
資金流入が需要の回復を示唆
オンチェーン分析企業Glassnodeは7日、最新のビットコイン(BTC)市場分析レポートを発表した。
ここ数週間、利益確定の動きが急増している一方で、需要も堅実で資金流入が増加していると報告。また、ボラティリティ(価格変動の大きさ)が過小評価されている可能性があると述べている。
Glassnodeはまず、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が9万7,900ドルの高値まで上昇したことで、市場の活況が再び高まり、資金流入の波が押し寄せ、実現時価総額は最高値の8,890億ドルに達したと指摘した。
こうした価格の反発は、市場参加者に大きな経済的安心をもたらしたとしている。直近の安値7万4,000ドルでは、500万ビットコイン以上が含み損の状態で保有されていた。
現在、含み損のビットコインは200万BTCまで減少しており、300万BTC以上が含み益の状態に戻った格好だ。
Glassnodeは、これにより2024年12月の史上最高値(ATH)からの下落以降、高まっていた投資家の経済的なストレスが大幅に緩和されたと述べた。反発を受けて、新たな資金流入が活発になったとしている。
最近の上昇局面では1日あたり10億ドルを超える純資本流入が見られたと指摘。これは、需要側の力強さが回復しつつあることを示す兆候であり、買い手は現在の市場価格でビットコインを購入する意思があることを示していると述べた。
概して、これは需要の波が利益確定などによる供給を吸収していることを示していると続けた。資金流入が流出を上回っている状況であり、この着実な新規資金流入は、建設的なシグナルだとも意見している。

出典:Glassnode
米国のビットコイン現物ETF(上場投資信託)についても、過去2週間で45億ドル以上の資金流入があり、3月と4月に発生した流出の大部分を相殺したと指摘した。
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ビットコイン現物ETFとは
実際にビットコインを購入し、そのビットコインを基にした信託(ETF)を株式市場で取引するもの。投資家は直接ビットコインを購入することなく、その価値に投資することが可能になる。さらにはデジタル通貨市場の成熟と認知度の向上が期待される。
さらに、Glassnodeはオプション市場に注目。1週間物と1ヶ月物の市場インプライド・ボラティリティ(IV)が急低下し、2024年7月以来の最低値となっていることについて、オプション取引業者がボラティリティの上昇を織り込んでいないことを示唆すると分析した。

出典:Glassnode
なお、インプライド・ボラティリティ(IV)とは、オプション価格に織り込まれている将来の価格変動予想のこと。これが高いほど、市場は「今後、価格が大きく動きそう」だと見ていることになる。
Glassnodeは、IVが非常に低い状況は、実現ボラティリティが上昇する局面に先行する傾向があると指摘した。
また、3ヶ月物と6ヶ月物の長期契約でも、IVプレミアムは、2024年3月の史上最高値以降、縮小しているところであり、市場が将来のボラティリティを過小評価している可能性があるとの見解を示している。