イーサリアムのプライバシー強化
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は16日、プライバシーとセキュリティを強化するための暗号ツール「Kohaku」をライブで紹介した。
ブテリン氏は、イーサリアムはユーザーのプライバシーという点ではまだ遅れており、この最後の行程こそ、より良いものを実現するために、一致団結して努力する必要があると述べた。プライバシーに加えて、セキュリティ面も同様だとしている。
Kohakuウォレットのデモでは、ユーザーがイーサリアム系の取引保護プロトコル「Railgun」との連携機能を使って、公開状態の資金をシールド(非公開化)することに成功した。
この取り組みは、メタマスクやレインボーなど、イーサリアム連携ウォレットに、オプトイン(任意参加型)のプライバシー保護を導入することを目指している。ブテリン氏は次のように話した。
プライバシーとは自由だ。プライバシーツールは、私たちの行動があらゆる中央集権型あるいは分散型の強権的な政治・社会組織にどう検知されるかを常に心配することなく、自分のニーズに合った方法で生活する余地を与えてくれる。
Kohakuは、オンチェーンのプライバシーとセキュリティを強化するためのオープンソースの取り組みだ。開発者が中央集権的な第三者機関に依存せずに、安全でプライバシー重視のウォレットを構築できるようなモジュール式フレームワークを提供する。
将来的には、ネットワークレベルの匿名性を実現するミックスネットやZK(ゼロ知識証明)ベースのブラウザといったツールも含まれるようになる可能性がある。
ゼロ知識証明とは
取引の正当性を証明しながら情報そのものは秘匿できる暗号技術。例えば、ブロックチェーンでは送金額や送信者・受信者を公開せずに取引が正しいことを検証可能にする。
今後のロードマップ
Kohakuの今後の開発ロードマップには、ユーザーのメタデータをマスキングするための機能や、プライバシー重視のブラウザ環境のための基盤も組み込まれている。また、ゼロ知識証明を用いたアカウント復旧も挙げられる。
これは、ユーザーがメールアドレス、電話番号、身分証明書ではなく、ZK-EmailやZK-Passportなどの暗号証明を用いることで、独自にアカウントを復旧し、個人情報を漏洩することを防ぐものだ。
さらに、昨今は量子コンピュータの登場によって暗号署名が脆弱になる可能性が指摘されているところだが、Kohakuは、新しい量子耐性署名スキームをサポートし、ユーザーのアカウントを長期的に保護することを念頭に置いている。
その他に、イーサリアムのプライバシーチームは、悪意のある利用を防ぐためのコンプライアンスツールの開発も進めているところだ。これが実現すれば、ユーザーは金融取引を秘匿しながらも、犯罪的意図を示唆するものではないことを証明することもできる見込みだ。
イーサリアムは9月にエコシステムのプライバシー強化ロードマップを発表。「プライベート書き込み」「プライベート読み取り」「プライベート証明」という3分野を中心に、今後数年間取り組みを行う計画だ。
関連:イーサリアム財団がプライバシー強化ロードマップ発表 3つの重点分野で取り組みへ
なお、プライバシーをめぐっては、「暗号化されたビットコイン」とも呼ばれるジーキャッシュ(ZEC)が匿名機能により注目されており、現時点では過去1か月で約3倍上昇している。
関連:ジーキャッシュ連日高騰、時価総額100億ドル突破 1カ月で約4倍上昇



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