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アダム・バック氏が語るビットコインの強みとL2ソリューション、日本市場への期待 【独自取材後編】

ビットコイン レイヤー2

Blockstreamはビットコインとブロックチェーンのインフラ開発において、世界的に評価されている企業であり、「未来の金融インフラを作り上げる」ことを目的としている。主力製品には、ビットコインのレイヤー2(L2)ソリューションであるLightningやLiquidネットワークがある。

バック氏は、これらのチェーンがビットコインのL2であることの強みは、ビットコインが多くの規制当局から「中立的なテクノロジー」であるとみなされていることだという。企業がそのトークンの大半を所有しているようなアルトコインチェーンではなく、コモディティであることが確立され、唐突に「未登録の証券」と規制当局から認識される心配もないためだ。

バック氏は、ビットコインと各L2技術の関係について、以下のような比喩を用いて説明した。

私たちは、ビットコインをお金のインターネット、Lightningを小売業のクレジット決済、Liquidを金融資産と見なしている。

Lightningは、店舗やオンラインなどの小売取引で、小額の支払いや迅速な対応が必要な支払いに、スケーラビリティを高め、コストを削減し、トランザクションを高速化する方法。メインチェーンへの送信を遅らせることで、スケーラブルになるように設計されている。

一方、Liquidは、ステーブルコイン、株式や債券などのRWA(現実資産)など基本的に再販可能な金融商品などの有形資産を、新しい機能として追加できる設計となっており、さまざまなユースケースに使用されている。

Liquidネットワーク

バック氏は、Liquidが他のチェーンよりもシンプルで安全だと主張する。

Liquidは、ビットコインの技術を使用して構築されているため、セキュリティに重点が置かれており、秘密保持と機密トランザクションを備えているため、仮想プライベート・ネットワークのようなものだ。パブリック・ネットワークの利点を享受しつつ、プライベート・ネットワークのセキュリティと機密保持を効果的に利用することができる。

同氏は、プライベートチェーンでは、セキュリティへの信頼が十分でないため、グローバルな取引の実現が難しいと指摘した。

現在、Liquidネットワーク全体における取引量は20億ドル(3,145億円)に上り、大手金融機関や公開市場企業よりも多くの資産が発行されているという。

中でも成功した例の一つが、メキシコのMifielが提供している中小企業向けの約束手形で、昨年3月以降、デジタルトークンの形で15億ドル(2,360億円)が融資されている。発売当初は2億ドルだったものが、毎月約1億ドルずつ増えるという人気商品で、米国の大手銀行2行が融資しているとバック氏は説明した。

バック氏は成功の要因として、ユースケースとしての需要が大きかったこと、デジタル化による効率化、そして「マーケティングよりも構築に重点を置いていること」を挙げた。

マイクロストラテジーの株式

Liquidネットワークでは、マイクロストラテジーの株式に基づくセキュリティトークンも発行されている。

ルクセンブルグ企業Stockerにより、100株を1ユニットとした証券化ファンドとして作成され、Liquidで取引可能だという。LiquidにはSideswapと呼ばれるピアツーピアの非カストディ型のスワップマーケットがあり、ビットコインで価格設定され、最低100分の1株から取引可能だと、バック氏は説明した。

通常、株式は市場が開いている平日のみの限られた時間内でしか取引できないが、この資産はビットコイン同様週末でも取引できる。マイクロストラテジーの株価はビットコインと相関が強いため、株式市場が閉まっている間に大きな変化があった場合にも、投資家が対応できることになることが強みだと、同氏は付け加えた。

また、規制や税金に対処するため、ビットコインの代わりにマイクロストラテジー社やメタプラネット社の株式を購入する投資家もあるとバック氏。日本では仮想通貨の税率が高いことから、企業の株式取得を通じて取引した方が税金が安くなる場合も考えられると指摘した。

日本円ステーブルコイン

バック氏が来日した理由の一つに、RWA分野で日本がイニシアチブをとっていることを興味深く感じており、日本のプラットフォームや資産環境の一部としてLiquidが統合・連携できる機会があるかを確認することを挙げた。

同氏は、日本の金融庁がステーブルコイン規制を検討していることに言及し、Liquidネットワークで発行されているRWAの例として、Crypto Garageが発行する日本円ステーブルコイン「JPYS」を紹介した。

Crypto Garageは、株式会社デジタルガレージと東京短資株式会社のジョイントベンチャーとして、2018年9月に設立された。同社は、2019年に、仮想通貨の新たな決済システム開発において、日本政府の「新技術等実証制度」(規制のサンドボックス制度)の対象となっている。

Crypto Garageは、Liquidネットワークの技術を仮想通貨の大口OTC市場に特化した、機関投資家向け決済プラットフォーム「SettleNet」に使用している。SettleNetは実証実験後、2020年6月に商用サービスを開始。非カストディ型のトークンの即時グロスDvP決済(資産引き渡しと資金決済を同時に行う)を実現した。

バック氏は、ステーブルコイン規制の明確化により、今後、日本市場にさらに多くのステーブルコインが導入される可能性があると述べた。

関連:ステーブルコイン発行の環境整備か JVCEAが電子決済手段の自主規制団体に

日本から世界へ

バック氏の来日と日本企業への紹介をコーディネートしたEchoXのNeil Lee最高経営責任者は、インタビューを終えるにあたり、日本企業がLiquidネットワークを活用して、日本市場だけでなく海外で資金調達を行うのを支援したいと述べた。

Liquidネットワークは、エルサルバドルの証券取引所であるBitfinex Securitiesでも使用されており、日本企業や不動産業界、またはファンドが資金調達を行うのには大変有益なエコシステムだと同氏は強調した。

取材スタッフ: Una Softic

プロフィール

AIとフィンテックを専門とするプロフェッショナル・サービス会社Intertangibleのマネージング・ディレクターで、CoinPostのパートナーシップ責任者を務める。

元日経新聞グローバル・テクノロジー・プログラム・リーダー。技術系スタートアップ企業の役員・戦略アドバイザーでもある。

左:CoinPost取材者Una Softic氏 右:Adam Back氏

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