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リップル社CEOが示す2019年仮想通貨業界の課題|取引所上場ビジネスの裏側も指摘

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リップル社CEOが来年浮き彫りとなる課題を予想
仮想通貨界隈から意見が重宝されているリップル社のCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏がツイッターで2019年に仮想通貨業界で語られる課題は情報の開示であると指摘した。取引所の不明確とも捉えられる上場プロセスにおいてさらなる透明性向上を求めた。

今後の課題は仮想通貨取引所における透明性の向上か

仮想通貨市場が一向に回復する気配がないとともに2018年も終わりが近づくにつれ、市場の期待はBakktやNasdaqのビットコイン先物取り扱い開始や米SECのビットコインETFに関する最終判断が控える2019年に移行している。

そのような中で、国際送金のネットワーク構築を手がけているリップル社のCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏がツイッター上で2019年の予想を明らかにした。

2019年が近づくにつれ、私の予想を聞かれることが多くなっている。一つは仮想通貨エコシステムにおける「利害の対立」に関する報道をさらに聞くだろう。

透明性と情報の開示、そして誠実さは重要だ。仮想通貨が成長し、繁栄する為には、自分の仕事を証明して誰がカーテンの裏側にいるか公開していかなければならない。

ガーリングハウス氏がピックした記事を読み解く

ガーリングハウス氏が目を通しておくべき内容として紹介した記事を紹介。同記事内では、仮想通貨取引所に通貨が上場した際に、(取引所が規制当局や顧客に対し)どの程度の情報を、いつまでに開示す流必要があるのか?という現在仮想通貨市場で疑問視される問題について掲載されていた。

取引所の透明性と情報開示について

仮想通貨の高いボラティリティが故に、仮想通貨取引所に上場する際、通貨の価格は上昇する傾向にあるが、一部では取引所に出資している投資家が上場通貨を元々保有しているケースもあると専門家は指摘した。その一例が、世界最大級の仮想通貨取引所であるバイナンスだ。

仮想通貨の取引所においては断トツで1位の出来高を誇るバイナンスでは、最低でも2つの通貨がこのような疑惑に関与していると指摘されている。

Limitless Crypto Investments社は2017年9月、バイナンスに1000万ドルの投資をおこなったが、その当時Power LedgerとICONを保有していたとCrunchbase社は述べている。

その後Power Ledgerが11月1日にバイナンスに上場、最大で200%上昇した。

出典:CoinMarketCap

また仮想通貨時価総額ランキングで42位を誇るICON(ICX)も12月18日にバイナンスに上場しており、その際に+300%以上と値が大きく動いている。

出典:CoinMarketCap

上述の2通貨はバイナンスに上場し一週間以内で、Power Ledgerが258%、ICONが144%の上昇をそれぞれ記録している。

仮想通貨上場ビジネスを利用して、ある意味でのインサイダーや流動性を利用した利益獲得に動いたことが疑惑として指摘されたことになる。

実際に同疑惑について、すでに両企業からの公式声明は発表されており、お互いに状況を否定している。

Limitless Investmentの創設者であるMatthew Jordan氏は、「流動性は利益を確定するものではなく、上場は価格発見(市場で価格が決定されるプロセス)を可能にするだけだ。」と言及。

またバイナンス側も利害関係を否定しており、取引所のグローバルPRマネージャーであるLeah Li氏も以下の様にコメントしている。

弊社は徹底した上場プロセスを有しています。専門のチームが上場を申請するプロジェクトのプロダクト・サービス、チーム、ロードマップ、採用実例やコミュニティ等の項目をチェックしており、高品質の通貨を上場することを心がけています。

なお世界最大級の仮想通貨取引所であるバイナンスは7月の西日本豪雨の被災地に支援金を送付するなど、積極的に社会貢献活動を行なっているほか、この様な疑惑浮上以降は、上場手数料を全額開示した上で、全額寄付する方針を表明、取引所の透明性の問題解決へ先陣をきっている。

現状不透明な仮想通貨取引所の規制

取引所と上場による価格上昇の問題に関して、米国で120年以上の歴史を持つ法律事務所Thompson HineのCassandra Borchers氏が説明している内容があるため、引用して現状を説明する。

このような衝突は今に始まったことではないが、どうせなら(仮想通貨取引所は)情報を開示するべきなのではないだろうか。規制当局は立場を明確にしており、(政府)は取引所を有価証券を取り扱う登録証券取引所として規制することで、オープンにしたい考えを示している。

現状、ボーダーレス送金や取引が行われる中でも各国で統一規制が取られていない仮想通貨業界は、最も議論が先進的な米国内においても各州の規制方針によって異なる仮想通貨取引所ルールを定めており、州ごとに規制の強さが異なるため、実質規制が弱い州に取引所が集中するなど、規制の枠組みが機能していない。

この様な状況を受け、米証券取引委員会(SEC)が米国全体の規制枠組みを策定することを18年2月に言及、ニューヨーク州の検事総長も9月のレポート内で問題挙げるなど、世界的なルールの手本となり得る米国でも、統一見解が今後作られる可能性は十分にあるだろう。

米SECは現在、来年2月に下されるビットコインETFへの最終判断に向けた準備や有価証券に該当するICOプロジェクトの取締で追われている状況にある。しかしリップル社のCEOであるガーリングハウス氏が語る様に、今後取引所が自発的に、または規制に則り、どのようにして透明性を高め、情報の開示を行っていくかも、仮想通貨を発展させていく意味で注目ポイントとなりそうだ。

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