はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米中貿易摩擦のリスクが顕在化、仮想通貨市場は様子見基調

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比-0.85%の1BTC=97,100ドルに。

BTC/USD日足

ドナルド・トランプ大統領の突発的な関税政策における貿易摩擦の脅威は市場を揺るがし、株や仮想通貨のようなリスクオン資産の魅力を低下させている。インフレ懸念もある中、米雇用統計を7日に控え、様子見基調が強まっている。

メキシコおよびカナダへの関税実施の延期について合意したことが伝わり、急落した相場の反発をもたらした一方、その後中国向けに追加関税を発動。これに伴い中国側も報復措置を発表したことで、投資家心理の再悪化につながった。

市場はインフレリスクにも警戒している。貿易戦争に突入すれば、輸出依存企業への悪影響や物価高は免れない。

一方で、トランプ氏による外交手段はディールのための“ブラフ”の側面が強く、関税を巡る対立が全面的な貿易戦争に拡大し、金融・経済が深刻なダメージを受けることを容認するとは思えない、という見方が大勢を占める。

他の主要経済国と協調してドルを切り下げた1985年のプラザ合意を彷彿とさせるとの見解も聞かれた。

ビットワイズの戦略責任者ジェフリー・パーク氏は、トランプ氏の経済政策が市場に与える影響について複数のシナリオを示した。

第一のシナリオでは、トランプ氏がプラザ合意のような多国間協定を実現し、長期金利の上昇を抑制しつつ国際協調を達成できた場合、投資家のリスク選好が大幅に改善する可能性がある。

一方、国際合意の形成に失敗し貿易戦争が継続するケースでも、世界経済の減速に対応して各国の中央銀行による景気刺激策や大規模な金融緩和策の実施により、長期的には仮想通貨市場にもポジティブな影響が及ぶと予想される。

ただし、最大のリスクは、相手国が交渉で譲歩せず報復合戦に発展した場合に、第1期政権時のように米中貿易摩擦が激化するシナリオだ。

このような局面においてマクロ経済の不確実性が高まることから、投資家による資金退避の動きが3日以降加速。安全資産とされる金(ゴールド)価格は新高値を付けた一方、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)相場は一時急落した。

データプロバイダーのKaikoによれば、ビットコインと金の『90日間相関係数』はゼロに近い水準まで低下した。投機性の高いリスク資産ミームコインやハイテク株も取引する大規模な投資家層によって保有されている影響も看過できないとの見方が広がっている。

ただし、押し目買いの好機にもなり得る。

週明けの暴落局面では、ビットワイズの最高投資責任者マット・ホーガン氏が「仮想通貨史上最大のロスカット(強制清算)イベント」と称する規模に達し、レバレッジをかけたポジションが100億ドルも消失したが、この際に機関投資家による大規模な買い入れの動きが明らかになった。

最大手資産運用会社ブラックロックは、イーサリアムETF(上場投資信託)商品「iShares ETH」の運用のため、新たに100,535 ETH(2億7,620万ドル相当)を購入し、イーサリアム保有量は合計1,352,934 ETH(37億1,000万ドル相当)に達した。

一方、米国大統領に関連するプロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」も、イーサリアムとラップド・ビットコイン(wBTC)の買い入れを実施。ブロックチェーン分析企業アーカムによると、WLFIは合計3億700万ドル相当を買い増し。カストディ目的でコインベース・プライムに預託したという。

関連:トランプ関税の影響で仮想通貨暴落、1500億円規模のロスカット ビットコイン一時91000ドル台に

仮想通貨関連政策の動向は

ホワイトハウスのAIおよび仮想通貨担当責任者デビッド・サックス氏は4日の記者会見で、デジタル資産に関する内部作業部会の設置を表明。これまで米SEC(証券取引委員会)を中心に続けられてきた厳格な規制から、より柔軟な方針への転換を示唆した。

特に注目を集めているのは、米国内でのイノベーション促進を重視する姿勢だ。

「組織化されたワーキンググループと明確な法的枠組みは、まさに業界が求めていたもの」とローマ・プロトコルの事業開発責任者ローレンス・アルバ氏は評価した。これまで規制の不確実性により、多くの仮想通貨関連企業がシンガポールやスイスなどに拠点を移してきた経緯があり、新たな方針により米国回帰の動きが加速する可能性がある。

一方、政府系ファンド(SWF)に関しては、ラミス上院議員がビットコインとの関連性に期待を示したものの、サックス氏は現政権のビットコイン政策とは“別物”であると明確に線引きした。

業界からは「仮想通貨の革新を阻止する時代は終わった」との声が上がっており、今後は商品先物取引委員会(CFTC)が業界監督で主導的役割を担うとの見方も出ている。

ただし、デビッド・サックス氏は、ビットコイン準備金に関する大統領の指示が“実現可能性の評価”段階にとどまると説明。この発言は、トランプ大統領の選挙公約を念頭に置いた思惑先行型の市場とはギャップがあり、ネガティブな反応を引き起こした。

分散型予測市場のポリマーケットでは、2025年における米国の国家ビットコイン準備金設立の確率予想が47%まで低下。サックス氏の慎重な発言は、実現に向けた課題の存在を示唆するものとして受け止められており、市場関係者の間で政策の具体化を見極める動きが強まっている。

関連:ビットコインは今後どうなる?2025年の価格予測と3つの注目材料

アルトコイン市場

ソラナ(SOL)基盤のミームコイン発行プラットフォームが仮想通貨市場に歪みをもたらしている、との指摘が市場関係者から相次いでいる。

仮想通貨アナリストのマイルス・ドイチャー氏は4日、「Pump.fun」が、従来のアルトコイン市場の資金流入を阻害していると分析。アルトコインに向かうはずだった投機資金が、Pump.funで発行される小規模なミームコインに流れ込んでいると指摘した。

従来の取引所で取引される流動性の高いアルトコインと比べ、これらのミームコインは流動性が極めて低く、価格が急落した際の損失が著しい。ドイチャー氏は、この状況が2022年の弱気相場を上回るペースで投資家の富を失わせていると警鐘を鳴らしている。

アナリストのMaster of Cryptoも、Pump.funのミームコイン熱がエコシステムから流動性を吸い上げ、投資家の注目を実質的なプロジェクトから逸らしていると批判した。

ドイチャー氏は、これを“地球上最大のカジノ”と表現し、新規参入者の呼び込みツールとしての側面も指摘している。一連の指摘は、暗号資産市場における投機性の高まりと、それに伴うリスクの増大に対する懸念を浮き彫りにしている。

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
04/14 月曜日
16:30
TRONのブロックチェーンアカウント数が3億突破
TRONがブロックチェーンアカウント数3億を達成。TVL196億ドル、日次アクティブユーザー200万超。TRC20-USDTは677億枚の流通量でステーブルコイン市場でのリーダーシップを確立。Web3・AI連携も強化へ。
16:00
ビットコイン建ての生命保険Meanwhile、57億円資金調達
仮想通貨ビットコイン建て生命保険を提供するMeanwhileが約57億円の資金調達を完了した。BTC建て保険の税制優遇や流動性確保などの利点を生かしグローバル展開を加速する計画だ。
15:38
米上院銀行委員長、今年8月までの仮想通貨法案の成立に自信 
ティム・スコット米上院銀行委員長は仮想通貨市場構造法案の2025年8月までの成立に自信を示している。トランプ政権の目指す仮想通貨革命の方針と一致しており、民主党議員や大統領諮問委員会も成立を見込んでいる。
13:18
メタプラネット、約38億円分のビットコイン追加購入
メタプラネットが新たに約38億円相当のビットコイン(BTC)を追加購入。累計4,525BTCに達し、2025年末1万BTCの目標に向け積極戦略を強化。3月末の株式分割も実施し、投資家層のさらなる拡大を図る姿勢が注目される。
11:16
ビットコイン一時86000ドルを回復、トランプ関税の余波で乱高下続く
トランプ関税の影響で乱高下するビットコインは88,000ドル付近まで回復するも再び下落した。半導体関連の関税政策が流動的な中、BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズは『市場不安は全て買う好機』と指摘。
10:26
ビットバンク、信用取引で「ドージコイン」と「ソラナ」の取扱いを開始へ
ビットバンクが2025年4月14日より仮想通貨ドージコイン(DOGE)とソラナ(SOL)の信用取引サービスを開始。最大2倍レバレッジ、期間限定で建玉金利0%、新規申込者全員に200円プレゼント実施中。
10:10
RWA特化ブロックチェーンのマントラ(OM)が前日比90%安と暴落 公式はラグプル疑惑を否定
現実資産(RWA)トークン化に特化したマントラ(OM)の価格が急落。背景については出口詐欺も懸念される中、チームは取引所での大規模な強制清算による影響だと述べている。
04/13 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ストラテジーのBTC売却リスクの懸念分析やXRP12.5ドル到達予測など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRPなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
米中関係には引き続き要警戒だが、ビットコイン相場は値固め続くか|bitbankアナリスト寄稿
米中貿易摩擦激化の中、ビットコインは1100万円台後半で底堅い推移。トランプ大統領の関税90日停止発表で一時1200万円回復も、中国への関税は145%に引き上げ。bitbankアナリスト長谷川氏は『米CPIの下振れから利下げ前倒し観測も』と指摘した。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|ヘイズ氏のトランプ関税影響分析に高い関心
今週は、ビットコイン創設者サトシ・ナカモトの記録の有無、スタンダード・チャータード銀行による仮想通貨XRP投資分析、アーサー・ヘイズ氏によるトランプ関税影響分析に関するニュースが最も関心を集めた。
04/12 土曜日
13:30
ブラックロックの仮想通貨ETF運用資産が前四半期比9%減 2025年1~3月期
資産運用大手ブラックロックが2025年1~3月期の決算を発表。仮想通貨ETFの運用資産が前四半期比で9%減少していた。トランプ政権による関税懸念が背景にある。
13:05
英国初、スコットランドの名門校がビットコイン学費支払いを導入
ロモンド・スクールが英国初となる仮想通貨ビットコイン学費支払いを2025年秋学期から開始。自由市場を重視するオーストリア学派経済学と分散型テクノロジーをカリキュラムに統合し、実践的な金融教育を提供。
10:20
米SEC二回目の仮想通貨円卓会議、トークン化証券の規制緩和を議論
米証券取引委員会が仮想通貨規制の円卓会議2回目を開催。取引所規制を議題として、デジタル証券取引に対する条件付き規制緩和を行う可能性が示唆された。
10:05
株価が一週間で12倍以上急騰の米上場企業Janover、14億円相当のソラナを取得 
商業不動産テック企業Janoverが新資産戦略で仮想通貨ソラナ大量購入を実施。即時ステーキング開始と検証ノード運営計画で仮想通貨エコシステムへの積極参加を表明。株価は1100%超上昇。
08:15
トランプ関税でビットコインマイニング収益悪化 赤字企業続出
米国トランプ大統領の関税政策により、ビットコインのマイニング収益率が大幅に下落。多くのマイニング企業が損益分岐点を下回り、S19 Pro機器の大規模シャットダウンの可能性が高まっていると指摘されている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧