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パンデミックがCBDCの取り組みを後押し=中央銀行総裁クラブ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コロナ禍が世界経済に及ぼす影響を議論

11月6日、中央アジア、黒海地域、バルカン諸国の26か国からなる「中央銀行総裁クラブ」の会合が開かれ、新型コロナウィルス・パンデミックの影響とデジタル通貨について議論した。

ロシア銀行総裁が議長を務めたオンライン会議では、パンデミックが引き起こした危機は、現在の金融システムの脆弱性を映し出し、各国の債務負担が増大するなど、その経済的影響が世界に広がっているという共通の認識を発表した。

デジタル通貨に対する関心の高まり

会議では、パンデミックが、とりわけ電子商取引や電子決済技術の発展に大きな影響を与えたため、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)への関心を加速させることになったとの結論に達した。

ロシア銀行の発表によると、その後の第二次会議では、国際通貨基金(IMF)や世界経済フォーラム、また国際決済銀行(BIS)の代表者も参加し、CBDCについて活発な議論が行われた。そして、CBDCの発行を検討するにあたって中央銀行は、金融の安定性や金融政策に及ぼす影響を評価した上で、サイバーリスクを回避し、軽減するための手順を策定する必要があるとまとめている。

なお、中央銀行総裁クラブには、黒海経済協力機構(BSEC)加入の12か国はもとより、東欧ポーランドやチェコ、ハンガリー、そして、イスラエルや中国が含まれている。

ロシアの動き

今回、議長国を務めたロシアでは、CBDCプロジェクトが進展を見せている。先月、Elvira Nabiullina中央銀行総裁は、デジタル・ルーブルの発行は「非常に現実的」であり、2021年末から、限られたユーザーを対象に、試験運用が開始される可能性があると述べた。

ロシア銀行は、10月13日にCBDCに関する協議書を発表し、今年末まで公開協議を行う予定となっている。なお、デジタル・ルーブルの導入は「経済と社会にとって大きな出来事」であるため、金融市場の参加者や専門家はもとより、一般市民とも、多くの角度から議論を重ねることが不可欠であり、現時点では、CBDCの導入は正式決定されていないことが強調されている。

協議書では、キャッシュレス化が進む社会におけるデジタル・ルーブルの決済面での利便性や金融包摂の可能性、不正防止やイノベーションの促進など、その恩恵が網羅されている。また、国外への資金流出リスクを減少させ、マクロ経済と金融の安定に貢献すると主張した。

一方、中央銀行が責任を持って発行し、国家により安定性が保証されているデジタル・ルーブルは「仮想通貨とは一切関係がない」と協議書には明記されている。

世界で進むCBDC研究

CBDCに関する研究は、世界各地で高まりを見せている。

「中央銀行のための中央銀行」と呼ばれる国際決済銀行(BIS)は、6月、新型コロナウィルスの世界的感染拡大を受け、CBDCの研究開発を推奨するレポートを発表した。

BISイノベーション・ハブのトップ、Benoit Coeure氏は、決済のデジタル化は民間部門が先行しているが、その動きはコロナ禍によって加速されたと指摘。CBDCの発行は「国際競争ではない」としながらも、民間企業の動きが早いため、中央銀行が迅速に動くことにはメリットがあると述べている。

10月半ば、日銀を含む7つの中央銀行(注1)とBISは、CBDCの三つの基本原則(下記参照)に同意し、「中央銀行デジタル通貨:基本原則と中核的特徴」という報告書を発表した。以下がその三原則の概要となる。

  1. 現金や他の通貨と共存する柔軟で革新的な決済システム
  2. 広範な政策目標をサポートし、通貨および金融の安定に「害を与えない」
  3. 革新と効率性を促進する機能を備えている

そして先月末には、BISとスイス国立銀行が、今年末までにCBDCの「リテール決済」に向けた概念実証実験を実施すると報じられた。

一方、中国では、先月半ば、1.5億円相当のデジタル人民元(DCEP)を一般市民に配布し、加盟店舗で使用できる大規模な実証実験に成功しており、CBDC開発では、世界をリードする存在感を示している。

(注1)イングランド銀行、カナダ銀行、日本銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)、Sveriges Riksbank(スエーデン)、スイス国立銀行、欧州中央銀行(ECB)

参考:ロシア銀行

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