
IRA口座のゴールドをトークン化
米国のゴールド(金)担保型個人退職口座(IRA)プロバイダーSmartGoldは、トークン化プラットフォームChintai Nexusとの提携を発表した。コインデスクなどが3日に報じた。
米国の投資家は、IRA口座で保有するゴールドをトークン化し、DeFi(分散型金融)プロトコルで利回りを得られるようになる。仮想通貨市場の利用者を広げる可能性のある動きだ。
個人退職口座(IRA)とは
米国における、税制優遇措置のある任意の個人年金制度。拠出額に対して所得控除などの税制優遇がある。
ゴールドはChintaiのプラットフォーム上で1:1でトークン化され、MorphoやKaminoといったDeFiレンディング市場で担保として利用できるようになる。
この仕組みにより、投資家は米ドル建ての資金にアクセスし、利回りプロジェクトに投資することが可能だ。裏付けとなるゴールドはIRA口座に保管されたままであり、トラディショナルIRAの場合は規則に従って口座から資金を引き出す際まで課税を延期することができる。
Chintaiのデビッド・パッカムCEOは次のようにコメントした。
流動性不足は、金融サービス業界が数百年にわたって抱えてきた根本的な問題だ。ブロックチェーン技術は、ゴールドのような資産を分割し代替可能なトークンとして扱えるようにする。
なお、今年に入ってゴールドが最高値を更新する中、ゴールド現物を担保とした暗号資産(仮想通貨)市場の時価総額も増加しているところだ。代表的な銘柄はテザーゴールド(XAUT)とパックスゴールド(PAXG)である。
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IRAに関しては、米投資会社大手フィデリティが4月、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)に投資できる退職金口座を立ち上げた。
口座の開設や維持、仮想通貨の保管には手数料はかからず、仮想通貨取引には1%のスプレッドが請求される。利用者はIRAの税制優遇措置を受けられることになる。
その他、米国のドナルド・トランプ大統領は8月、401k退職金制度で仮想通貨などの資産に投資できるようにする大統領令に署名したところだ。
401k退職金口座は、雇用主が従業員に提供する退職金口座である。IRAの場合、投資対象は個人が選べるが、401kの場合は雇用主が用意するプランから選ぶことになる。
仮想通貨運用企業ビットワイズは、8兆ドル(約1,200兆円)規模の401k市場で仮想通貨が1%のシェアを獲得すれば800億ドル(約12兆円)、10%なら8,000億ドル(約120兆円)の資金が流入すると推計した。
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