検証ルールが導入される。このルールにより、クライアントは、ブロック内の各主張(クレーム)に対して有効な証明(ZK-SNARK)を確認する。

クライアントは、必要なN個の証明のうち、最低限必要なM個が揃うまでブロックの承認を保留でき、このプロセスはブロックチェーンネットワークの整合性を維持し、悪意のある行為やエラーによる不正なブロックの承認を防ぐために重要となる。

関連:StarkNetとは|zkロールアップのレイヤー2として注目を集める理由、開発計画を解説

L2プロジェクトの役割

現在、L2プロジェクトはイーサリアムのスケーラビリティと効率を向上させるためにブロックの検証とトランザクション処理を担当している。ブテリン氏の提案によれば、ZK-EVMの統合によってL2プロジェクトは、引き続き多くの重要な機能を担うことになる

例えば、L1のスロット(ブロック生成関連)の速度が遅延する可能性があるため、L2プロジェクトは迅速な事前確認を提供することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが期待される。

また、これらのプロジェクトは、EVMの拡張により、Arbitrum StylusのWASMサポートやCairo言語のような新しいアプローチを提供し、イーサリアムエコシステムの効率とスケーラビリティをさらに向上させる役割を果たすことになる。

関連:「イーサリアム、ビットコインの上昇率を上回る見込み」JPモルガン来年予測

課題の詳細

ブテリン氏の提案では、マルチクライアントシステムの選択肢とそのトレードオフが検討されている。マルチクライアントシステムとは、異なるクライアント(ソフトウェア)が同じブロックチェーンプロトコルを実行するシステムのこと。

既存のZK-EVM(PSE ZK-EVM、Polygon ZK-EVM、Kakaroなど)を含むクローズドシステムとオープンシステムの間でバランスを取ることが重要であり、これにより、ネットワークのセキュリティと効率を維持しつつ、柔軟性とイノベーションを促進することができるとされている。

さらに、ZK-EVMに関連する監査可能性やアップグレード可能性などの課題も挙げられている。これらの課題を克服することにより、イーサリアムブロックチェーンのセキュリティと信頼性が向上し、ブロックチェーン技術の新たな道が開かれることが期待されている。

関連:ブロックチェーンのレイヤー2とは|種類や注目点、代表的なネットワークを解説

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:37
メタプラネット、約80億円でビットコインを追加購入
メタプラネットが約80億円で暗号資産(仮想通貨)ビットコインを追加購入。累計保有量は17,595BTCとなり、上場企業で世界7位に。
13:00
トランプ・メディア決算、ビットコインと関連証券を3000億円相当購入
トランプ・メディアが2Qの決算を報告。3,000億円相当の仮想通貨ビットコインおよび関連証券を蓄積している。ETF申請やユーティリティトークン構想についても説明した。
10:40
アーサー・ヘイズ、ビットコイン大幅下落の可能性を指摘──『WebX』講演で詳細語る予定
仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏が19億円相当の仮想通貨を売却し、BTCが10万ドル、ETHが3000ドルまで戻る可能性を指摘した。WebX 2025に出演が決定している。
08/03 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、BTCの継続的上昇停滞や推定5000億円のETH喪失の可能性など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ政権の『仮想通貨黄金時代』報告書に高い関心
今週は、テスラのビットコイン売却による機会損失、トランプ政権による『仮想通貨黄金時代』報告書公開、金融庁による仮想通貨WG第1回会合開催に関するニュースが最も関心を集めた。
08/02 土曜日
13:30
OpenAI、1.2兆円を資金調達完了 汎用人工知能に関する協議も
OpenAIが新たに1.2兆円の資金調達を完了。経常収益が急成長する中、汎用人工知能(AGI)達成後のマイクロソフトとの技術利用権について協議を進めていると伝えられる。
12:00
ジーニアス法成立、サークル株に対する影響と今後の展望は
ステーブルコインUSDCの発行元サークルが米国で上場し、株価は急騰後に一時300ドル近くまで上昇。GENIUS法案の追い風もあり注目を集めたが、その後は調整局面へ。本記事では株価動向、成長の可能性、リスク、そしてUSDCの仕組みやDeFiでの活用方法を総合的に解説する。
11:15
米シャープリンク、約1.5万イーサリアム追加購入
イーサリアムトレジャリー企業シャープリンクが7時間で14933ETH購入。6月以降46万4000ETH蓄積し未実現利益2億ドル以上を記録。
10:30
DeFi教育基金が米上院に提案、クラリティ法案の4つの原則とは?
仮想通貨業界団体DeFi教育基金が、米上院の「責任ある金融イノベーション法」に4つの重要原則を提案した。分散型金融と従来型仲介業者の区別などを求めている。
09:50
メタプラネット、最大5550億円相当の優先株発行を検討へ
メタプラネットは仮想通貨ビットコインの追加取得のために、発行可能株式総数の増加や永久優先株式の発行を臨時株主総会に付議することを決議。永久優先株式の発行額は最大5550億円である。
08:43
ビットコイン一時11万3000ドル割れ、トランプ新関税発表などで仮想通貨市場に売り圧力=CNBC
トランプ大統領の関税発表などを受けビットコインが3%下落し一時11万3000ドルを下回った。イーサリアムやXRP、ソラナなども下落。専門家は健全な調整と分析。
07:15
ベッセント財務長官、「仮想通貨黄金時代」宣言 
ベッセント財務長官が仮想通貨黄金時代の到来を宣言。トランプ政権が168ページの包括的報告書を公開し、ビットコイン戦略的準備金やDeFi規制緩和を明記。
06:45
英金融当局、10月から仮想通貨ETNの個人投資家向け販売を解禁
英金融行為監督機構が2021年から禁止していた仮想通貨ETNの個人投資家向け販売を10月8日に解禁。FCA承認取引所での取引が条件、デリバティブ禁止は継続。
06:25
米SECの仮想通貨タスクフォース、全米10都市で巡回ラウンドテーブル開催へ
米SECのヘスター・パース委員率いる仮想通貨タスクフォースが8月から12月にかけて全米10都市を巡回。従業員10人以下の小規模仮想通貨プロジェクトとの対話を重視。
06:00
ストラテジーの「iPhoneモーメント」か、アナリストが目標株価を大幅引き上げ
世界最大のビットコイン保有企業ストラテジーの第2四半期決算を受け、ベンチマークとキャンター・フィッツジェラルドが目標株価を上方修正。新優先株STRCを「iPhoneモーメント」と評価し長期成長を予想。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧