日本政府が中銀デジタル通貨(CBDC)の利用検討へ
日本政府が、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の利用を検討することを公式に表明することが分かった。日経新聞が報じた。
近く閣議決定される経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。「骨太の方針」は経済財政政策の基本。そこに明記するということは、政府がCBDCについて具体的な検討を開始すると、国内外に意思表示することになる。
日本のCBDCについては、日銀が今月2日に技術面の論点をまとめたリポートを公表、CBDCの実証実験を行う方針も明らかにした。その時点で、骨太の方針へ反映するかを政府が検討することは報じられていた。
骨太の方針には、日銀が技術面での調査のために実証実験を開始することに加え、各国と連携することも記載する。政府と日銀が、米欧との協議を本格化するという。
2日の時点でも、日銀はCBDCを発行する計画はないとの立場を変えていなかったが、今まで研究は進めてきた。今年に入ってイングランド銀行(BoE)や国際決済銀行(BIS)らと共同研究を開始したり、2月には日本の財務省と金融庁と日銀で、CBDCの研究を進めるために3者会合を行っていることが分かった。
日本では、財務省が所管する日銀法によって日銀が銀行券を発行し、日銀券の種類も財務省が政令で定めると決まっているため、CBDCを発行するかどうかは、日銀ではなく政府が判断することになる。
CBDCを利用する際は、日銀法の改正が見込まれるため、政府が関わる意思を示したことで実現に向けて一歩前進した格好だ。
今後の動きとしては、各国の財務当局と通貨政策などについてCBDCの議論を本格的に実施する案が出ている。主に技術の標準や発行のタイミング、協調体制を米欧と検討するとみられる。
米フェイスブックが計画を主導する仮想通貨(暗号資産)リブラのホワイトペーパー発表によって、各国のデジタル通貨を巡る動きは加速した。先進国では中国のデジタル人民元の開発が先行している。
CBDCの検討には慎重だった米国では連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が6月、CBDCについて研究を進めると明言。欧州では5月にフランスがデジタルユーロの実験に成功するなど、動きは活発化してきている。
デジタル人民元が先に普及してシェアを広げると、現状の米ドルとユーロ、円の通貨の3極体制が脅かされる懸念があるため、取り組みを加速させる。
参考資料 : 日経新聞