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デジタル米ドルの最新状況 米FRBが読むCBDCの重要性と課題

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

広範なテストにはFRB以外の合意も重要

米国の上院銀行委員会は連邦準備制度の金融システム規制について25日に公聴会を開催。FRBの代表者が出席し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の広範なテストを行う際にはFRB以外の同意も必要だと話した。

また、24日にもFRB理事の一人が、米国のCBDCについて状況を説明している。

公聴会でChris Van Hollen上院議員は、「FRBはデジタル・ドルのパイロット(試験)プログラムを立ち上げるための権限をすでに持っているか? それともプログラム立ち上げには、議会の承認が必要だと思うか?」とFRBのRandal Quarles銀行監督副議長に質問。

これに対してQuarles副議長は、CBDC発行が米国にとって適切かどうかはまだ不明だと留保した上で「広範なパイロットプログラムの実施には追加の権限を要する可能性が高い」と答えた。

CBDCに関して幅広いテストを行う際には、FRB単独では決められず、議会など他の機関からの承認が求められる可能性が高いとの認識を示した形だ。

CBDCが注目される4つの理由

24日には、FRBのLael Brainard理事がCoinDeskの主催したイベントに出席、CBDCについて改めてFRBの認識を示している。

「民間のデジタルマネーの拡大」、「社会における決済デジタル化」、「外国が国際決済にCBDCを使用する計画」、「金融システムから排除される人々への懸念」という4つの動きにより、CBDCの可能性が注目されるようになったという。

「民間のデジタルマネー」は、主に民間企業が発行するステーブルコインを示しているようだ。Brainard理事は、ステーブルコインは新しい決済システムの基盤となる可能性があるが、家計や企業のコストを上昇させるリスクや、ボラティリティリスクがあると指摘した。

「社会における決済デジタル化」については、米国でパンデミックによりデジタル決済への移行が加速しており、今後さらにこの傾向が強まるのかについても予測する必要があると述べる。

「外国が国際決済にCBDCを使用する計画」については、次のようにコメント。

もしある国でCBDCが発行され、クロスボーダー決済に利用されるようになれば、世界全体に大きな影響を与える可能性がある。CBDCが国際決済で重要な役割を果たし得ること、また米ドルの基軸通貨としての役割を考えると、米国が国際決済基準を策定する上で議論に加わることは非常に重要だ。

「金融システムからの排除」については、特に今回のパンデミックで民間人へ救済金を支給する段階で、銀行口座を持たない人々の問題が浮き彫りになったという。口座を持たない世帯へは、小切手などの形で支給を行ったが、プロセスには数週間を要した。このため迅速に低コストで送金できるデジタルな手段の利点が認識された格好だ。

連銀は様々な調査を実施中

このようにCBDCは注目されるが、それを発行するとすれば金融システムやプライバシー保護などの点でリスクもある。米連邦準備銀行は、様々な調査研究を行っているところだ。

例えばアトランタ連邦準備銀行やクリーブランド連邦準備銀行は、金融包摂についての調査を行っている。また、「TechLab」「Digital Innovations Policy program(デジタルイノベーション政策プログラム)」などの学際的なチームは、デジタル・ドルの、決済や清算に関する技術と政策の課題を研究。

ボストン連邦準備銀行は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のデジタル通貨イニシアチブと提携して、仮想のデジタル通貨プラットフォームを構築し、テストを実施している。

関連ボストン連銀と米MIT、7月頃にデジタル・ドルの研究成果を発表へ

デジタル資産の規制

また理事は、暗号資産(仮想通貨)含むデジタル通貨についても言及した。FRBは、デジタル通貨分野の動向を積極的に注視し、業界や他の規制当局と連携しながら、規制や監督上の不足点を明らかにするよう努めているという。

バンキング部門における一つの金融機関の決定は、他の機関にも影響を与える可能性がある。このため、規制当局が協力して、銀行がデジタル資産のリスクを適切に特定・管理していることを確認することが重要だと語った。

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