はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

Crypto.com、DeFiが既存金融業界に与える影響を分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DeFiレポート

アプリ、クレジットカードおよび交換所などのサービスを通じ、従来の金融サービスに替わるサービスを提供しているCrypro.comが、ボストンコンサルティンググループ(BCG)と共同で、DeFi(分散型金融)に関するレポートを発表した。このレポートでは、DeFiの潜在的可能性および課題を分析、DeFiが既存金融サービスに与え得る影響を示唆している。この記事では、同レポートを概説する。

中央集権金融の成長は止まるのか

何世紀にもわたり金融サービスは、信頼できる仲介者として機能する中央集権的組織を介して提供されてきた。仲介者の主な役割は、投資におけるリスク・リターン分析結果を評価することだ。

このシステムでは、中小企業のニーズに応えられないという問題点がある。欧州議会の最新の調査によると、中小企業はEU経済圏に2400万以上あり、総計7兆ユーロ(約866兆円)を生み出しており、その重要性は無視できない。それにもかかわらず、中小企業は仲介組織を利用する際、規制上必要な信用調査の基準を満たせないことが多い。そのため、外部金融へのアクセス機会が減り、取引およびリスクに対する保険にかかるコストが高くなる。

既存の中央集権的金融システムでは、中小企業だけでなく、個人の金融サービスへのアクセス機会が制限されることもある。中央集権的サービスでは、KYCおよびAMLの観点から、口座開設に身分証明書が必要だ。経済発展途上国では出生証明書やパスポートを所有していない人も多く、彼らは身分証明ができないため、金融サービスの多くを利用できずにいる。

DeFiは既存金融サービスに取って代わるのか

DeFiでは、中央集権機関を信用する必要性がない。パーミッションレス(管理主体が取引を許可する必要がない)かつ分散的な方法で、デジタルサービスが構築されており、誰でも利用可能だ。この特徴から、特に従来の金融サービスへのアクセスが制限されている新興経済地域では、既存金融に取って代わるサービスになるのではないかと期待されている。

中央集権的組織を省き多くの機能を自動化することで、DeFiはユーザーに、アクセスの円滑化の他、低コスト、高いセキュリティおよびプライバシー保護ならびに検閲耐性といったメリットも提供している。

その一方で、DeFiサービスではローンを組む際に、借り手は借りる額以上の担保を預ける必要があり、十分な資産を有していないとサービスを利用できないため、実用的ではないという批判もある。

また、安全に利用するにはある程度の知識を必要としているDeFiプロダクトが多いことも、問題視されている。

DeFiの普及に必要な改善点

DeFi領域は完璧ではない。DeFiが金融サービスの一員として普及・発展するには、以下の6点の改善が必要である、とレポートは述べている。

処理能力およびコスト

現在、DeFiの基盤になっているブロックチェーン技術では、大規模なデータ処理に時間がかかり、利用者の増大に対応できていない。ネットワークが混雑している場合は、トランザクションのリクエスト承認に10分ほどかかることもある。

また、ブロックチェーン上でのトランザクションが増え、ネットワークが混雑すると、トランザクションの規模に対して、過度に取引手数料が増加するという問題点もある。

流動性

DeFiは現在成長中ではあるが、仮想通貨業界全体では未だ小さい領域だ。規模が小さいため、流動性は低くなる。そのため、市場参加者が仮想通貨を希望する金額で所有している仮想通貨を売買できない状況が続いてしまう。

セキュリティ

DeFiの最大の難点のひとつと考えられているのが、スマートコントラクトリスクだ。DeFiでは、スマートコントラクトがサービスを稼働させている。そのため、中央管理機関ではなく、スマートコントラクトに資産を危険に曝すような脆弱性がないことを信用しなければならない。

DeFiでは、過去にいくつかのプロジェクトでスマートコントラクトに潜む脆弱性などを悪用される事件が起き、セキュリティ面が既存金融業界よりも劣っていると主張する人もいる。

過剰担保

ブロックチェーン上で利用できるID、KYC、または実用的な信用スコアプロトコルは未だ存在していない。そのため、DeFiのレンディングプラットフォームでローンを組むには、借り手は借りる額以上の価値の担保を預けなければならず、既存金融の代替サービスとして機能するには、インフラ環境の整備が課題である。

規制リスク

DeFiプロトコルはパーミッションレスに設計されているので、理論上は、誰でもどこででも法規制を遵守せずとも、サービスにアクセスできる。これにより経済が民主化されるという利点はあるが、同時に違法に金融サービスを利用したい人が集まってくるという課題もある。

単一ネットワークリスク

現在のDeFiプロダクトは、主にイーサリアムネットワーク上に構築されている。そのため、イーサリアムブロックチェーン上に、ネットワーク混雑、バグおよびセキュリティ問題などの技術的問題が生じた場合、ネットワーク上にある全てのプロトコルが侵害される可能性がある。

DeFiが変えるバリューチェーン

同レポートでは、DeFiが上記の課題への解決策を見出したと仮定した場合、とりわけ3つの金融分野に大きな影響があるのではないかと推測している。

決済

DeFiサービスへは誰でもアクセス可能であるため、銀行口座を保有数が特に多い経済発展地域でカード決済に替わるのではないかと期待されている。またトラストレスに決済が行われるため、決済の遅延を解消し、手数料にかかるコストも減らすことができる。

レンディング

DeFiのレンディングサービスの多くでは、貸し手の資本がどれだけ利用されているかに基づいて借入金利が変動する、変動金利モデルを採用している。これにより、借入需要が少ない時に借り手が高い金利を払う必要がない一方で、需要が高い時には、貸し手はより多くの金利を得ることができる。また、借り手と貸し手の間に仲介者が存在しないので、借り手が支払った利息の最大95%が貸し手に渡される。

また、DeFi分野のレンディングサービスは自動化されているため、必要最小限の人件費しか発生せず、利用コストが削減されている。

取引所

DEX(分散型取引所)における仮想通貨の取引はP2Pでスマートコントラクトを介して行われるため、既存の取引所のように仲介者へ手数料を支払う必要がない。

DEXでは通常、ユーザーが資産をプールに預け流動性を提供することで機能している。これにより、オーダーブックなしでトークンの交換が行える。また、誰でも流動性を提供できるので、マーケットメーカーが限定されず、流動性の確保につながる。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/18 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、企業のETH大量購入やアーサー・ヘイズのBTC100万ドル到達予測など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:49
UPCXが2025 Tokyo E-Prixスポンサーに 次世代決済とFanlinkの可能性を解説
UPCXが「2025 Tokyo E-Prix」のスポンサー契約を発表。世界標準決済を目指すブロックチェーンプラットフォーム「UPCX」と、ファン支援サービス「Fanlink」の特徴をCEO中野誠氏が解説した。秒間10万件の処理能力やグローバル展開の展望とは?
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メタプラネット株価1340円到達の可能性に高い関心
今週は、仮想通貨ビットコインの専門家アダム・バック氏によるメタプラネットの株価試算、資産運用会社によるイーサリアム価格急騰の要因分析、空売り投資家ジム・チェイノス氏の投資戦略に関するニュースが最も関心を集めた。
05/17 土曜日
14:00
アブダビ政府系ファンド、ビットコインETF買い増しで保有額750億円突破
アブダビのムバダラ・インベストメントが第1四半期にブラックロックのビットコインETFを49万株追加購入。ゴールドマン・サックスは最大保有者として3000万株を保有。
13:05
ビットコインETFフェイクニュース事件、犯人に懲役14か月の判決
米SEC公式Xアカウントを乗っ取り、ビットコインETFについてのフェイクニュースを流した26歳の被告に懲役14か月の判決が下りた。偽情報で仮想通貨市場を混乱させたことが重大視された。
12:43
史上最高値を試すのは時間の問題か、米中貿易緩和も上値トライ失敗|bitbankアナリスト寄稿
米中関税115%引き下げ合意やインフレ指標下振れもビットコイン上値を抑える展開。アリゾナ州知事の暗号資産準備金法案への拒否権行使も影響。短期筋による損切り送金増加で売りをこなした可能性。史上最高値トライは時間の問題か。bitbank長谷川アナリストが週次相場分析を解説。
11:00
ビットコイン長期保有数1437万BTCに到達も、利確売り強まる=アナリスト分析
ビットコインの長期保有者が3月から5月にかけて利益確定を加速。支出利益率は71%増加し227%の平均リターンを記録。長期保有量は1437万BTCに達するも、市場サイクルの分配フェーズへの移行を示唆。
10:10
トランプ家のWLFI、民主党議員による調査要請を正式拒否
トランプ一族の金融企業WLFIが上院による調査を拒否した。政治的動機と批判し、同社は説明責任や米ドル優位性を指針としていると主張。倫理規定違反の疑惑なども否定している。
09:02
ETH・BTC比率が5年ぶり急騰、アルトシーズンの到来示唆か
イーサリアム/ビットコイン(ETH・BTC)価格比率が過去5年最低水準から38%急反発。ETFによる買い増し、取引所流入減少などの指標から需要増加・売却圧力低下が鮮明に。「極端な過小評価ゾーン」からの回復が示すアルトコインシーズン到来の可能性を分析。
07:50
ビットコインで利回り獲得、Solvがアバランチ基盤の新トークン発表
仮想通貨ビットコインの保有者にRWAの利回り獲得手段を提供するため、Solv Protocolはアバランチ上にSolvBTC.AVAXをローンチ。ローンチの目的や仕組みを説明した。
07:30
10億ドルのビットコイン投資を検討、米上場のシンガポール医療企業
シンガポールの医療企業バーゼル・メディカル・グループが10億ドル規模のビットコイン投資に関する交渉を開始。ストラテジー社に続く大規模企業BTC投資の新事例として注目される中、「革新的な株式交換契約」を通じてアジア医療企業最強の財務体質構築を目指す。
06:45
米裁判所、SECとリップルの和解案を「手続き上不適切」として却下 再申請へ
米連邦地裁がSECとリップルの和解申請を「手続き上不適切」として却下。民事訴訟規則違反が原因で、両者は適切な手続きでの再申請を迫られる状況に。
06:25
イーロン・マスクの『Kekius Maximus』切り替えでミームコインが2倍以上急騰
イーロン・マスク氏がツイッターのプロフィール画像とユーザー名をミームトークン「Kekius Maximus」に変更し、関連トークンが2倍以上急騰。昨年の900%上昇・急落事例に続くマスク氏のSNS活動による仮想通貨市場への影響力を示す展開に。
06:05
サウジ中央銀行、15億円相当のストラテジー株保有でビットコインに間接投資
サウジ中央銀行がセイラーのストラテジー社の株を25656株取得し仮想通貨ビットコインへの間接投資を開始したことが確認された。
05/16 金曜日
17:00
マスクネットワークとは?仮想通貨MASKの買い方・取引所まで徹底解説
Mask NetworkはSNS×Web3をシームレスに接続するSocial-Fiプラットフォーム。本記事では特徴とMASKトークンの買い方を初心者向けに解説します。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧