クレイグ・ライトを批判するメッセージ
マイニングで獲得したビットコイン(BTC)の所有権を巡る裁判で、被告のクレイグ・ライトが自身のものだと主張するアドレスが、クレイグを批判するために利用されたことが複数メディアから報じられ、仮想通貨業界で大きな話題になっている。
More than 100 addresses with unmoved bitcoin mined in 2009 (Satoshi?) just signed a message against CSW from r/bsv
「クレイグは嘘つきで詐欺師だ。クレイグはこのメッセージに署名するための鍵を所有していない」とのメッセージに対し、該当する145のアドレスの所有者が秘密鍵を用いて署名した、と報じられた。上述した裁判では110万BTCの所有権が争われており、本件が影響を与える可能性もある。
判断は時期尚早との声も
しかし、クレイグのアドレスと決めつけるのは時期尚早との声もあり、該当アドレスについて、情報が錯綜している。
今回焦点となったクレイグが裁判で提出したアドレスは、原告が不注意に公開したことで、明らかになったものになる。
一方、これらのアドレスは以前公開されたリストの一つを参照にしているもので、1月に提出された最終的なアドレスリスト「court order:ECF 369」とは異なるものである可能性を指摘する声もある。
2020年3月、被告側の弁護士は裁判所に対し、DE 369-1を『非公開』の状態とする申立てを行なっており、非公開が現在のステータスになっている。369-1が明らかになるまで、正確なクレイグの所有ビットコインを確かめることができないと指摘する。
メッセージの内容や公開されているリストから判断すれば、今回公開されたアドレスはクレイグのものではないということになるが、最終的に確定するのは、最終的な裁判所資料等が公開されたタイミングに判断することも必要となりそうだ。
裁判について
ビットコインの所有権を巡る裁判では、2009年から2011年にかけて、故デイブ・クレイマンと共同で行なったビットコインの所有権について、両者で分け合うはずであった報酬を、クレイグが全て着服したとして、クレイマンの遺族が訴えている。
裁判所は原告側の主張を認め、クレイグ側に報酬の50%をクレイマン側に渡すよう命じたが、該当するビットコインの秘密鍵の所在を巡り、状況が二転三転した。当初、鍵とBTCにアクセスするために必要な情報を入手できたと申告していたが、その後「鍵所有者は弁護士」にあると主張。最終的には、弁護士がの担当弁護士はビットコインの秘密鍵を受け取っていないとコメントするなど、現時点で報酬の支払いは行われていない。
次回の審理は7月6日に行われる予定だ。