ステーブルコインを直接決済に導入か
決済大手マスターカードのCEOがブルームバーグの番組に出演し、暗号資産(仮想通貨)に関する同社の事業計画について説明した。
マスターカードは2月10日に、仮想通貨での直接決済を導入することを発表していたが、まだ取り扱う銘柄などは明かされていない。Michael Miebach CEOはインタビューに答え、ステーブルコインを扱う可能性が高いことを示した。
決済に使うことを前提とすると、銘柄の選定基準としては「規制遵守、データ保護、安定性」が挙げられる。最後の項目にある「安定性」は、資産に裏付けがあるステーブルコインで可能になるとした。
一方で、ビットコイン(BTC)については高いボラティリティ(価格不安定性)により、決済で使うには不適当であると指摘。ビットコインを投資として考えることはできるが、あくまでマスターカードは決済企業であり、決済を保証することを優先するという姿勢を見せた。
マスターカードは、直接決済を可能にする取り組みについては、民間発行のものも含めたステーブルコインや、中銀発行デジタル通貨(CBDC)について軸足を置く方針のようだ。
The Blockの報道によると、マスターカードの最高財務責任者(CFO)であるSachin Mehra氏も、ゴールドマンサックスが主催したイベントで、ビットコインなどの仮想通貨は決済手段というよりも「資産」であると発言。一方でステーブルコインについては「マスターカードのネットワーク全体で有効にする計画がある」としていた。こうした方向性で一貫していることが窺える。
ビットコイン決済も選択肢の一つ
直接ではないが、マスターカードは、提携企業がビットコインで決済できるカードを発行するプログラムを開始している。
2020年夏には、仮想通貨企業を初めとするフィンテック企業が、よりスムーズに決済用のマスターカードを発行可能なプログラムをスタートさせた。こうしたカードでは、仮想通貨を法定通貨に変換して加盟店で支払うことができる。
仮想通貨での直接決済ではないものの、ビットコインで支払いたい消費者にも、マスターカードでの決済が選択肢として用意される形だ。
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CBDCの設計評価やテストをサポート
Miebach CEOは、マスターカードがCBDCに重点的に取り組んでいくことについても改めて言及。
実際にマスターカードは、バハマが発行したCBDC「サンドドル」に対応するプリペイドカードをリリースしている。
これは「実験的な試みなのか?」と聞かれ、Miebach氏は人々が日用品など様々なものの決済に使える実際的なものだと回答した。
他にも、世界各国の中央銀行と、CBDCをどのように構築すべきかなどの面で提携し動いており、近い将来には、10~15のCBDCプロジェクトについてテスト機能なども含めサポートを提供する見通しだという。
同社は2020年夏に、CBDCをテスト出来るプラットフォームを発表している。
CBDCの発行、配布、取引のシミュレーションが可能になり、中央銀行やその他関連企業などが、CBDCの技術設計を評価し、ユースケースを検証、また既存の決済インフラとの相互運用性を評価できるようなプラットフォームだという。
また、「マスターカードが世界中で受け入れられている場所ならどこでも、消費者がCBDCを使用して商品やサービスの決済ができる」としており、マスターカードの決済ネットワークをCBDCの流通基盤の一つとして利用できるとアピールしている。
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