Pilotfishへの期待
米国のLayer1ブロックチェーン「Sui」の開発元Mysten Labsは3月20日、ブロックチェーンの処理能力を線形にスケーリングする技術「Pilotfish」の成果を発表した。
Pilotfishは、追加のコンピュータを使用して処理を分散させることにより、スマートコントラクトの実行能力を格段に向上させることができるという。この技術により、Suiブロックチェーンはテスト環境下で、8台のマシンを用いることでスループットを8倍に増加させることに成功している。
ブロックチェーンにおけるトランザクションのバッチ処理は、高レイテンシを引き起こす一因となるが、Pilotfishはストリーミング処理アプローチを採用することで、高速な処理速度を保ちつつ、レイテンシを極めて低く抑えることができる。
Mysten Labsによると、Pilotfishがブロックチェーン技術の課題解決における利点は以下の通り。
- 無限のスケーラビリティ: 負荷が増加しても、追加のマシンを導入することで対応可能。理論上、キャパシティに限界はない。
- スケールアウトによる柔軟性: 負荷に応じてマシン数を調整し、必要に応じて容易に拡張できる。
- 低遅延ストレージへの依存回避: クリティカルパス上で低速な永続的ストレージに依存する必要がなくなる。
- スケールアップとの互換性: スケールアウト(マシンの追加)アプローチは、スケールアップアプローチと並行して、またはそれと組み合わせて使用できる。
- 分散化と非中央集権化の促進: 複数の小型マシンへの分散実行は、ハードウェアの多様性を促進し、特定のプロバイダーに依存するリスクを低減する。
- ハードウェアプロバイダーのモノカルチャー防止: 市場における小型マシンの需要を増やし、超強力なマシンに依存する状況を緩和する。
Pilotfishは現在のところ概念実証段階にあるが、この技術はスマートコントラクトにおける計算コストを削減し、CPUに負荷がかかるコントラクトが他のコントラクトに悪影響を及ぼすことなく実行できるようにする道を開く。開発チームは、今後さらに多くの機能を実装し、プロトタイプの性能をエンジニアリングの最適化を通じて向上させる計画だ。
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Suiの躍進
Suiは、処理能力の高さを特徴とする、スマートコントラクト機能を搭載したレイヤー1ブロックチェーン。413ノードを運用する104のバリデータに支えられた堅固なネットワークを構築し、ブロックチェーンインフラのセキュリティと整合性を高水準で維持している。
2月にレイヤー1ブロックチェーンのSuiは資金流入が急加速し、Cardano(ADA)、Near(NEAR)、Aptos(APT)など同世代の競合を凌ぐ成長を見せている。
ネットワーク上の預かり資産(TVL)は過去4ヶ月で約1000%以上増加。DeFillamaによると、記事執筆時のTVLは約900億円(約6億ドル)に達し、ブロックチェーン別ランキング12位である。暗号資産(仮想通貨)SUIの価格は前日比18%上昇している(執筆時点)。