オンチェーンFX機能導入へ
米金融大手JPモルガンは5日、独自のブロックチェーンプラットフォーム「Onyx」を「Kinexys」へと名称変更した。2025年1~3月期までに、このプラットフォームにオンチェーン外国為替(FX)機能を導入する計画も発表している。
「Kinexys」という名前は、「kinetic(動的な)」という言葉に由来しており、資産や金融情報を世界中に迅速かつ容易に移動する方法を表わすものだ。また、「接続」や「つながり」も意味するという。
JPモルガン決済ソリューション部門の共同責任者、ウマル・ファルーク氏は、「マルチチェーンの世界の実現を目指す」として次のようにコメントした。
当社の目標は、より接続されたエコシステムを育成し、分断されたシステムの問題を打破して相互運用性を高め、金融インフラストラクチャの制限となっているものを軽減することだ。
Kinexysは、JPモルガンのFXサービスと統合され、まず米ドルUSDとユーロEURでオンチェーンのFX決済を可能にする。今後、さらに多くの通貨に拡大することも予定している。
2025年1~3月期には、JPモルガンのクライアントは、同社のグローバルFXプラットフォームに接続することで、ほぼリアルタイムのFX取引と決済を実行できるようになる見込みだ。
JPモルガンは、このシステムにより、FXの決済リスクが軽減され、取引が迅速化すると述べた。また、これを基盤にして将来的には年中無休・ほぼリアルタイムで行われる複数通貨の清算・決済を自動化する計画だとしている。
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Kinexys(旧称Onyx)とは
「Kinexys(旧称Onyx)」は、JPモルガンが開発したデジタル通貨「JPMコイン」を利用して、トークン化資産の取引やグローバル決済を支援するイーサリアム(ETH)基盤のプライベートブロックチェーンだ。
JPモルガンによると、2020年10月の立ち上げ以来、このプラットフォームの名目取引総額は1.5兆ドル(約232兆円)を超えており、1日平均20億ドル(約3,090億円)以上の取引を処理している。特に、決済取引は前年比10倍に増加しているところだ。
ほぼリアルタイムで24時間年中無休で、プログラム可能なクロスボーダー取引やグループ内資金調達を可能にしている。JPモルガンは、クライアント企業にとっては、流動性管理が最適化され、取引コストの削減にも役立つと述べた。
採用事例としては、フランスの大手銀BNPパリバ、東南アジア最大手銀のDBS銀行などがレポ取引などに利用している。レポ取引(Repurchase Agreement)とは、一定の価格で売り戻しあるいは買い戻しすることを条件とした売買取引のことだ。
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また、現実資産(RWA)トークン化分野でも利用されている。6月には米資産運用大手フィデリティ傘下のファンド運用会社フィデリティ・インターナショナルが、マネー・マーケット・ファンドのトークン化に、Kinexys(旧称Onyx)を導入した。
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RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債権等の有価証券などが含まれる。
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