大量のビットコインが移動
2014年に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(MTGOX)のウォレットから、ビットコインが移動したことが28日に報告された。
今回、マウントゴックスが保有しているとされる14万1,686BTC(1.5兆円相当)が移動したことが報告され、市場では売り圧の警戒感が高まった。一方で、まだ返済を開始したり、返済のためにビットコインやビットコインキャッシュを売却したりはしていないと書かれたマウントゴックスの書面が28日に公開されており、市場にはいったん安堵感が広がっている。
マウントゴックスとは
2010年から2014年にかけて運営された、東京を拠点とする仮想通貨取引所。ハッキング被害によって閉鎖しており、これをきっかけにして、取引所がハッキングされたり、誤送信などで仮想通貨を失ったりすることを「GOXする(ゴックスする)」と呼ぶ慣習が生まれた。
▶️仮想通貨用語集
ブロックチェーン分析企業Arkhamは28日の日本時間19時前に、マウントゴックスに関連する72のウォレットから、最大2,000BTCごとに分けられて合計14万1,686BTCが新しいウォレットに送金されたことを報告。今回の送金は他にも、複数のSNSアカウントで伝えられた。
$10B of Mt. Gox BTC (140K) moved over the last 7 hours
— Arkham (@ArkhamIntel) May 28, 2024
72 different Mt. Gox-linked wallets sent a total of 141,686 BTC in batches of ~2K to 1Jbez, a new wallet that received its first test transaction for $3.65 on 5/20 last week and began receiving larger transactions 8 hours… pic.twitter.com/PaBXqFrnYO
上述したマウントゴックスの書面では、ビットコインとビットコインキャッシュは28日現在も安全に保管されていると説明。そして、返済はもうしばらく待つように伝えている。
マウントゴックスを巡っては、複数の債権者が4月20日頃から、マウントゴックスのウェブサイトで顧客資産の返済に関する表が更新されたことを報告。これによって、債権者への仮想通貨での弁済に向けて一歩前進したとみられていた。
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売り圧への警戒
ビットコインの価格は、本記事執筆時点で6万8,115ドル(約1,070万円)。CoinGeckoによれば、前日比2%下落している。
今回は売り圧に対する警戒感は弱まったが、マウントゴックスは弁済期限を今年の10月末と説明しており、これからも投資家は同社の動きを注視していくことになる。
一方で、そこまで売り圧を警戒しなくても良いという見方も上がった。オンチェーンアナリストのJames Check氏は28日、Xで「まだ完全に見方を確定したわけではないが、クジラ(大口保有者)の動向や取引所の残高を追跡するとの同じ水準で警戒していればいいと思う」と投稿している。
「Decrypt」によればCheck氏は「債権者はビットコインを入手した10年前の価格よりも、現在の価格をベースに売却を考える可能性が高い」とみているようだ。
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