CoinPostで今最も読まれています

米SECの仮想通貨専門部門責任者「有価証券の登録免除申請」に関して初言及|新たな可能性が浮上

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米SECの仮想通貨専門部門の責任者、取り締まり免除書に言及
米国SECの仮想通貨専門シニアアドバイザーを務めるValerie A.Szczepanik氏は仮想通貨・ブロックチェーンイベントWSBAに参加し、ICOトークンに関して、『ノー・アクション通知』という認定状を得て、SECの証券登録から免除されることは少なからず可能と言及した。

ICOの有価証券登録免除は可能か

米大手仮想通貨メディアCoindeskの報道によって、米SEC(証券取引委員会)の仮想通貨専門シニア・アドバイザー(仮想通貨専門部門の責任者)を務めるValerie A.Szczepanik氏は、米時間木曜日にニューヨーク市内で開かれた仮想通貨・ブロックチェーンイベントWSBAに参加し、ICOトークンに関して、『ノー・アクション通知』という認定状を得ることにより、SECの証券登録から免除されることは可能と言及した。

ノー・アクション通知とは

Szczepanik氏の説明によると、この通知は、個人や企業が何を進めたいかに関して具体的に記述した上で、SEC側がそれを受け入れ、「取り締まりの行動を薦めない」という免除。

同氏は、この通知について、実際発行する場合は極めて少ないが、全く可能性がないことではないと以下のように述べた。

私自身の見解では、多くの起業家や企業は、ICOのような資金調達を行おうとしたが、SEC管轄下のルールを満たさない場合が多いだろう。

通常、ICOトークンを発行するにあたり、以下三つの選択肢が可能となる。

  1. 有価証券として登録する
  2. 有価証券分類からの免除を申請する
  3. 有価証券に該当しないと証明

つまり、極めて稀なケースではあるが、仮にSECがそのICOトークンが証券法と関連規制に準拠していなくても、せめて我々SECが投資家を保護するミッションを満たしていれば、『ノー・アクション』を与える可能性は否定しない

もちろん、『ノー・アクション』は法的拘束力を持たないため、実際では、ICO発行側の具体的な提案や約定によるものと、Coindeskは分析している。

またSzczepanik氏は、先日開始したSECのフィンテック窓口部門「FinHub」を利用し、『ノー・アクション』の申請プロセスを行なっているプロジェクトはおそらく多数あり、

(仮想通貨・ブロックチェーン)の分野において、すでにプロジェクト側からコンフィデンシャルな形式、もしくは提案を持ち、アプローチしてきている。私自身では、柔軟な対応を取ることも考えられる。

と自分の立場を表明した。

つい先日、SECのClayton長官がICOを企業の有効な資金調達方法と認めながらも、証券販売であれば「証券法に遵守しなくてはならない」と明言したことに、Szczepanik氏の今回のコメントは少なからず同調しているだろう。

どのようにして有価証券に該当するか

Szczepanik氏は、実際ICOトークンをどうやって有価証券と判断するかに関しては、「販売の構成」によると発言し、投資家がトークンを購入し、それによる利益を期待することさえあれば、十分、Howeyテストの定義に入り、有価証券に該当するとされる。

一方で、同氏は、このような場合も取り上げた。

プロジェクトが発展するにつれ、元々トークンを買った投資家が利益を求めず、トークンを実際利用する場合となれば、トークンの該当種類も変わる可能性はある。

以前SECの企業金融部長であるWilliam Hinman氏が、イーサリアムに関して、「コミュニティが十分に分散化されているため、有価証券には該当しない」と言及したことから、Szczepanik氏の今回の発言はその方針に沿ったものと捉えられるだろう。

その一方、Szczepanik氏はこうも言及している。

仮に、完全に開発し終わったブロックチェーン上で、トークンが発行され、利用される場合、人はそれを(ソフトウェアのように)買ったら、利益の保証はないので、(有価証券に該当しない)可能性があり、むしろトークンを発行するプロジェクト側の提案次第だ。

さらに、同氏は、SECの主なミッションは投資家を保護することであり、イノベーションを阻害することではないと述べ、米国が規制面で遅れていると指摘されていることに異議を訴え、「むしろ、米国の市場が巨大であるため、多くの長期的かつ真っ当なICOは米国市場を対象とする可能性は高い」と、積極な姿勢を見せている。

なお、昨日、Clayton長官は国会の公聴会にて、今までSECは「技術革新と投資家保護が並行するバランスの取れた規制措置を取ってきた」と発言した。

総括的にいえば、仮想通貨部門のトップであるSzczepanik氏がこうして詳しく話したのは、このポジションへ任命されてから初めてのICOに関する公の場での発言となり、極めて重要視されている中、今後SECの規制・取り締まりの方向性にも直結する可能性が高いだろう。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

トランプ大統領が掲げる「国境の壁」建設費用で仮想通貨”ウォール・コイン”の導入を検討|米ブロックチェーン親交派議員
巨額の資金調達に成功した仮想通貨ステーブルコインが廃業へ|全額返金を決意した理由とは
仮想通貨ステーブルコインプロジェクト「Basis」創設者が公式ブログにて、プロジェクトの撤退と、ICOを通して調達した資金の全額返金を公表した。背景に何があったのか、原因を探る。
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者8,000名突破。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア