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ビットコイン研究者らが検証論文を公開 欧州中銀エコノミストの批判に反論 

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仮想通貨コミュニティから反対論文

経済学者マレー・A・ラッド氏らは、欧州中央銀行(ECB)によるビットコイン批判に対する反論として論文を公開した。ラッド氏は、ビットコインの研究を行う非営利組織「Satoshi Action Education」のアドバイザーも務めている。

背景として、先日、ECBのマーケットインフラ・決済部門ディレクターのルリッヒ・ビンドザイル氏らが論文を発表。暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の価格が上昇し続けるシナリオでは、初期保有者のみが利益を得るが、後から参入する投資家や保有していない人々は経済的に損失を被ると論じた。

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ラッド氏は、アレン・ファリントン氏、フレディ・ニュー氏、デニス・ポーター氏との共著論文でこの主張に反論。

ラッド氏らは、まず「ビットコインの富は少数の保有者にいちじるしく集中しており、分散性を弱めている」との主張に異論を唱えた。

機関投資家や個人投資家も市場への参加を強化していると指摘し、こう続けた。

最大のビットコインウォレットの多くは、コインベースやバイナンスなどの取引所、またはブラックロックやフィデリティなどのETF(投資信託)発行会社に属しており、数百万人のユーザーに代わってビットコインを保有している。

これらのウォレットは単一の保有者の資産を表すものではなく、多様な投資家のビットコイン保有を示しているが、ビンドザイル氏らはあたかも富が一部に集中しているかのように見せかけていると述べた。

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ビットコインの経済的有用性

さらにラッド氏らは、ビットコインが富の移転のメカニズムとしてのみ機能し、イノベーションを促進したり、経済発展を推進したりするツールではないとの見解にも反論した。

ビットコインは、特に分散型金融(DeFi)や国際送金の分野で金融イノベーションと効率性を推進。ライトニングネットワークやその他のレイヤー2ソリューションは、銀行などの仲介者を減らし、取引コストを下げて経済効率を向上させると指摘した。

特に発展途上国では、従来型の金融機関による高額な手数料や処理時間の遅延が送金の障害となっており、ビットコインがこの問題に対応できるとも述べた。

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「法定通貨システムの再分配にも注目が必要」

次にラッド氏らは、「ビットコインはゼロサムゲームであり、早期投資家の利益は他者の犠牲によってもたらされ、少数の人々の手に富が集中する」との主張にも反論した。

この議論は、参加者が資産のポテンシャルを評価し自由に参入できるというビットコイン市場の自発的な性質を無視している。

株式やベンチャーキャピタルの初期投資家と同様に、ビットコインの早期採用者は、潜在的に高いリターンと引き換えに大きなリスクを負った。これは新興技術の市場に固有の特徴だ。

また、後発者が不利になるという考えは、ビットコインがまだ初期段階にあり、将来の成長余地が大きいという事実を見落としている。

さらにラッド氏らは、問題の論文はビットコイン内の富の再分配にのみ焦点を当て、法定通貨システムの広範な再分配効果や、ビットコインがインフレヘッジとしてどう機能するかを見落としているとも指摘。

法定通貨制度では、インフレ政策により貯蓄者から債務保有者へ富が再分配され、貯蓄の価値が継続的に減少するが、ビットコインは供給上限があるため、長期的な価値の保存手段になるとの意見を示した。

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さらにラッド氏らは、ビンドザイル氏らの論文がビットコインの代わりに中央銀行デジタル通貨(CBDC)を推奨している点に言及。彼らはECBでCBDCを推進することに既得権益を持っており、利益相反の可能性があると指摘した。

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CBDCとは

各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨。「Central Bank Digital Currency」の略。仮想通貨との大きな違いは、CBDCが法定通貨である点。通貨の管理や決済におけるコスト削減や効率性向上が期待される一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など多くの課題も存在する。

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