CoinPostで今最も読まれています

日銀決済機構局FinTechセンター長「キャッシュレス化による効率性向上は経済に好影響」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マネタリーベースに影響は無い
Slush Tokyo Day 2のQAコーナーで、日本銀行決済機構局の河合Fintechセンター長は、「フィンテックの進展(キャッシュレス化)は、中央銀行の金融政策に影響はあるのか」というCoinPost編集部の問いに対し、「キャッシュレス化は金融政策にそれほど影響は無い。むしろキャッシュレス化による効率性向上は経済にとっていい影響だ」と語りました。

Slush Tokyo Day2のQAコーナーで河合センター長へ質問

Slush Tokyo Day2にて、「How FinTech Is Changing the World」というプレゼンテーション題目で、日本銀行決済機構局の河合Fintechセンター長、株式会社マネーフォワード辻 庸介代表取締役社長、青柳直樹代表取締役が登壇しました。

また、そのQ&Aの中で、CoinPost編集部が一点質問致しました。

「フィンテックの進展(キャッシュレス化)は、中央銀行の金融政策に影響はあるのか」

Fintechという表現はたった一つの言葉で表現されますが、Fintechという言葉一つに含まれるビジネス領域は非常に多様性に富みます。

そのビジネス領域ごとに適した金融政策が必要であると考えております。

例えば、スーパービットコインと仮定した、ビットコイン以上に影響力がある仮想通貨のようなものが日本市場に参入し、市場の10%を占めるとしましょう。

その場合、日本銀行が発行している通貨でない為に、日本銀行(BOJ)にとって大きなインパクトや脅威になります。

ただ、私たちはこれが近い将来、起こるものだとは想定していません。

法定通貨からデジタルに移るキャッシュレス化は、マネタリーベースや金融政策にそれほど関係ないと考えております。

それは、銀行のデポジット、預金でさえデジタル化しているからです。一方でキャッシュレス化は効率性が工場する為、むしろ経済にとってはいい影響だと考えております

日本銀行決済機構局の河合Fintechセンター長:(回答は全て英語)

以下は、回答から見えたもの(*あくまで筆者の個人的意見の範疇)です。

仮想通貨は現状、日本銀行にとっては脅威ではない

日本では規制や、レギュレーションなど、仮想通貨に関する枠組みが議論され、取り巻く環境が整備されています。

しかし、「近い将来起こるものだとは想定していない」との発言から、日本銀行は現時点では仮想通貨を脅威とは見ていないように思います。

キャッシュレス化は期待しているが、それはあくまで電子マネーなどを想定しているのであり、デジタル通貨(仮想通貨)を想定していないのではないか

スーパービットコインといった仮想通貨の登場が、市場シェアの10%以上を占め始めたと仮定した場合、そのマーケットインパクトは大きい、という指摘がありました。

「法定通貨からデジタルに移るキャッシュレス化」という表現を用いられていたので、Suicaや○○payのような民間の従来の電子マネーのキャッシュレス化についてあくまで効率的だといった事に過ぎず、それはデジタル通貨、仮想通貨を想定していないように感じられました。

仮想通貨がマーケット全体インパクトを及ぼすものに成長した場合の中央銀行発行のデジタル通貨の可能性

今でこそデジタル通貨に対して、河合センター長が肯定的に「効率的だ」としましたが、電子マネーが本格的に普及し始める以前の平成9年、電子マネー及び電子決済に関する懇談会(大蔵省時代)の報告書では以下のように記載されていました。

「マクロ経済への影響に加え、電子マネーの普及は論理的には中央銀行の金融調節能力自体にも影響を与える可能性があるものである。

特に、電子マネーの普及により、金融機関の支払準備需要の不安定化や中央銀行のバランスシートの縮小が生じ、中央銀行の金融調節が制約を受けるとの懸念が指摘される」

このように、新しい技術の台頭は常に懸念されたり、否定的な見方をされやすいものです。

仮想通貨、デジタル通貨も徐々に受け入れられ、ある程度のマーケットレベルまで成長した場合、日銀も一部デジタル通貨の発行を検討する可能性は大いにあるでしょう。

また、日本は金利の引き下げマネタリーベースの拡大による金融政策を行なっただけでなく、その後、マイナス金利政策や長短金利操作付きイールドカーブコントロールの導入など、非伝統的金融政策を行なってもなお、物価2%の実現を成し遂げていない状況があり、金融政策の行き詰まりを感じさせられます。

しかし、その行き詰まりはデジタル通貨、仮想通貨の技術で道が拓ける可能性が多くある事は、元日本銀行の中島氏が著書『After Bitcoin 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』(2017年,著:中島真志,新潮社)で触れております(デジタル通貨とマイナス金利政策の組み合わせなど)。

まとめ

プレゼンテーションやQAなど全体から、日銀のスタンスや河合氏の考え方などを多少なりとも汲み取ることができました。

国内ではレギュレーターのポジションにいますが、世界の中央銀行を見渡すと、既に多くの中央銀行がブロックチェーンやデジタル通貨に関する実証実験や研究を開始しており、競争にさらされているポジションにもいます。

今後、技術革新が進んでいき、日銀はその変化にどう対応していくか、楽しみです。

今後もこのようにCoinPostではレギュレーターの方々のイベントに参加したり、インタビューを実施したいと考えております。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/22 金曜日
08:45
バイナンス、ETHのガス代を1日で計1億円相当支払い
仮想通貨取引所バイナンスは21日に、イーサリアムのガス代を1日で合計1.2億円相当も支払ったことがわかった。バイナンスの担当者が経緯を説明している。
08:10
恐怖指数上昇 米国株続落、本日は日銀政策決定会合|22日金融短観
本日米NYダウは続落。ナスダックとS&P500は6月以来の安値となった。昨日のFOMC会合では市場の予測通りに金利据え置きが発表されたが、年内1回の追加利上げの可能性が示唆された余波を受けた形だ。
05:52
欧州MiCA法施行に向けてバイナンスのステーブルコイン対応は|22日朝の重要速報まとめ
仮想通貨取引所バイナンスは来年6月までに欧州市場でステーブルコインの上場廃止を検討しているか。CZ氏は報道を否定した。
09/21 木曜日
18:00
仮想通貨擬人化BCG「コインムスメ」がSTEPN運営と提携、GMTアイドル「ジェムティ」誕生
ブロックチェーンゲーム「コインムスメ」は、STEPN運営Find Satoshi Labとの提携により誕生した「ジェムティ(GMT)」のデザインを公開した。限定NFT200枚を抽選でプレゼントする企画も行われる。
16:56
コナミ初のweb3プロジェクト「ZIRCON」、東京ゲームショウで発表
コナミがweb3進出 国内ゲーム大手企業のコナミデジタルエンタテインメントは21日、「東京ゲームショウ2023(TGS2023)」のステージにおいて、ブロックチェーン技術を活用…
15:42
マウントゴックス弁済期限、2024年10月まで延長
2014年に経営破綻した仮想通貨取引所、マウントゴックスの債権者へのビットコインや現金による弁済の期限が、1年延長されることが確認された。弁済先情報が提供されている債権者に関しては、年内に弁済を開始する可能性もあるとしている。
14:44
「ゲソてん byGMO」ブロックチェーンゲームを統合へ
GMOメディア株式会社は、ゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」のレイヤー2であり、ゲームプラットフォームとして機能する「GESOTEN Verse(仮)」の開発を発表。従来のWeb2ゲームポータル「ゲソてん byGMO」とユーザー基盤を連携する。
14:26
米大統領選出馬のラマスワミ氏、新たな「仮想通貨政策の枠組み」を提案予定
米国大統領選の共和党候補ビベック・ラマスワミ氏は20日、仮想通貨リサーチ企業Messari主催のカンフェレンスに登壇し、感謝祭(11月23日)までに「包括的な仮想通貨政策の枠組み」をリリースすると発表。さらに現在の仮想通貨規制の状況を強く批判した。
14:00
CBDCによる監視社会に反対する法案、米下院金融委員会で承認
米下院金融委員会は、米国のCBDCデジタルドルが国民監視に使用されることを阻止する法案を承認した。この先、下院での審議に移る予定だ。
13:05
「IMX」国内初上場、コインチェックが3銘柄新規取り扱い
仮想通貨取引所Coincheckは、IMX(国内初)を含む3銘柄の新規上場を発表した。
12:28
アスター(ASTR)、韓国bithumbに新規上場
アスターネットワークのネイティブトークンであるASTRは韓国大手仮想通貨取引所bithumbに新規上場した。韓国の初上場だ。
11:12
Taurus、資産トークン化サービス拡張
スイスのフィンテック企業Taurusは、デジタル資産の保管とトークン化サービスを拡張し、許可型ブロックチェーンへのサポートを始めることを明らかにした。Hyperledger BESUやQuorumがサポートされ、イーサリアム等パブリックチェーンとの相互運用性も強化する。
10:55
米ウォルマートのメタバース体験、現実ショッピングと融合へ
米小売大手ウォルマートは現実世界とメタバースでのショッピング体験を結び付ける方法を探っている。ヒップホップをテーマとする仮想世界も構築した。
10:27
国内オプテージ、Web3ノード・ホスティングをトライアル提供
関西電力グループの情報通信企業オプテージがWeb3推進に向けて、金融機関向けのステーキングノードホスティングトライアルを開始した。オプテージはイーサリアムのステーキングノード構築と運用を提供し、金融機関は仮想通貨を所有せずにステーキングをテストできる。
10:25
INFORICH、NFT活用してアーティストを支援
ChargeSPOT展開のINFORICHは、NFTも活用してピクセルアーティストBAN8KU氏を支援。NFTは、仮想通貨イーサリアムの規格ERC-721で発行・販売される。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧