techtec 田上社長インタビュー
2020年10月15日、株式会社techtec(以下、techtec)は、世界有数のDeFiプロジェクトであるAaveより資金調達をすることを発表しました。
関連:日本初、株式会社techtecがDeFi最大手の英Aaveより資金調達を実施Aaveは、エコシステムブランドをグローバルで展開しており、techtecは日本初及び唯一の企業として採択されて資金調達に至り、調達した資金を基に、プロダクトやDeFiサービスを構築していく予定とのことです。
具体的には、同社で展開する「PoL」というサービスをDeFiにうまく組み込み、PoLを学習することで蓄積される「ラーニングスコア」を担保として、利率を下げられるようなサービスの構築を目指しています。
「PoL」とは仮想通貨・ブロックチェーンの初心者向けのオンライン学習サービスです。勉強すればするほど、「PoLトークン」が貰え、そのPoLトークンで新たなカリキュラムを勉強出来るというシステムで、勉強量が信用につながっていくサービスとなっています。
今回、Aaveとの協業に関して、techtecの田上社長にインタビューさせて頂きました。
ーDeFiサービスにおける「PoL」の信用基軸
DeFiの過剰担保は、信用というシステム基盤が無いことに起因しています。
弊社の「PoL」というサービスでは、学習歴をブロックチェーンに記録して、それをスコア化してアウトプットを行うラーニングスコアの開発をしています。
そのラーニングスコアと呼んでいるものだけが、担保になるとは思ってはいませんが、勉強すればするほど知識が増えて、より深い金融プロダクトを学べる事から、担保肩代わり等の信用がついてきます。
ーAaveのカリキュラム作成について
Aaveとの業務提携によって、Aaveのカリキュラムを「PoL」で作成する事になっています。つまり、カリキュラムの作成を達成しないとAaveから資金が支払われない為、カリキュラムを作成していく所からはじめていきます。
プレスリリースには記載しておりませんでしたが、発表から1ヶ月以内にはカリキュラムを作成したいと考えています。
ーグラントによる資金調達について
グラントは海外のオープンソース系のコミュニティ、文化を背景にもっている資金調達の方法で、テクノロジー系の研究開発の文脈で利用されます。
グラントの良いところは株式に影響を与えないので、意思決定が非常にスムーズになります。 取締役会や株主への説明等が不要になるので、会計としても売上として計上されるので税務的にもスムーズかつ、法務局に届け出も必要ないので、グラントを採用しています。
また、日本国内ではなく「海外」からの資金を入れたかったという理由もあります。海外からの資金を株式で調達した場合、各国の税制や法律が大変になるため、今回グラントを採用しました。
ーグラントのデメリットについて
調達先との密な連携がない為、既存の株主等と比べると関係性は構築しにくいといったデメリットはあります。
グラントで対応すると契約書1つですべてが決まるなどスピード感があります。株式市場での資金調達であれば、その後のコミュニケーションを確りするのですが、グラントの場合、金額も数億円規模にはなりにくいため、その後の関係がふわっとしてしまう可能性があります。
ー海外から資金調達を行う理由
今回に関しては、海外からの資金調達しか考えていませんでした。
過去に1度だけ、日本の個人投資家から資金調達を行なったことがありますが、現状弊社の売上も殆どが海外であるため、Aaveから調達していることをアピールする事で、海外の他プロジェクトに対してもアピールになります。
経営の部分の意思決定にも海外カラーを付けていきたいと思っております。
ー発行トークンの役割と今後の活用事例
PoLで貰えるトークンは2種類あり、1つがPoL Payment Tokenと呼ばれる学習する程に獲得することができ、新たな学習機会にアクセスするための決済として使用することができます。
もう1つは、学歴社会ではなく学習歴社会という会社のビジョンに関連する部分で、点数や結果ではなく、学習や努力といったプロセスを人間の生きる生活基盤に入れていきたいという考えに基づいて、Non Fungible Token(以下、NFT)をラーニングスコアとして発行します。
例えばですが、MakerDAOのカリキュラムを学ぶことで、学んだことを証明するNFTが発行され、MakerDAOにおけるDAI発行の利率を下げるといったようなイメージで、何がワークするかを今後検証していきたいと思っています。
NFTはIDや何かの証明を出来るような唯一無二な情報を発行出来るのが本質的な強みだと思っています。 特定のNFTを持っている人だけがアクセスできるサービス等検討し、色々な方面へ活用できたらと思います。
ー日本におけるDeFiに対する印象は
日本人は中々一歩を踏み出す事ができず、人が新しく始めたことに対して、批判するだけで終わってしまうケースが多いように感じていました。そういった風潮を少しでも変えていきたいです。弊社がまず日本発のプロジェクトとして動き、後に続いてもらえたらなと思います。
DeFiに関する法規制があるわけではないので、まずは一歩を踏み出していきたいと思います。