ビットコイン、価格変動で「3つの注目ポイント」
仮想通貨市場は25日、ビットコインが75万円台に回復。年初から好調な推移にあった主要アルトコインにも一部買い戻しの動きが見られた。
株式市場では、日経平均が前日比1,200円高と高騰。米NY株式市場では、ダウ平均が過去最大の2,000ドル超高を記録するなど急反発した。新型コロナウイルスの感染拡大に対する、2兆ドル(約220兆円)規模とされる巨額の経済対策法案の可決を見越した買い戻しが先行した。
緊急避難的なドル買いの動きに一服感も見られたことで注目が集まっているのが、金市場とビットコイン市場の動向だ。ダウ先物連動が薄まる一方、FRBの無制限量的緩和の発表以降は、金チャートとの相関も指摘されるなど、「デジタル・ゴールド」の資産性が失われていない見方も出てきている。
BTCチャート | 金チャート |
「デジタル・ゴールド」のケースで見た場合に注目したいのが、通貨の価値下落に対するヘッジだ。
コロナウイルスによる経済・金融市場の混乱で行われる金融政策、特に米連邦準備理事会(FRB)が23日に発表した量的緩和を当面無制限にする方針を受け、通貨のインフレーション(価値減少)懸念も高まっており、このポイントが金だけでなくビットコインでも重要になる可能性がある。
MarketWatchが本日報じたところによると、ゴールドマンサックスのアナリストらは、FRBの金融政策を引き合いに、金の投資時期到来を主張。これまで1オンス1800ドルの12ヶ月間の価格目標を掲げていたが、それが変わりつつあると論じている。
現在、経験しているような経済的ショックを収束する目的で、政策立案者が動く時、金は通貨の価値下落に対するヘッジとして働く。
これは、私たちはこれまでも、金が最後の逃避先となり得る通貨であると主張してきたことと同様だ。
また、一時的に見られた株価暴落のみならず、リスク資産以外も投げられる「Flight to cash(現金への逃避)」の流れや、今回の高騰事例も踏まえ、リーマン・ショックの発生した2008年の事例に類似点が見られ始めていると指摘した。
2008年当時、株価とともに金が投げ売られる局面も見られたが、強力な金融緩和が講じられる中で、ドル価値下落の懸念が金市場の高騰に繋がった事例がある。
同社が挙げた今後の注目点は、FRBバランスシート拡大、先進国の財政赤字、欧州通貨同盟の持続可能性への懸念の3点となる。このような変化がリーマン・ショック後と類似した、通貨価値の低下懸念へ発展する可能性が高いと説明する。
ビットコインが、「デジタル・ゴールド」としての価値を高めるか。これからが見所と言えそうだ。
その他の注目点
そのほか、ビットコイン市場独自の注目ポイントもある。
約半日後に控える、ビットコインマイニング(採掘)史上最大級のデフィカルティ調整と、2週間後に迫ったビットコインキャッシュの半減期だ。
BTC.comのデータによると、次回の難易度調整で−14.27%を予定。2016年以降、過去2番目に大きい調整が予定される。
デフィカルティの調整は現在大幅に遅れが生じていたブロック生成速度や、一部のマイナーの撤退をリフレッシュするプラスの要素も強い。
半減期が約2ヶ月後に迫るビットコインの動向は、マイナーとより密接な関係にある。デフィカルティ調整後や、先に訪れるビットコインキャッシュの半減期のマイナー動向は、史上も注目する重要ポイントだ。(詳しくはこちらの記事から:ビットコイン、3日後に過去最大規模の難易度マイナス調整 半減期後の予想ケースでも注目)
BCH半減期
ビットコインキャッシュの半減期は、約2週間後に迫る。
一方で、ビットコインキャッシュの収益率とビットコインの収益率(マイニング報酬は6.25BCHに)が均衡している状況にあるため、半減期後にマイナーが収益率の悪化を理由に、BTCやBSVに移る可能性も指摘されている。
ビットコインキャッシュのマイナーがどのように動くか、ビットコイン半減期の予測ケースとしても注目したい事例に挙がっている理由だ。
いわゆる、希少性を鑑みて買いに転じるか、ハッシュレート動向への懸念が一層強まるのか。半減期からビットコイン半減期までの期間で、投資家の判断材料の一つに挙がる可能性がある。
留意点としては、ビットコインとマイニング難易度の調整タイミングが異なること。
ビットコインが、2週間に1回(2016ブロックごと)の頻度で難易度を調整するのに対し、ビットコインキャッシュは、約1日(144ブロックごと)に、その時点のハッシュレートにあわせた調整が行われる。