CoinPostで今最も読まれています

Polyhedra Network、ゼロ知識証明の生成スピードで業界標準を刷新 新プルーバー「Expander」をオープンソース化

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ZK証明技術のスケーリング

次世代のゼロ知識(ZK)証明インフラを提供するPolyhedra Network(ポリヘデラ・ネットワーク)は2日、新プロダクト「Expander」をオープンソースとして発表した。

「Expander」はゼロ知識証明において重要な役割を担うプルーバー(Prover)として機能し、持っている秘密情報を直接公開することなく、その情報が真実であることを数学的または論理的な方法で検証者(Verifier)に示す。

Expanderの最大の特徴はその「証明生成の速さ」にある。Apple M3 Max CPU(Apple製MacBook Proに搭載)で測定した結果、ExpanderはKeccak-256ハッシュを毎秒4,500回処理する能力を示した。これは、従来の証明生成システムと比較して約2倍のパフォーマンスだ。

この高い処理能力により、Expanderは大量のデータを迅速に処理し、証明の生成をより安全かつ効率的に行うことが可能だ。

Polyhedra Networkの共同設立者兼最高技術責任者であるTiancheng Xie氏は、「これまでにない計算構造を利用することで、記録的な性能と低計算コスト、低メモリ帯域幅の圧力を同時に実現した」と語っており、Expanderが限られたメモリ帯域幅でも高いパフォーマンスを維持できることを強調した。

このような速度で動作できる唯一のオープンソースZK証明者(Prover)として、スピードやセキュリティを犠牲にすることなく、誰もがアプリケーションを安全に拡張するために我々のZKプルーフ・インフラを活用することができる。

Expanderは、 プロセスの真実性とその実行可能性を確立する「対話型証明(Interactive Proofs)」と、一度作成された証明が正確で変更不可能であることを保証する先進的な「多項式コミットメントスキーム(Polynomial Commitment Schemes)」を組み合わせている。

Expanderの特徴は速度だけでなく、最小限の通信要件で分散コンピューティングとの互換性を提供する。これは、ブロックチェーンにおける様々なアプリケーションに適用可能であることを意味する。

Xie氏は、「レイヤー2ソリューションや当社のzkBridgeなど、ブロックチェーン業界の幅広いアプリケーションに適用可能である」とExpanderの汎用性の高さを強調した。効率的で費用対効果の高いZK機械学習アルゴリズム(ZKML)の作成といった用途も想定されている。

ZKML(Zero-Knowledge Machine Learning)とは

機械学習(ML)とゼロ知識証明(ZKP)技術を組み合わせた分野。機械学習の推論過程を第三者に対して検証可能にするもので、機械学習のプライバシーとセキュリティ向上を目的とする。ブロックチェーン技術を活用した取引システムや、プライバシーを保護しつつAIによる意思決定を利用するシステムでの活用が想定される。

Expanderのオープンソース化

ソースコードの公開(オープン化)により、Expanderは幅広いコミュニティでの利用が可能となった。この動きは、ZK技術を活用し、安全で高速、かつ低コストのデータ検証プロセスをより多くの人々に提供したいというPolyhedraのポリシーを象徴している。

最近、PolyhedraはGoogle Cloudと提携し、「Proof Cloud」を公開した。これは、ZK-as-a-service(ジーケー・アズ・ア・サービス)としてPolyhedraのZK技術をGoogle Cloud上で提供するものだ。

Xie氏は、「開発者は自身のプログラムにExpanderを組み込み、Proof Cloudプラットフォームを利用し始めるにつれて、コンピューティング空間全体の境界を押し広げる次世代のアプリケーションを作成できるようになるだろう」と語った。

私たちは、この新しいプルーバー(証明生成)がどのように使用されるかを見るのが楽しみであり、コミュニティと協力してZKテクノロジーのエコシステムをさらに進化させていくことを楽しみにしている。

Expanderはまだ開発の初期段階にあり、ルックアップテーブルやGPUアクセラレーションなど、計算処理の高速化で、さらなる可能性を残している。

PolyhedraとGoogle Cloudは、世界中の開発者がハイパフォーマンス・コンピューティング・リソースにアクセスできるようにするため、分散コンピューティングサービスをさらに拡大していく方針だ。

ExpanderのAMA(質問会)を開催予定

Polyhedra Networkは9日、ZKプルーバー「Expander」を深く掘り下げるAMA(質問会)を、X(旧Twitter)スペースで開催予定。

  • 2024年5月9日
  • 時間:UTC 14:00-15:00(日本時間 23:00-24:00)
  • Link:https://twitter.com/i/spaces/1mrxmyvYLOLxy/peek
  • 参加者:Polyhedra Network 共同創設者兼CTO Tiancheng Xie氏、 Polygon Zero CTO Daniel Lubarov氏等

Expanderの詳細はこちら:https://polyhedra.medium.com/bdd07d05c23e

Polyhedra Networkについて

Polyhedra Network(ポリヘデラ・ネットワーク)は、ゼロ知識証明技術を駆使して次世代の安全かつスケーラブルなWeb3インフラを構築している。既存のソリューションを大幅に上回るパフォーマンスを実現する、複数の次世代zk-SNARKプロトコルを開発してきた。

ゼロ知識証明は、証明者が検証者に対して、ある命題が真であることを、その命題に関する具体的な情報を一切開示せずに証明するものである。例えば、「私はこのシステムの有効なユーザーである」という事実を、パスワードや個人情報を明かさずに証明できる。

この証明技術は、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題に対するソリューションとしても有効であり、トランザクションの検証過程を効率化し、ネットワークの負荷を軽減する面で活用される。

近年、Web3(分散型ウェブ)および従来のWeb2環境で、ZK技術の需要が急増。Polyhedra Networkのゼロ知識証明生成サービスの証明生成数は、過去1年間で100倍に成長した。

Polyhedra Networkのエコシステム外観 出典:Polyhedra公式サイト

Polyhedra Networkを使用することで、開発者は追加の信頼前提を設けることなく、セキュアでスケーラブルかつ相互運用可能なアプリケーションを作成することが可能だ。

さらに、Polyhedraの相互運用ソリューションであるzkBridgeは、25以上のブロックチェーンを接続し、ゼロ知識証明を用いてクロスチェーンメッセージの有効性を証明している。

3月にPolyhedraは30億円(2,000万ドル)の資金調達ラウンドを成功させ、企業評価額は1500億円(10億ドル)とされ、ユニコーン企業の一つに位置付けられている。このラウンドを主導したのは、大手仮想通貨VCのPolychain Capitalで、Animoca BrandsやHashkey Capital等が出資した。

詳細については、https://polyhedra.network をご覧ください。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/20 月曜日
11:46
ビットコインの週末相場は高止まり、オンチェーンデータは「利確フェーズ」の終焉を示唆
FRBの利下げ期待を背景にNYダウが史上初の4万ドルに達するなど米国株指数が好調に推移する中、オンチェーンアナリストはSOPR指標を分析。2ヶ月間の利確フェーズが終わりつつあることを指摘した。
11:19
仮想通貨ウォレットのファントム、米国のApple Storeユーティリティランキング3位に浮上
ソラナ基盤の代表的な仮想通貨ウォレットとして普及した「Phantom Wallet (ファントムウォレット)」(現在はマルチチェーン対応)が、米Apple Storeのユーティリティ・アプリで3位にランクインした。
05/19 日曜日
12:00
ビットトレードのビットコイン・ピザ・デー記念キャンペーン シバイヌなどが当たるチャンス
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットトレードの特別企画。ビットコイン・ピザ・デーを記念して、シバイヌ(SHIB)やドージコイン(DOGE)も含む豪華景品が当たるラッキールーレットキャンペーンが開催される。2024年5月20日から24日までの期間限定。
11:30
オプション市場では6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中、翌週の展望は?|bitbankアナリスト寄稿
CPI発表後のテクニカル分析や6.5万ドルと7万ドルストライクに建玉集中するオプション市場を踏まえ、bitbankのアナリスト長谷川氏がビットコインチャートを図解。今週の暗号資産(仮想通貨)相場考察と翌週の展望を探る。
11:00
週刊ニュース|金持ち父さん著者キヨサキ氏のBTC投資推奨に高い関心
今週は、金持ち父さん著者ロバート・キヨサキ氏による仮想通貨ビットコイン・金・銀投資の推奨、ジャック・ドーシー氏のビットコインについての発言、GameStop株やミームコインの暴騰に関するニュースが最も関心を集めた。
05/18 土曜日
21:00
Clearpool Prime、アバランチでデビュー RWA対応のプライベート・クレジット市場
Clearpool Primeがアバランチでローンチし、RWA分野に新たな進展。機関投資家向けに安全かつ効率的な取引環境を提供するプライベート・クレジット市場。
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。
07:10
ソラナ価格、月末までに200ドル復帰か ヘッジファンド創設者が予測
仮想通貨ソラナの今後の価格について、ヘッジファンドSyncracy Capitalの創設者は強気な予測を示した。その根拠とは?
06:10
zkSyncエアドロップ期待再燃、分散化加速のアップグレードを実施予定
zkSyncは未だ独自の仮想通貨をリリースしていないが、主要zkロールアップであるライバルのStarkNetは2月にエアドロップを実施した。
05/17 金曜日
17:34
東京ビッグサイトで第5回ブロックチェーンEXPO【春】開催へ 無料申し込み募集開始
東京ビッグサイトで、日本最大級のブロックチェーン専門展である第5回ブロックチェーンEXPO【春】が開催されます。最新の研究からアプリケーションまで、ブロックチェーン技術のすべてが一堂に出展するイベントは必見です。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア