- 「IPOよりもビットコインだ」、米著名投資家
- BTCなどに巨額な投資をしている米著名VC投資家Tim Draper氏はIPO市場の低いボラティリティが投資家をビットコインなどの仮想通貨に駆り立てると予想。
Tim Draper 「IPOよりも仮想通貨のリターンが高い」
米著名ベンチャー投資家Tim Draper氏が米CNBCのTVインタビュー で、「新規公開株(IPO)市場における刺激的なボラティリティの欠如」が、投資家をビットコイン(BTC)などの仮想通貨に駆り立てる可能性を指摘した。
配車サービス大手のUber(ウーバー)とLyft(リフト)が相次いで上場を果たしたが、Draper氏は両社が既に知名度を築いたという理由から、今後株価が劇的に上昇する可能性は低いと述べた。
市場の反応はもはや無関心な状態というレベルに達してしまった。UberについてもLyftについてもずっと前から知っているし、新鮮味がない。(両社の)株価は年に10~20%上がれば良しというところで、100%の上昇などあり得ないだろう。
Draper氏いわく、公開市場は「成長を阻む可能性のある過剰な規制」に抑制されており、ボラティリティが生みだす刺激が不足している。そうした状況に飽和気味の投資家が、刺激と高リターンを求めて仮想通貨市場に流入しても不思議ではないとしている。
ITバブルや2017年の仮想通貨バブルとの類似点
またDraper氏は、初期のインターネットが辿った道のりと、ブロックチェーン技術と仮想通貨の現状を比較し、類似点を見いだしている。
1990年代半ばから起こった、「ITバブル」や「ドットコム・バブル」とも呼ばれるインターネット関連企業株の異常な高騰は、2001年にバブルが崩壊したことで終止符が打たれた。当時は新卒の見習い技術者やベンチャー起業家が、プレゼンテーションを行うだけで驚くほど資金が舞い込んだ。こうした過去は一時期のICO市場の過熱ぶりを彷彿させる。
現在、多数のスタートアップが分散元帳技術(DLT)を利用し、最先端のソリューションを構築しているが、こうした急発展が様々な産業に恩恵とともにリスクをもたらす可能性は否めない。
インターネット時代のように、真の経済的価値を持つ仮想通貨だけが存続し、無価値なトークンを排除するであろう「仮想通貨の絶滅」が起こると考えているアナリストも存在する。米仮想通貨資産運用会社Bitwise社のMatt Hougan氏は今年2月、仮想通貨バブルがいずれ崩壊し、95%の仮想通貨は消える運命にある」と予告した。
またJPモルガン・チェースは先日、現在のBTCの動きと2017年のバブル相場との類似点を指摘する分析レポートを発表した。こうした予言や予測は決して「不吉」なものではない。インターネット・バブルではGoogleやApple、Amazonなど、真の実力と価値をもった企業だけが生き残り、現在も成長を続けている。
「今後10年間で、仮想通貨とブロックチェーンが人間の生活のあらゆる面の分権化に貢献する」というDraper氏の言葉が現実となるためには、真実の価値をもった仮想通貨だけが生き残り、市場に成熟のチャンスをもたらす転換期が必要なのかも知れない。
ビットコインの優位性、年内1万ドルの予想も
BTCを筆頭とする暗号資産は、2019年初頭以来120%以上の成長率を記録している。上位仮想通貨は、S&P500やナスダックを上回る勢いを見せていた。保守的な見通しの中にも、「年末にはビットコインが1万ドル(約110万円)に達する」と予想しているものもある。
米大手仮想通貨投資運用ファンド、モルガン・クリーク・デジタル社のCEOのMark Yusko氏は、投資対象として株式など一般的な金融商品よりもビットコインを推奨している。
CNBCの取材に応じた同氏は、ビットコインの優位性について自らの見解を述べた。同氏いわく、ビットコインは一般的な金融商品との相関性が低く、分散投資によるリスクヘッジに適している。高ボラティリティの商品=BTCをポートフォリオに組み込むことで、多様化を図れるという。
なお、米CNBCの仮想通貨投資アナリストのブライアンケリー氏もポートフォリオの2-5%をビットコインに投資することを推奨しているほか、米国の大手仮想通貨投資運用ファンドのGenesis Trading社のマイケル・モロ氏もコインポストの取材に対して「投資資産の1%までをビットコインに当てるべき」と言及していた。