はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

世界最先端のCBDC実証実験──官民連携で取り組むデジタル人民元

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

深センでのテストよりも大幅に規模拡大

まもなく中国の蘇州で行われるデジタル人民元の大規模テストについて、前回よりもいくつかの側面で広範なものとなることが判明した。

二回目の大規模テストとなる蘇州では、一般市民に宝くじ抽選によりデジタル人民元を配布して、ショッピングを奨励することを施策として打ち出す。

テストは中国では大セールが行われる日として知られる「12月12日(双12)」の前日にあたる11日より開始し、27日まで実施される予定だ。

宝くじ形式の体験型モデルとした大枠はこれまでのデジタル人民元と共通するものの、蘇州では、いくつかの新たな注目すべき点が見られている。

eコマース大手がDCEP決済受付

まず、中国のeコマース大手JD.comがデジタル人民元(DCEP)を受け入れることだ。

JD.comによると、宝くじの当選者は、同プラットフォームのモバイルアプリを介して、JD.comのショップでのみDCEPを使用できるという。プラットフォーム上でサードパーティのショップが扱っている商品は購入できない。

JDは日本版Amazonと似た仕組みを持っており、自社モール内に商品を仕入れてJD名義で販売する方法がメイン販売ルートだ。これは、アリババのタオバオ(個人間取引を仲介)やTmall(日本の楽天市場のようなモデル)とも異なっており、集権的に決済テストを行える環境を提供できる利点がある。

店舗数、参加人数、期間の面でより拡大

また、深センでは約3300の店舗がDCEP決済を受け付けたが、今回蘇州ではスーパーマーケット、レストラン、コンビニエンスストアなど、合計約1万の店舗でDCEPによるショッピングが行えるようにする。

店舗数だけではなく、DCEPを貰える市民の人数も大幅に増加した。蘇州の人口(1,070万人)は深センの人口(1,300万人)よりも少ないものの、テスト参加者の総数は10万人の予定。深センでは5万人が実証実験に参加したが、その2倍に相当する。

テスト期間も長期間になる予定だ。深センではDCEPのテストは1週間弱であったのに対し、蘇州では12月11日から12月27日の2週間以上に渡って実施されることになる。

オフライン決済機能の導入も

技術的な側面では、今回よりオフライン決済機能が導入されることも大きい。

この機能をテストするために、10万人の宝くじ当選者からさらに、1000人未満の市民が選ばれることになる。

オフライン決済は、近距離無線通信技術に基づくものだ。中国人民銀行 (PBoC) は以前、DCEPウォレットは、正式展開された際に、インターネットに接続していなくても、2つのスマートフォンまたはハードウェアデバイスを相互に接触させることで取引を実行できる特徴がある。災害時などのインフラ停止などを想定した機能だ。

PBoCのデジタル通貨研究所は、10月に「デジタル通貨チップカードを使用してオフライン取引を完了する方法とシステム」の特許を取得していた。

この特許は、オフライン取引を行う上で、近距離無線通信またはBluetoothをどのように活用するかを詳述している。オフライン取引を受信する当事者が、インターネットに接続した場合には、中央銀行のプライベート台帳と同期して情報を共有するという。

ウォレットを提供する機関を追加

また、深センのテストではDCEPウォレットをアクティブ化するためには、ユーザーが4大商業銀行のうちの1つを選択する必要があったが、蘇州のテストでは、新たな銀行二行が選択肢に加えた。

4大銀行である中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行は、DCEP用のモバイルウォレット、ハードウェアウォレットの開発に参加してきた国営の銀行だ。

蘇州のテストでは、これらに加えて交通銀行と中国郵政儲蓄銀行という2つの金融機関でも、新たにウォレットをアクティブ化することができるようになる。

この動きは、将来のテストにおいて民間企業もDCEPの発行システムに参加する可能性があることを窺わせるものだ。

蘇州政府は、「他の事業体はまだ積極的にウォレットのシステムを開発している最中である一方、今回のテストには6つの商業銀行が参加する準備を整えている」と述べた。

なお、DCEPの開発には、大手銀行に加えて銀聯、DiDi、Meituan、AliPay、WeChatPayなどの企業も参加したと報告されており、将来は、こうした民間IT企業もデジタル人民元のテストに参加し、より一般的な生活に適応できる最終モデルへフェーズわけされていることが見て取れる。

これらの動きを経て、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、デジタル人民元が2029年までに、中国国内消費額の15%を占めるようになると予想している。

関連:ゴールドマン・サックス「デジタル人民元は10年以内に中国の決済総額の15%に到達」

CoinPost App DL
記事提供:THE BLOCK
THE BLOCKとは

Cryptoにおける”最初で最後の言葉”であること。
The BlockはCryptoにおける最高クオリティで最重要のシグナルをお届けします。日々、Website、Newsletter、Podcast、イベントを通じて、業界で最も影響力のある人々にリーチしています。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/18 月曜日
15:50
NewLo、リワードプログラム上のポイントを暗号資産に交換できる新機能をリリース
Web3マーケティング企業のNewLoは8月18日、「NewLo Quest」でポイントを暗号資産ETHに交換できる機能を開始。企業向けサービスも展開し、既存ポイントプログラムのブロックチェーン拡張を支援。
14:27
スイス大手スーパー「SPAR」、全国100店舗で仮想通貨決済開始 
スイスの大手スーパーマーケットチェーン「SPAR」が全国100店舗で仮想通貨決済を開始した。Binance PayとDFX.swissとの提携により、100種類以上の仮想通貨とステーブルコインでの支払いが可能になる。
13:30
加藤財務大臣・金融担当大臣の「基調講演」が決定|WebX2025
加藤財務大臣・金融担当大臣が登壇決定 国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」の運営会社、株式会社CoinPost(本社:東京千代田区、代表取締役CEO:各務貴仁)が企…
12:28
イーサリアム RWAトークン化のリスクとは?有識者が指摘する課題と対策
ニューヨーク大学教授が、仮想通貨イーサリアムにおける資産トークン化が普及する上での課題を指摘した。大規模採用前に解決すべき問題を提示している。
12:11
メタプラネット、137億円でビットコインを追加購入 
メタプラネットは137億円で仮想通貨ビットコイン 775BTCを追加購入し、累計18,888BTCを保有。通算取得額は2,840億円超に到達し、戦略的なBTC投資を継続している。
11:59
ビットコインETF好調も個人投資家は利益確定売り先行、ジャクソンホール会議控える中
仮想通貨市場ではビットコインETFやイーサリアムETFに過去最高水準の資金流入が続く中、BTC価格は調整中。ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の利下げ示唆に期待が高まる一方、機関投資家の買いと個人の利益確定売りが交錯している。
09:56
タイ政府、外国人観光客に仮想通貨決済システム「TouristDigiPay」を提供開始
タイ政府が外国人観光客向けに仮想通貨をバーツに交換して決済できる新システムを導入する。マネロン対策などで安全性を確保しつつ、観光業活性化を目指す。
08/17 日曜日
19:37
金融庁、日本円建てステーブルコイン「JPYC」承認へ=日本経済新聞
金融庁が国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」を承認へ。今秋にも発行開始予定で、3年間で1兆円分の発行を目標とする。JPYC代表の岡部氏は「ステーブルコインは巨大な国債消化装置」とコメントし、日本国債市場への影響を予測。国際送金やDeFi活用に期待が集まる
14:00
今週の主要材料まとめ、ビットコイン6年以内1000万ドル到達の可能性やリップル訴訟終了発表など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
ステーキング 主要取引所の仮想通貨別・年率報酬を徹底比較
【2025年7月最新】国内主要取引所のステーキング対応銘柄と年率を一覧比較。イーサリアムやソラナなど人気コインの高利率サービスを紹介し、各取引所のメリット・デメリットや税金のポイントも解説します。
11:30
ビットコイン1750万円台で方向感欠く、ジャクソンホール会議が転換点に|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)対円相場が1750万円周辺で方向感を欠く展開。米CPI下振れで利下げ期待が高まるも、PPI上振れで大幅利下げ観測が後退。来週のジャクソンホール会議とパウエルFRB議長発言が相場の鍵を握る。テクニカルサポートも豊富な現在の市況を詳しく分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メタプラネットの大幅増益に高い関心
今週は、メタプラネットの決算発表、バリュークリエーションのビットコイン全売却、スコット・ベッセント米財務長官のビットコイン準備金に関する投稿のニュースが最も関心を集めた。
11:00
『守りの金(ゴールド) vs 攻めのビットコイン』資産配分における役割の違いを解説
相場暴落時に注目の集まりやすい金(ゴールド)とビットコインの比較を初心者にもわかるよう解説、インフレ耐性や政府の影響回避といった類似性と、安定性や価格変動要因の違いを比較、投資戦略や資産配分のポイントも提示する。
08/16 土曜日
13:45
トランプ一族支援のアメリカンビットコイン、日本・香港企業買収を検討
ドナルドJrとエリック・トランプ氏が支援する米仮想通貨マイニング企業アメリカンビットコインが、日本と香港の上場企業買収を検討中。マイケル・セイラー氏の戦略に倣い企業財務でビットコイントレジャリー企業を目指す。
13:18
仮想通貨取引所ジェミナイがIPO届出書公開 リップル社からの信用枠も設定
米仮想通貨取引所ジェミナイがナスダックへの上場申請書類を公開した。2025年上半期は純損失が拡大も、リップル社から信用枠も確保している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧