
「まだビットコインへの投資家は少ない」
暗号資産(仮想通貨)VC大手パンテラキャピタルのゼネラルパートナーを務めるコスモ・ジャン氏は、仮想通貨への投資が今からでは遅すぎるということはないとの見解を示した。CNBCが7日公開したインタビューでの発言だ。
番組ホストが、ビットコイン(BTC)の愛好家は、買うべき分をもうすべて買ってしまい、この先は買い手が少ないのではないかとの疑問を投げかけた。
これに対して、ジャン氏はバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が数週間前に発表した調査を引用し、投資家の60%以上は仮想通貨へのエクスポージャーを持っていないと指摘する。大多数がまだ持っていない状態であり、これからまだ拡大余地があると意見した形だ。
ジャン氏がどの調査に言及したかは不明だが、バンカメが9月にグローバル・ファンドマネージャーを対象に実施した調査報告によると、世界のファンドマネージャーの67%は、ビットコインや、イーサリアム(ETH)など仮想通貨への資産配分をゼロにしていた。
仮想通貨への2%の割り当てを報告したファンドはわずか3%、4%を割り当てているファンドも3%、8%以上を割り当てているファンドは、わずか1%だった。機関投資家が依然として仮想通貨投資に慎重なことを示している。
なお、個人投資家を対象とした調査では7月、米国の成人の約7人に1人(14%)が、現在仮想通貨を保有していると報告していた。
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ジャン氏は、ここ数年は、まずビットコインの信頼性が高まってきたが、今後は、米国議会の立法などにより、他の仮想通貨もその居場所を見つけられるだろうと述べた。
特にイーサリアムやソラナ(SOL)は、急成長中の「大規模テック・プラットフォーム」として成長していくと予想した。
米国ではステーブルコインを規制する「ジーニアス法」が成立しており、イーサリアムその他ステーブルコインの土台となるブロックチェーンの後押しとなる可能性がある。また、仮想通貨の市場構造を定める「クラリティ法案」も議論が進められているところだ。
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ジャン氏は、デジタル資産トレジャリー企業の株価プレミアムについては、彼らがアクティブな方法で資産を増やすことが背景だとして、次のように説明している。
パッシブとアクティブの違いがある。パッシブなら現物ETFを買うだけでも、ETF発行企業が必要なことをしてくれる。
けれど、アクティブな管理者が資産を建設的な方法で取得したり、DeFi(分散型金融)でステーキングしたりして余剰利回りを生み出すなら、それには価値がある。
ジャン氏は、今年は株式投資家たちが仮想通貨を本格的に受け入れ始めているとも指摘した。
ビットコイン現物ETFへの流入が盛んなことにもそれが示されており、ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」だけでも1,000億ドルの資産規模に近づていると指摘。ブラックロックで最も収益性の高いETFの一つになったと話す。
6日時点で、IBITの運用資産総額は940億ドル(約14兆円)に達している。
ビットコイン現物ETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。実際にビットコインを購入し、そのビットコインを基にした信託(ETF)を株式市場で取引するもの。投資家は直接ビットコインを購入することなく、その価値に投資することが可能になる。