トランプ・ショック以降の弱気市場
ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズのトム・リー会長は、10月10日以降暗号資産(仮想通貨)市場が弱体化している要因について見解を述べた。CNBCが21日に報じた。
10月10日に、ドナルド・トランプ米大統領が中国への関税を大幅に引き上げると警告したことを受けて市場が下落。リー氏は、この出来事の残響がいまだに続いていると分析する格好だ。
具体的には、10月10日の清算イベントが大規模であったために、マーケットメーカーを機能不全に陥らせたと述べる。マーケットメーカーは、仮想通貨市場で流動性を提供する上で不可欠な存在だ。
彼らは大きな損失を受けた場合、資本を調達するためにバランスシートを縮小し、取引を減らす必要がある。また、価格が下落すると、リスク管理のために、さらに売りを増やす必要がある。
リー氏は、過去数週間にわたって仮想通貨市場が徐々に下落していることは、このマーケットメーカーの機能不全を反映していると分析した。
また、2022年には同様の状況が解消されるまでに8週間かかったと指摘。現在はまだ6週間目であるとしている。ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、この清算と流動性の弱体化を背景に市場の先行指標となっている面があるとの見方も示した。なお、ビットマインはイーサリアム・トレジャリー企業として知られている。
マーケットメーカーとは
取引所の注文板に買い注文と売り注文を提示して、流動性を提供する専門業者。
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ステーブルコインのディペッグが原因か
リー氏は、10月10日前後に発生したショックは、仮想通貨における自動清算と呼ばれるプロセスに関連していると述べた。
特にある取引所で、特定のステーブルコインの価格が、1ドルから0.65ドルまで急落したと指摘。この流動性の問題により多くのアカウントで自動清算が実行されたと指摘する。
この結果、清算が他の取引所にも連鎖し、直前まで利益が出ていたアカウントを含め、約200万のアカウントで清算が発生したと続けた。
リー氏は、このエラーは本質的に「バグ」または「コードエラー」であったと見ている。価格設定において、内部的な相場に依存するのではなく、複数の取引所から価格を引っ張ってくるべきだったとして意見している。
リー氏は具体的な取引所や銘柄の名前は出していないものの、10日には最大手仮想通貨取引所バイナンスで、エセナの合成型ステーブルコインUSDeなどが大幅なデペグ(価格乖離)を引き起こしていた。
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バイナンスは、再発防止のために新たな安全策を実施したとしている。関連するパラメータを調整しており、USDeなどの価格指数のウェイトに償還価格を加算すると述べた。
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リー氏は、今回問題になったのは仮想通貨市場における自動精算のコードと価格の引き出し方だったと指摘。業界がこれを修正すれば、こうしたエラーは二度と起こらないだろうとの見解を示した。
また、DeFi(分散型金融)の性質として、コードにエラーが見つかることはあると述べる。投資家は仮想通貨で過剰なレバレッジを使用すべきではないと注意を促した。
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