- 金融庁が登録審査基準を厳格化か
- 基準厳格化だけではなく、立入検査の結果をGW明けにも総括すると日経新聞が報じています。一度業務改善命令を出されたZaifやGMOコイン、特に不穏な動きが目立つZaifへの対応が発表されるのかが焦点になるでしょう。
- 基準厳格化により何が変わるのか?
- プラス材料としては、取引所の運営の質が向上し、業界健全化に進むことです。一方で、新規事業者の登録遅れや申請数減少の恐れもあり、また大手企業が既存取引所の買収する手法が増加するかもしれません。
金融庁が登録審査基準を厳格化か
金融庁が、仮想通貨交換業者に対して実施した立入検査の結果を、GW明けにも総括することを明らかにした、と日経新聞が報じました。
今回の日経新聞で報じられている中で重要な点は以下の3点です。
- 立入検査結果をGW明けにも総括
- 今夏より新規業者の登録審査に新方針を適用
- 審査には重点5項目を導入(詳細は下記)
2月に、日経新聞は、みなし事業者への検査結果が6月までに判断されると報じています。
今回の総括では、一度業務改善命令を出されたZaifやGMOコインへの対応も発表されるかどうかが焦点になると思われます。
マイナー通貨や、国内で唯一人気通貨ネムの板取引を採用していることで人気のZaif、及び運営元のテックビューロは、以下のような不穏な動きを見せ、不安視されています。
- 一般社団法人日本仮想通貨交換業協会の会見欠席
- 不安定なサーバー
- 4/26に相場の変動によるストップ注文及びロスカット連鎖が原因で注文が通らない状態に
- 資本金を13億8308万2000円→1億円へ減資
- 本社の移動
審査の厳格化による新基準
日経新聞によると、審査担当官曰くノウハウが足りず手探りだった部分を、「重点5項目」の導入により細部を詰めていく方針とのことです。
この5項目について、全てが明示されている訳ではありません。
日経新聞で公表されている審査基準は、以下の通りです。
- 顧客と業者それぞれの資産の分別管理徹底
- 確認についても、1日1回だけではなく、時間単位で残高をチェックする。役員達が顧客資産を横領など出来ないような対策も考案する。
- 内部管理体制の強化
- 株主と経営を分ける。システム開発と管理の担当者を分かることでシステム悪用などを防ぐ。
- オンライン状態のまま仮想通貨を保管させない
- コインチェック事件でネムがホットウォレット(オンラインのウォレット)管理だった事を問題視。マルチシグ(秘密鍵の複数分割)対応も求める。
- 匿名性通貨を原則認めない
- マネーロンダリングなどに使われやすい仮想通貨の取り扱いを認めない方針。
- 書面と会社訪問で審査
- 書面で確認後、実際に訪問しシステムの稼働状況、人員規模を確認する。立入検査による業者の問題発覚が相次いだ結果とみられる。
基準厳格化により何が変わるのか?
- 基準厳格化による変化
取引所の運営の質が向上
登録審査基準が厳格化することにより、業界全体の登録取引所の質は向上していくでしょう。
コインチェック事件でも問題になった、企業の透明性なども向上し、業界健全化に繋がる事で、投資家保護が進み、日本の仮想通貨業界の発展の一助となるかもしれません。
新規事業者の登録遅れや申請数減少
一方で、登録審査が長引き、新規事業者の登録が遅れることが懸念されます。
現状、多くの大手企業が、仮想通貨業界、交換業に対して参入の意思を示しています。
しかし、審査が厳しくなる事で、登録されるまでの期間が長引き、サイバーエージェントビットコインのように取引所開設を見送る大手企業、また申請自体をしない企業が増える可能性があります。
既存取引所の買収
新規事業者の登録に掛かってしまう期間を考えた場合、大手企業は買収の道を選択する可能性が高まるでしょう。
既に、コインチェックを買収したマネックス、東京ビットコイン取引所を買収したDMM、子会社を通じ「ビットアルゴ東京取引所」に資本参加することを決定したヤフー、という3つの大手の例があります。
一から体制を形成していくより、ノウハウを吸収することを選択する企業が増えるかもしれません。
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