- ピーター・ティール氏がシリコンバレーの衰退を強調
- ピーター・ティール氏は、ニューヨークタイムズDealBookカンファレンスにおいて、シリコンバレーの衰退を指摘。それについて自身の意見を述べた。
- 一方で新たな領域への強い関心も
- 既存の仕組みへの批判の一方で、新たなテクノロジーへの強い関心を示している。
- 仮想通貨、ビットコインへの過去の発言など
- 過去には、仮想通貨、ビットコインの可能性について肯定的と捉えれるような発言もしている。
衰退を辿りつつあるシリコンバレー
GoogleやFacebook、Appleなど数々の現代を代表するIT企業を生み出し、2000年以降のイノベーションの拠点として発展を遂げてきたシリコンバレー。
しかし、PayPalの共同設立者ピーター・ティール氏(以下、ティール氏)は、テクノロジーのイノベーションにおけるシリコンバレーのリーダーシップは終焉に近づいていると考察している。
木曜日の、ニューヨークタイムズDealBookカンファレンスにおいてそれについて語った。
ティール氏は、「シリコンバレーは、ブレークスルーとなるイノベーションを生むのに極度に狭量になっている。」と発言し、「シリコンバレーをより良くしようとするネットワークの効用が、おかしな方向に向かっているという認識が共有される感覚としてある。」と付け加えた。
またティール氏は、シリコンバレーを「一党独裁のよう」とも形容、衰退しつつあると見ている。
そのような発言の背景には、シリコンバレー、テック業界における思想の偏りや、ティール氏が2016年のアメリカ大統領選でトランプを支持したことによる業界の人間との摩擦などがあると考えられる。
実際に、ティール氏は今年の始めに自身の自宅とオフィスをシリコンバレーから引き払い、ロサンゼルスに引っ越しを行い、9月には、自身のベンチャーキャピタルMithril Capitalの拠点もテキサス、オースティンの新本社に移したという。
ただ、上で述べられたようなシリコンバレーの衰退は、シリコンバレー自体のみに起因する課題ではない。
ティール氏は、そのことについて、消費者向けインターネットに焦点を当て、以下のように述べている。
「消費者向けインターネットのイノベーション自体が減速しているようにみえる。25年間のテクノロジーの巨大領域、他を独占するものとして機能した後の今、消費者向けインターネットには、試みられている様々な大きな構想ほどの大きなブレークスルーの余地はほとんど残っていないのかもしれない」
そして、最後には、「我々は、シリコンバレー内ではなく、その外に資金投入をしていく必要があると信じている」とも発言している。
シリコンバレーは、カリフォルニア州の経済を牽引してきたものの、他のカリフォルニア州の地域には資金流入が弱い現状がある。
実際、そこから100マイルも離れていない、カリフォルニア州セントラル・バレーでは、世帯収入平均がシリコンバレーの中心地パロアルトの平均の半分以下しかない。
今後、ティール氏が指摘する内容に突破口を見いだせるか。
シリコンバレーにおける大きな課題であるという。
一方で新たな領域に強い関心も
このようなティール氏の発言の背景には、新たな関心先があるようだ。
シリコンバレーへの批判を強める一方で、ここ最近のティール氏の関心の対象として、バイオテックにブロックチェーン、仮想通貨、カンナビス(大麻)、データアナリシスを挙げた。
そして、実際に、それらの領域にティール氏自身の資金を投入しているようだ。
なお、ティール氏が仮想通貨やブロックチェーンに関心をもったのは最近では無い。
仮想通貨、ビットコインへの発言
特に、ティール氏は仮想通貨、ビットコインに関しては、価値の保存における一つの手段として大きな可能性を見出している。
ティール氏が共同設立者である有力ベンチャーキャピタルFounders Fund社では数百億円分のBTCを保有していることが明らかになっており、ティール氏自身も、ビットコインを「デジタルゴールド」と表現、資産のリスクヘッジの手段として個人的に所有している。
過去には、「私は新たな支払いシステムのことを話しているのではありません。それは決して動かない金庫の中にある金の棒のようなものであり、全世界が崩壊したときのために備える一種のリスクヘッジだ。」といった発言もある。
既存の仕組みが崩壊しつつある中、新たなテクノロジーへの注目が大きく高まっている。
ブロックチェーン、仮想通貨はそれらを象徴するものの一つであり、今後規制も整っていけば、価値の保存、資産の分散先としてのさらなる飛躍を見込めるだろう。