- CES2019でトヨタ研究所の元CFOが「自動車産業とブロックチェーン技術」に言及
- トヨタ研究所の元CFOは、自動車産業でのブロックチェーン実用例として、以下の3点を挙げて解説した。
・運転免許証のデジタル化
・シェアリングサービスでの導入
・自動運転に関するM2M
自動車産業とブロックチェーン技術
ブロックチェーン技術を企業で導入する動きは、世界的に加速しつつある。自動運転の開発・研究、実用化を進める「自動車産業」も例外ではない。
先日開催された世界最大の家電見本市「CES2019」では、トヨタ研究所の元CFOで現Mobility Open Blockchain TechnologiesのCEO「クリス・バリンジャー」氏が登壇。自動車産業とブロックチェーン技術について講演。その内容について、ウェブメディア「ビジネス+IT」がレポートしている。
講演の中でクリス・バリンジャー氏は、世界経済会議による「2025年の予想」を提示。6年後には、全世界GDP(国内総生産)の内、10%がブロックチェーンに保管されることになる可能性があるという。
自動車産業でのブロックチェーン実用例
自動車産業でのブロックチェーン実用例としては、以下の3点を挙げた。
1.運転免許証のデジタル化
第一に、紛失リスクの高い、免許証のデジタル化だ。盗難された情報を悪用される「identity theft」などの被害を未然に防ぎやすくなる。
2.シェアリングサービスでの導入
第二に、自動運転タクシーやライドシェアを挙げており、米国で主流の配車アプリ「ウーバー」などのライドシェア企業を通す必要がなくなる。
3.自動運転に関するM2M
第三に、自動運転分野のM2M情報データが挙げられる。M2Mとは、「Machine to Machine(機器間の通信)」のことだ。
すでに世界では、車両やスマートフォン搭載用の”200億を超すコネクテッドデバイス”が存在しているとされるが、このデータをブロックチェーン上に乗せ、情報の伝達速度を向上させることで、より安全な車社会を実現できるだけでなく、懸念されるハッキングリスクなども軽減できる可能性が高いとされる。
ベンツとブロックチェーン
CoinPostでも昨年3月に報じた通り、メルセデス・ベンツの製造を手がける独ダイムラー社が、独自仮想通貨「mobiCOIN」の発行を発表した。
発行対象は、環境に配慮し、安全運転を習慣的に行っている”優良ドライバー”500人に選出された人々で、スマートフォンにmobiCOINのアプリをインストールすることで、運転記録がダイムラー社に送信される仕組みだ。
大気汚染などが問題視されるドイツは、環境先進国としても知られており、ブロックチェーン技術を活用することで、CO2の過剰排出を減らす効果も期待されている。
ポルシェとブロックチェーン
また、ドイツの高級自動車メーカーのポルシェでは昨年12月、スペインの大手銀行「ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)」の分散型台帳技術を用いたプラットフォームを利用し、1億5,000万ユーロ(約190億円)の融資を受けた事例もある。
BBVAはこの件で、「ブロックチェーン技術は、文書の処理をより安全性や透明性を向上させることを可能にし、トレーサビリティや改ざん困難性をもたらす」と高く評価。「ブロックチェーン技術を応用することにより、取引を自動化し、運用リスクを最小化させることを期待できる」と述べた。
また、ポルシェの金融支店長も「目標は、現在取り組んでいる全ての領域のビジネスを前進させることであり、ブロックチェーン技術は、相当なポテンシャルを秘めている。」と認めている。
ブロックチェーン技術に高い関心を示すポルシェは、2017年6月に開催された”ポルシェ・イノベーション・コンテスト”で優勝し、ブロックチェーンとAI開発を行うベルリンのスタートアップ企業「Xain」とパートナーシップを締結しており、ブロックチェイニング・カーの開発を提案。
この件について、ポルシェのファイナンシャル・ストラテジストは、次のように言及している。
車はブロックチェーンの一部となり、サーバーを経由せず、直接的なオフライン接続が可能になる。アプリを通して、車のキーを開閉するためのプロセスは”わずか1.6秒”で完了し、今までの6倍の速さに相当する。さらに、効率的な暗号化で保護される。
ブロックチェーンを利用することで、データをより迅速かつ安全に転送可能であり、充電スタンドや駐車、宅配者による一時的なアクセスがこれに該当する。
ブロックチェーンアプリをテストで処理されるデータは、監査可能なデータロギングを通して、分散化されたブロックチェーン内で暗号化を行う。これにより、将来の”自動運転”に提供される機能改善を図ることができるだろう。
自動車産業は、他車両と道路状態や交通量などのデータ共有を図ることで、”自動運転”などの機能改善に役立てようとしている。
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