はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

国際通貨基金(IMF)「25年後、新たなデジタル貨幣やステーブルコインが基軸通貨に置き換わる可能性」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

基軸通貨の変化についてIMFが描き出す将来像

国際通貨基金(IMF)が、「進化する国際通貨システムにおける準備通貨」という題名のレポートを発表。地政学や技術的変化が世界の準備通貨に与える影響を分析し、その中で基軸通貨を置き換える可能性のある3つの要素を分析した。

民間のステーブルコイン、中銀発行デジタル通貨(CBDC)などが基軸通貨となるシナリオも描いている。

レポートによると、基軸通貨としては米ドルの支配が続く可能性が高い。しかし、新しく出現したデジタル通貨や新しい決済エコシステムなどの要素が、準備通貨を巡る状況の変化を加速させる可能性があるという。

民間ステーブルコインが基軸通貨となる可能性

まずステーブルコインについては、Facebook主導のリブラの名前を特に挙げて、次のように述べている

Facebookは2019年、世界的に普及する可能性のある民間ステーブルコイン「リブラ」の計画を発表した。これは、国際的に使われるステーブルコイン(GSC)の最初の例となる可能性がある。

しかしながら、GSCは既存の法定通貨に裏打ちされている必要はなく、それ自体が基軸通貨の地位を獲得する可能性がある。また、複数の世界的なステーブルコインが基軸通貨となる可能性も考えられるだろう。

現在のところリブラについては、各国政府の「金融主権を脅かす」などの批判を受け、発行計画が変更されたところだ。元々は、複数の法定通貨によるバスケット型を予定していたが、単一の法定通貨と結び付くステーブルコインを複数発行する仕組みとなった。

それに伴いリブラを「Diem(ディエム)」と改名し、リブランディングを行っており、早ければ2021年1月にローンチする可能性が報道されている。

IMFは、「デジタル通貨間競争は、法定通貨のようにマクロ経済的パフォーマンスに基づくものではなく、関連するネットワークやユーザーなどが関わり、従来の通貨競争とは異なる形を取り得る」とも指摘した。

関連:フェイスブック主導の仮想通貨リブラが「ディエム」にリブランディング

想定され得る3つのシナリオ

IMFは、経済的・地政学的要因とテクノロジーの発展が及ぼす長期的な影響により、2045年までに基軸通貨の構成が変化する3つのシナリオがあるとして、それぞれを説明した。

CBDCが基軸通貨に

一つ目は、中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)が基軸通貨となるシナリオで、以下のようなものだ。

各国は、包括的なCBDCプラットフォームの開発に先手を打つことで、技術やインフラ面で優位に立つことができる。恵まれた気候条件(データセンターのために十分な気温の低さなど)を持つ国では、費用対効果が高くなり、こうした国々は将来CBDCを発行。データ・インフラやサイバー防衛に多額の投資を行っており、CBDC建ての金融商品の供給量も増加している可能性があるという。

またCBDCは、安全で取引コストの低いプラットフォームに支えられていることから、信頼できる基軸通貨として浮上。ただ、各国の中央銀行がCBDCを保有するようになったことで、世界の準備高に占めるCBDCの割合が、財政的な裏付けと一致する水準を大幅に上回ることにより信頼性が薄れ、主要通貨として地位が崩れることもあり得るとした。

さらに最近は、「ユニバーサル・CBDC」という考え方も注目されているという。これは、複数のCBDCのバスケットに支えられた合成覇権通貨が、それを支える複数の中央銀行の信頼性の恩恵を受け、より効率的な国内・国際決済サービスを提供することができるという議論である。

民間デジタル通貨が基軸通貨に

二つ目は、複数の民間デジタル通貨が、広く普及するシナリオだ。

大手テクノロジー企業が成長を続け、より多くのサービスやプラットフォーム決済手段を提供。またプライバシーとコーポレート・ガバナンスが強化されたことにより、人々は法定通貨よりも民間の決済プラットフォームを好むようになっている可能性がある。

いくつかの大規模なデジタル通貨が出現し、テクノロジー企業がサービスの範囲を拡大する中で、政府は関連する役割のほとんどから退く。またAIが、デジタル通貨間の為替交換比率を確立するために使用され、複数通貨のデジタル通貨をプールすることで、従来の準備資産に置き換わるというシナリオである。

個人情報を土台とするトークンが基軸通貨に

三つ目には、個人データをベースにした”新しい形の貨幣”が、世界的な通貨となる可能性も論じられた。

個人情報にアクセスしてそれを利用するために、企業は商品やサービスの支払いに使えるデジタルトークンを発行し、個人からデータを購入し始める。これらのトークンは、従来の収入を補うために個人や組織に広く利用されるグローバルなデジタル通貨となる。

このため法定通貨の使用は非常に限られたものとなり、各国は、実物資産、特にゴールド(金)とともにデータ・トークンで準備金を保有することになるというシナリオだ。

特に三つ目の将来シナリオは、一見奇想天外にもみえるが、新世代ウェブブラウザのBraveなどはすでにこのような仕組みを利用しているため、真剣に考慮する余地もありそうだ。

Braveは従来のウェブ広告をブロックする代わりに、ユ―ザーがみずから広告を閲覧した場合にトークンで報酬を還元する仕組みを持つ。

関連:BATとは|プライバシーを守るブラウザ「Brave」の特徴やBATの用途など

あくまでIMFの未来予想図は、可能性のあるシナリオを示すものであるが、金融システムの将来像を考える上で示唆に富むものになっている。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
04/02 水曜日
16:57
三菱UFJ信託銀行、電子決済手段としては国内初のステーブルコイン発行へ=報道
三菱UFJ信託銀行が近日中に「電子決済手段」としてのステーブルコイン事業を開始する。カーボンクレジット取引から始め、貿易決済への拡大も視野に。
14:30
ソニー・シンガポール、オンラインストアでステーブルコインUSDC決済に対応
ソニー・シンガポールが仮想通貨取引所と提携し、オンラインストアでステーブルコインUSDCによる決済サービスを開始。シンガポール初の仮想通貨決済対応家電ブランドとなり、ソニーグループの分散型技術戦略と連動した取り組みとなった。
13:25
エリック・トランプ氏「仮想通貨事業参入のきっかけは不当な銀行口座閉鎖」
トランプ大統領の次男エリック氏は、大手銀行による突然の口座閉鎖が仮想通貨事業参入のきっかけとなったと明かした。同氏は、ブロックチェーン技術により今後10年で金融や銀行の在り方は大きく変わると予想している。
12:56
メタプラネット、ビットコイン追加購入で累計4,206BTCに
メタプラネットが4月2日に仮想通貨ビットコインを160BTC、約20億円分追加購入し、累計4,206BTCに保有量を伸ばした。2025年末1万BTC・2026年末2万1,000BTCを目指し、独自財務戦略を進める。
12:05
ビットバンク、村上信五さん起用の新CM放映開始へ
国内暗号資産取引所の大手ビットバンク株式会社は4月2日、バラエティ番組の司会などで活躍する村上信五さんを起用した新CM「Everybody bitbank」シリーズの放映を4月3日から開始すると発表した
11:44
米グレースケール、バスケット型仮想通貨ETF申請 XRP・ソラナ・ADA含む5銘柄で
米グレースケールがビットコイン他複数の仮想通貨に投資する「デジタル・ラージキャップ・ファンド」のETF転換をSECに申請した。承認されれば一般投資家にも開放される見込みだ。
11:00
「決済用ステーブルコインは利子提供不可」米ヒル議員が強調 コインベースらの嘆願却下
米下院金融委員長が決済用ステーブルコインの利子提供は認められない計画だと強調。コインベースなど仮想通貨業界からの要望を却下した。法案にも禁止条項が盛り込まれている。
10:30
国内上場のenish、1億円相当のビットコイン購入へ Web3事業強化で
株式会社エニッシュが1億円相当のビットコインを4月1日から4日にかけて取得すると発表。ブロックチェーンゲーム開発を手がけながら、Web3領域での事業展開強化と財務戦略の一環としてビットコインを活用へ。
10:15
バックパック、FTX EUの顧客へのユーロ返還手続きを開始
仮想通貨取引所バックパックは、FTX EUの顧客にユーロを返還するための手続きを開始。FTX自体は現金での返還をすでに開始しており、仮想通貨の買い圧につながるのではないかとの見方も上がっている。
08:20
バリュークリエーション、2度目の1億円分のビットコイン購入を実施
東証グロース上場のバリュークリエーション株式会社が3月31日、1億円で7.8BTCの追加購入を発表。3月17日の初回購入から2週間で2回目の投資を実施した。
08:15
ビットコイン一時50万円上昇、米経済指標とトランプ関税政策が影響|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時50万円の上昇となった。現在、市場の最大の注目材料はトランプ大統領による関税政策であり、ビットコインはリスク資産である米国株価指数との相関性が非常に高くなっている。
07:50
『ビットボンド』提案、トランプ政権のビットコイン準備金戦略、年間10兆円の財政削減効果も
ビットコイン政策研究所が「ビットボンド」提案を発表。米国債の金利負担軽減と仮想通貨ビットコイン保有増加を同時実現する戦略で、2兆ドル規模で導入した場合、年間700億ドルの節約効果と推算。
07:20
ビットコイン購入準備のゲームストップ、2200億円調達済み
米ゲーム小売大手ゲームストップが15億ドルの無利子転換社債発行を完了し、ビットコイン購入計画を進行。マイクロストラテジーの戦略に類似する企業の仮想通貨投資の新たな展開に。
06:55
三井住友FG、アバランチらとステーブルコインを共同開発
三井住友FGは、ステーブルコインの開発を行うことがわかった。仮想通貨アバランチを開発するAva Labsら3社と協業し、26年度を目処にした発行を検討している。
06:35
トランプ家支援のAmerican Bitcoin、二社統合モデルでIPO計画
トランプ家支援のAmerican Data CentersとビットコインマイナーHut 8が設立した合弁会社American Bitcoinが上場計画を発表。エネルギー・インフラとマイニング事業を二社統合モデルで展開していく。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧