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ドイツ銀行レポート「今後2〜3年がビットコインの転換点、課題は市場流動性」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインの評価と課題

世界的金融大手のドイツ銀行は、「決済の未来」という連続レポートの中で、ビットコインが長期的に価値を維持するためには、「可能性に対する評価を結果に変える必要がある」と指摘し、今後2、3年が暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の転換点となるだろうと述べた。

ビットコインは、既に時価総額が100兆円を超え、「無視できない重要性」を持つ資産となったと同行は評価。一方で、ビットコインの取引高は、米ドルなどの法定通貨やコモディティ、株式と比較するとまだまだ小さいため、価格変動が激しい状態が続くと予測。このような流動性の低さが、資産クラスとして発展するかを左右する障害になりかねないと指摘した。

ティンカーベル効果:テスラとビットコイン

先週発表された、レポートでは「ティンカーベル効果は自己成就的予言になり得るか?」という題名が付けられている。

ティンカーベル効果は何かの存在を信じているから存在すると提唱するもの。童話「ピーターパン」に登場する妖精のティンカーベルにちなみ「人々が信じる度合いが増すほど、その価値が高まる」という意味を持つと説明されている。

レポートの著者は、現在のビットコインの価値に対する評価は、まさに市場の期待感が反映されたものであり、市場のセンチメントに大きく影響を受けると考察。そして、ティンカーベル効果を一足先に具現化した例として、電気自動車のテスラを例にとり、ビットコインの状況と比較して説明した。

テスラの事例

テスラの時価総額は2021年3月12日時点で6,650億ドル(約72兆円)で、フォードとGMの時価総額合計の5倍にあたる。しかし2020年の販売台数で比較すると、フォードとGMはそれぞれ、テスラの5倍と8倍となっている。

またテスラの販売台数に対する時価総額の比率は、フォードの63倍になるという。

テスラはビットコインよりも5年長い歴史を持つ企業だが、テスラに対する評価は、「一時の流行に過ぎない」という否定的な意見から、「自動車の未来」だと高く評価する肯定派から、常に議論の的とされてきた。しかし、モデル3の発表など、具体的な結果を出したことで、市場のセンチメントは大きく変わったと指摘した。

このようなテスラ社に対する高評価は、自動車市場が今後、電気自動車へと移行すること、そして、テスラがその強力なリーダーとしての地位を維持するとの予測から生まれるものだと、レポートは説明した。

ビットコインの状況

同様に、ビットコインの時価総額は今年3月15日の時点で1兆750億ドル(約116兆円)で、これは流通している日本円の約102%、ユーロの約65%、米ドルの53%、英ポンドの904%に相当する。しかし、1日あたりドル建てで取引されるビットコインの量は、日本円の0.05%、英ポンドの0.06%に過ぎないと指摘した。

取引量に対して、極端に時価総額が高いビットコインの現在の評価の要因としては、今後国境を超えたデジタル通貨への移行が起こること、さらに仮想通貨市場のリーダーとして、ットコインがネットワーク効果の恩恵を受け、将来重要な決済手段となるだろうとの予測が織り込まれていると考察した。

そして、今後のデジタル通貨の動向を注視することにより、ビットコインの将来に対する人々のコンセンサスが形成されるとレポートは予測しており、今後2、3年がビットコインにとって転換点となるだろうと主張した。

大手が参入し始めた仮想通貨決済

レポートによると、2020年の時点で米国の中小企業によるビットコイン決済導入は36%程度で、ビットコインが未だ発展途上にあり敬遠される理由の一つがビットコインのボラティリティと述べた。一方、デジタル決済企業大手のSquareが仮想通貨決済を導入することで、顧客であるEコマース企業が仮想通貨決済に参入しやすい下地を作りつつあるとも説明している。

さらに、決済大手のペイパルによる仮想通貨機能の導入や、クレジットカードの大手2社、VISAとマスターカードも自社ネットワークに仮想通貨決済を導入する取り組みを進めている状況を紹介。

一般消費者に目を向けると、ビットコインの保有の目安となる、仮想通貨ウォレットの所有がこの5年間で6倍(1,100万から6,300万に拡大)になっていると指摘した。レポートは、各国政府が仮想通貨を支持した場合、ウォレットの普及率が、いつ仮想通貨が主流となるかの時期を決定することになるだろうと判断している。

またレポートでは、仮想通貨ウォレットの普及率と、インターネット普及率の規模を調整したグラフ(下記参照)を作成。現在の普及の傾向が続いたと仮定すると、2030年にはウォレットユーザーが2億人に達する可能性があると予測した。

出典:Deutche Bank

CBDCとDiemの存在

ビットコインの決済環境に、上記のような進展がある一方で、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の研究開発が各国で進んでいることにレポートは言及。長期的に見ると、政府が独占している通貨の発行権を放棄するとは考え難いため、決済手段としてのビットコインが法定通貨にとって変わることはないだろうと主張する。

また、約28億人のユーザーを抱えるFacebookが開発中のデジタル通貨「Diem」が、決済コスト削減重視に戦略転換したことにより、ビットコインの強力なライバルになるとも考えられると指摘。仮想通貨が決済手段の主流となるためには、熾烈な競争が待ち受けていると述べた。

大手投資銀行の見解

一方、世界有数の投資銀行であるシティ銀行は、今月初め公開した、詳細なビットコイン分析レポートの中で、ビットコインが将来、国際取引通貨となる可能性を示唆している。

ドイツ銀行同様、「ビットコインは転換点にある」としているが、CBDCが実現した場合に、ビットコインの持つ次のような利点を考慮すると、国際取引に最も適した通貨として選ばれる可能性が高いと分析した。

  • 各国の財政・金融政策の影響を受けない
  • 外国為替取引の必要がない
  • ほぼ瞬時の支払いが可能
  • 取引にはビットコイン保有が前提であるため、デフォルトやキャンセルの懸念がない

このレポートでは、ビットコインの機能は多岐にわたることを詳述しており、決済分野だけで、その可能性を判断する試みには限界があることを示す好例となっている。

関連:「ビットコインは転換点にある」大手投資銀行シティ、国際取引通貨となる可能性を示唆

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