採掘収益性はBTCの「3倍」とも
ビットコイン中心だった仮想通貨マイニング業界で、アルトコイン(代替通貨)への注目が高まっている。マイニング企業BIT Mining(NYSE: BTCM)は12月4日、ドージコイン(DOGE)とライトコイン(LTC)のマイニングがビットコインと比較して約3倍の収益性を実現していると発表。続いて12月5日には、持続可能エネルギー企業のVivoPower(NASDAQ: VVPR)が子会社を通じてドージコイン・ライトコインのマイニング事業への参入を表明した。
BIT Miningは自社開発のマイニング機器を活用し、既に全世界のライトコインおよびドージコインネットワークハッシュレートの1.32%を占める規模に成長。11月27日時点で84,485 LTC(約93億円)と2億2,790万DOGE(約132億円)を採掘している。
同社のチーフエコノミストYouwei Yang氏によれば、この高い収益性の背景には、イーロン・マスク氏の影響力とトランプ氏勝利後の米国における規制環境の変化への期待による価格上昇があるという。2013年にジョークとして作られたドージコインは現在、時価総額637億ドルで仮想通貨市場7位、ビットコインのより高速で安価なバージョンとして開発されたライトコインは時価総額100億ドルで25位に位置している。
DOGEとLTCのマイニングとは
ドージコインとライトコインは「マージドマイニング」(併合採掘)が可能。同じScrypt(スクリプト)というマイニングアルゴリズムを使用しているため、同じハードウェアで同時に両方の暗号資産を採掘できる。このため、マイニング事業者は追加の設備投資なしに、両方の暗号資産からの収益を得られる。
再生可能エネルギーとの統合を強みに
太陽光パネル、電気自動車、バッテリーを主力とする持続可能エネルギー企業VivoPowerは、11月14日にドージコインとライトコインのマイニング事業への参入を発表。同社は既存のソーラーファーム事業を活用し、最大55MWの発電能力でマイニングを行う計画を明らかにした。
12月5日の発表では、ウィスコンシン州とオレゴン州の再生可能エネルギー施設での具体的な展開計画を示し、年間収益2,500万ドル(約37億円)、キャッシュEBITDA1,200万ドル(約18億円)を見込むとした。長期的には年間1億5,000万ドル(約220億円)の収益を目指している。
同社の強みは、B Corporation認証を受けた持続可能性重視の企業として、環境負荷が課題とされるプルーフオブワーク方式のマイニングに、再生可能エネルギーによる解決策を提供できる点にある。
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収益安定化への取り組み
両社ともマイニングした仮想通貨の保有にこだわらない方針を示している。VivoPowerは採掘したドージコインの大部分は保有せず、適切なタイミングで売却またはフォワードセール(将来の固定価格での売却契約)を行うと明らかにした。
この戦略により、価格変動リスクを抑制し、安定的な収益を確保。収益予測の精度向上と投資家からの信頼獲得にも寄与すると考えられる。
ドージコインやライトコインのマイニングへの上場企業の参入は、再生可能エネルギーとの組み合わせや効率的なマイニング機器の活用により、ビットコインマイニングとは異なる競争優位性を確立しつつある。今後、この動きが業界全体にどのような影響を与えるか注目される。
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