露電力会社大手、ビットコインマイニング事業に参入──再生可能エネルギーを活用

ロシアの水力発電大手がマイニングに参入

ロシアの資源・電力大手「En+」グループが、暗号資産(仮想通貨)マイニング企業BitRiverと提携して合弁会社「Bit+」を設立し、マイニング事業に参画することが判明した。

モスクワを本拠地とするEn+グループはロンドン証券取引所にも上場するアルミニウム生産と水力発電の大手企業で、世界で毎時20ギガワット近くの電力容量を誇る。

提携するBitRiverはロシアで最大級のビットコインマイニングサービスのプロバイダーだ。

両社によると、BTCマイニング施設である「Bit+」はすでに運営の第一段階に入っており、En +グループが供給する毎時10メガワットの容量で稼働しているという。

Bit+社は、自社のためのマイニングは行わず、顧客向けに仮想通貨マイニングのホスティングサービスを提供。また、仮想通貨マイニング以外にも、様々なデータセンターサービスを行う予定だ。

En+グループのエネルギー部門責任者Mikhail Khardikov氏は次のように語る。

私たちはイルクーツク地域でデータセンターの開発をサポートすることに注力している。この地域で私たちは、再生可能エネルギー源から低炭素で安価な電力を生産しており、余剰エネルギーを提携先企業に提供することができる。

推測されるBTCマイニング能力

10メガワット時の水力発電所は、Bitmain社の「AntMiner S19 Pro」など最先端の採掘機器をフル活用できる場合、毎秒250PH/sの計算能力に到達すると予測される。

ビットコインの現在の採掘難易度では、250PH/sの計算能力で、現在の試算では、24時間ごとに約2.2ビットコインを生成可能だという。Bit+の施設では、12月までに最大400台のS19Proを収容できるコンテナが計14個稼働するとしている。

仮にこのすべてが稼働した場合、5600台の「AntMiner S19 Pro」が、毎時約25メガワットの電力を消費しつつ、600PH/sを超える計算能力を生み出す可能性がある。En+グループとBitRiverは、最終的にBit+の採掘施設を毎時40メガワットまで拡大することを目指しているとした。

ブロックチェーン分析企業TokenInsightによると、BTCマイニングに占める中国の世界シェアは圧倒的であるものの、昨年より10%以上低下(75.63%⇨65.08%)している。

ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センターの世界各国BTC採掘率データでは、2020年4月時点で、1位は中国(65%)、2位は米国(7.2%)、3位はロシア(6.9%)だった。巨大電力企業En+ グループの参加により、ロシアがこの先割合を伸ばす可能性もある。

仮想通貨規制について政府にも働きかけ

En+の最高財務責任者Mikhail Khardikov氏によれば、同社はロシアでよりよい仮想通貨規制が行われるよう、政府や市場参加者に積極的に働きかけているという。

仮想通貨分野に合理的な規制を導入することは、エネルギー生産やその他の産業などを育てることにもなると同氏は述べた。

尚、En+グループの筆頭株主であるOleg Deripaska氏は、2018年に米国からロシア当局と密接な関係を持ち、不当に利益を受けているとして制裁の対象とされている。その際、同氏の保有する他の企業と並んでEn+も制裁対象となったが、2019年に同氏の出資が減ったため解除された。

ロシアでは現在、仮想通貨の規制方針が法律で定められようとしている。

2021年1月1日より施行予定の「デジタル金融資産関連法(On Digital Financial Assets:DFA)」では、仮想通貨を「発行、購入、販売、登録」することが合法となるが、サービスや商品の支払いに使用することは禁止される。

また、より詳細な規定は12月下旬に終了する秋の国会で審議される「デジタル通貨関連法(DA)」に委ねられており議論の行方が注目されるところだ。

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