CoinPostで今最も読まれています

経済面から見たビットコインライトニングの課題|Bitmexリサーチ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

経済面から見たライトニングネットワークの課題
ビットコインのスケーリング問題の解決策として期待されるライトニングネットワークの普及や課題を、ルーティング手数料の市場動向と流動性プロバイダの投資収益のバランスから読み解く。Bitmexリサーチが分析。

経済面から見たライトニングネットワークの課題

ビットコインのスケーリング問題の解決策として期待されるライトニングネットワーク(以下LNと表記)。仮想通貨取引所大手のビットメックス(BitMEX)の調査部門は、LNが抱える課題を経済的側面から分析した最新のレポートを発表した。

ビットメックスは、昨年初めには未だ抽象的な概念だったLNが、現時点において実験的レベルにまで到達しているため、あらためて分析を行うに値すると評価している。

公開されたレポートでは、LNの技術的側面ではなく、LNプロバイダのインセンティブとしての、ルーティング料金の収益性を投資の観点から分析しているが、ビットメックス調査部門は、多くの批判を集めるLNのルーティング問題よりも、まさにこの収益性のバランスこそが、LNが直面する重要な課題となる可能性が大きいと述べている。

通常、ビットコインのオンチェーントランザクションは、支払いを行うにあたりユーザーがその手数料を指定、マイナーは、より高い手数料が設定されているブロックを選択して、ブロック生成を試みるという形となっている。一方、現在のLNでは、ルーティングノード運営者が料金を設定し、ユーザーがより安い手数料が設定された支払いチャンネルを選ぶという、逆の方法が行われているようだと、ビットメックスは指摘している。そのため、業者間で、サービスの差別化と料金の競争が起きやすい、より優れた料金体系を提供する可能性があるという。

しかし、ルーティングノードの運営は、料金設定調整だけでなく、支払い需要が大きいが接続が不十分なノードを発見するためのネットワーク分析、出金と着金双方向の十分な流動性を確保するための継続したチャンネル監視、ノード機器のクラッシュ等から資金を保護するためのバックアップ対策など、複雑な要素が多く、成功することは一朝一夕ではいかないと分析した。

LNに特化した分析、検索エンジンであるウェブサイト「1ML」によると、7615のパブリックライトニングノード が存在しているというが、うまく運営しているものは数百にすぎないのではないかとビットメックスは推測している。

料金収入を最大化を目的とした実験

このように未だ多くの技術的課題を抱えるLN料金市場だが、ビットメックスは、将来の標準的な課金体系はどのようなものになるのかを探るべく、独自のライトニングノードを設置し、3か月間にわたり、料金レートを定期的に変更して料金収入を最大化する実験を行った。

このグラフからは、手数料のレートが、ノードの料金収入に影響を与えていることが読み取れるが、この実験結果に基づくと、収益最大化手数料率は約0.1 bpsとなるようだとビットメックスは説明している。 さらに、ビットメックスはそれぞれの手数料率における年間投資収益についても、次のような分析を行っている。

この実験では、最高年間投資収益率は2.75%であり、最高手数料における「バケツ」投資収益率はほぼ1%であった。現在は自動化されていないライトニングチャネルのバックアップ機能をリアルタイムで行える機能が実装されるようになれば、少なくとも理論的には、比較的低リスクで魅力的な利益を生み出すもののように思えるとビットメックスは評価している。

しかし、一般的に仮想通貨関連の投資家はハイリスク・ハイリターンを好む傾向にあり、 LNが提供する、比較的ローリスク・ローリターンの投資モデルが、新たな投資家を惹きつけることは、当初は難しいかもしれないと指摘している。

一方、現在のLNノード運営の多くは、このような投資収益率には興味を持っていない愛好家で占められている可能性が大きく、ライトニングチャンネル開設のためのオンチェーン料金などを考慮すると、おそらく損失を出しているのではないかと推測している。

ビットメックスの見解によると、このような趣味レベルのノードによる流動性提供のみでも、LNは、容易にビットコインのオンチェーン取引の数倍まで拡大することが可能だという。しかし、LNに期待されているような規模に到達するためには、投資収益率に敏感で、リスク調整後の収益の最大化を望む投資家を惹きつけ、流動性を高めることが欠かせないとビットメックスは分析している。

そして、投資収益を優先する投資家が多く参入してきた場合、LNの手数料市場は現在のユーザーに有利な状況から、大きく変わらざるをえないと危惧しつつも、ノード開設の参入障壁の低さや、LNのアーキテクチャや設計の特性を考慮すると、最終的にはユーザー本位の低料金制へ軍配が上がる可能性が大きいとも予想してている。

また、LNが進化したあかつきには、LNがリスクフリーレートで、ノード運営による収益を見込めるといった状況も考えられるという。さらに、将来LNのノード運営に関するほとんどの技術的問題が解決され、競合する料金設定が可能なアルゴリズムが開発された場合、LNのリスクフリーレートは、より広い金融市場の状況(金利)やLNにおけるトランザクション需要と連動することとなるだろうと分析している。

▶️本日の速報をチェック
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。
07:15
米SEC、イーサリアム現物ETF申請を非承認する可能性高まる
イーサリアム現物ETFの米国での承認は不透明。SECとの一方的な会合や訴訟の影響で、2024年後半までの承認延期が予想されETH今後の価格に下落圧力がかかっている状況だ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア