ビットコイン半減期の好影響
ビットコインネットワークは7月1日未明(2時頃を予定)に、新たなマイニング難易度の調整タイミングを迎える。
BTC.comのデータによると、次回の難易度調整予想幅は+0.06%と前回比とほぼ同水準。+14.95%で完了した前回の難易度調整からハッシュレートが安定したことが要因にあがる。
5月の半減期から、-6.00%(5月20日)、-9.29%(6月4日)、+14.95%(6月17日)と3度に渡って、上下に乱高下したハッシュレート及び採掘難易度であったが、半減期後に混乱したマイナーとその収益性もある程度落ち着いたことが、今回の調整データから示された格好だ。
半減期後は、マイニングプールの関連アドレスから採掘BTCの(資金売却の動きに関連される)アウトフローが活発に見られていたが、状況も一服したことで、半減期で減少した新規発行量の好影響が見られるかもしれない。
マイナーのアウトフロー
新規発行分の取得権利を得やすい立場にあるマイナーと、それを運営資金に回す環境から、マイナーアドレスのアウトフローは、市場が「売り圧力」として警戒するポイントの一つとなっている。
直近では24日、分析企業CryptoQuantのデータで9098BTC(90億円相当)の大口送金履歴が確認されている。
大手PoolinとHaoBTCから、7153BTCがOTC取引(店頭取引)で売却された可能性が指摘され、半減期後の収益性悪化を示唆するとの見方と共に市場の売り材料になった。
一方、同サイトのデータ上では24日でピークアウトしており、ビットコイン流出傾向は弱回ってきている。
マイナー正常化後に期待される半減期の影響
半減期の目的は、大きく分けて2つのポイントがある。
- 通貨の流通量の増加量を抑制することで、その通貨の「希少性」を高めること
- 通貨の発行量の引締めによって、インフレーション発生を抑制し、価格の安定化を図ること
ビットコインの場合、最大供給量2100万BTCに対し、すでに80%を超えるビットコインが採掘済みで、今後も約4年ごとに予定する半減期を経て発行される通貨量が減少する仕組みを取っている。
今回の半減期では、12.5BTCから6.25BTCに1ブロックあたりの採掘量が減少、今後も2024年に3.125BTC、2028年には1.5625BTCへの減少が予定される。
ビットコインのこれまでの供給による積み重ねと、半減による供給減という合わせ技によって、ビットコインのビットコインの供給におけるインフレ率は2021年に1.8%に低下する。
これを年間ベースの採掘量で換算すると、1年間で約328,500BTCほど新規に発行されるビットコインの量が減少する。これを円換算すると3285億円相当。マイナーの収益確保に向けた過度な売却が落ち着けば、市場が半減期後の「好転」を意識するポイントになると言っても過言ではないだろう。