はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米FRB理事がCBDCの取り組み強化を示唆、民間通貨の普及拡大に懸念

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDC支持派のFRB理事

米連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事は24日、暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーン技術の国際会議、Consensus2021で講演し、FRBが中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する研究と公共の関与を強化していることを明らかにした。

同理事は、テクノロジーの進歩により米国の決済システムが劇的に変化している現状と、外国の金融当局が国際決済におけるCBDCの可能性を探求している状況を、その主な理由としてあげた。

中でも、ステーブルコインなどの「デジタル化された民間通貨」が米国の決済システムに導入されていることに懸念を表明している。

2014年に現職に就任したブレイナード理事は、2016年に規制当局が仮想通貨に関与すべきだと発言した人物で、CBDC研究に積極的な姿勢をとっていることで知られている。

ステーブルコインに物申す

同理事はCBDCを検討すべき要因のひとつとして、まずステーブルコインの役割が拡大していることをあげ、「法定通貨の地位をもたない」ステーブルコインは、消費者や企業をリスクにさらす恐れがあると持論を展開した。

ステーブルコインが広く普及した場合、新たな民間通貨を軸とした代替決済システムの基盤となる可能性があるが、民間通貨による決済は「家計や企業に負担をかけ、コストを上昇させる形で、米国の決済システムの一部を分断するリスクがある」とブレイナード氏は述べた。

さらに、民間通貨の普及は「ボラティリティや取り付け騒ぎのようなリスク」により、消費者保護や金融の安定性の面で、リスクをもたらす可能性があるという。同氏は、民間紙幣の発行が活発だった19世紀の例を上げ、結局はその非効率性や不正、不安定性から、政府が保証する統一された通貨が必要となったと主張した。

CBDCと国際決済

ブレイナード理事は、CBDCの「説得力のあるユースケース」として、国際送金などのクロスボーダー決済の例をとりあげた。デジタル化により仲介者の数が減るため、透明性を高め、コスト並びに時間を削減できると期待できるが、同時に国際的な基準の設定や不正行為防止などの面で、国際協調が欠かせないと述べた。

また、同氏は国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会やG7を通じて、常に海外のCBDC事情の把握に努め、国際的な取り組みに参加していることを明らかにし、次のように述べた。

「ドルが基軸通貨として重要な役割を果たしていることを鑑みると、CBDCに適用される国際基準の策定には、初めから関与していくことが重要だ」

このような発言の背景には、中国が一歩リードしているデジタル人民元の開発があると思われる。質疑応答で米国がCBDCへの移行時期を検討するのに、中国の影響があるのかと尋ねられると、ブレイナード理事は、中国には限定されないが、いかなる(CBDCを利用した)クロスボーダー決済でも「世界中に影響を及ぼす可能性がある」と答えた。

政策面で考慮すべき事項

ブレイナード理事は、CBDCの評価において検討すべき点として、次のような点をあげた。

  • 安全な中央銀行通貨への一般的なアクセスを維持する
  • 効率性の向上 ー 即時決済インフラの導入
  • 競争・多様性の促進と取引コストの削減
  • クロスボーダー決済
  • 通貨や銀行預金を補完する役割
  • 金融の安定性の維持と金融政策の伝達
  • プライバシーおよび金融システムの完全性の保護
  • 金融包摂の拡大

具体的な取り組みとしては、アトランタ連銀とクリーブランド連銀が、官民協力体制のもと、金融包摂に焦点をあてたCBDCの設計に関する研究を行っているという。また、技術面では、ボストン連銀がマサチューセッツ工科大学(MIT)と提携し、デジタル通貨プラットフォームの構築とテストに取り組んでいるとした。このプロジェクトのホワイトペーパーは、来四半期に発表されるとのことだ。

関連:ボストン連銀と米MIT、7月頃にデジタル・ドルの研究成果を発表へ

先週、パウエルFRB議長は、今夏にはデジタル通貨に関する討議資料を公開し、CBDCに対する決済、金融包摂、データ・プライバシー、情報の安全性などの疑問に関して、パブリックコメントを求めると発表した。

関連:米FRB、デジタル・ドルを検討するディスカッションペーパーを公開予定

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/26 水曜日
16:30
MEXC、毎月の準備金監査を導入 Hackenを独立監査人に任命
暗号資産取引所MEXCがブロックチェーンセキュリティ企業Hackenを独立監査人に任命し、毎月の準備金監査を導入。初回報告は11月末に公開予定。マークルツリー方式による検証の仕組みも解説。
15:35
ロビンフッド、予測市場向けデリバティブ取引所を新設 2026年運営開始
ロビンフッドがサスケハナと提携し、CFTC認可の先物取引所を買収。予測市場事業を強化し、2026年の独自取引所運営を目指す。市場規模は2035年までに955億ドルに達する見込み。
14:50
日本の暗号資産規制、具体的な方向性は?──金融審議会WG
金融審議会WGが暗号資産規制の報告書案を取りまとめ。資金決済法から金商法へ移管し、インサイダー取引規制や課徴金制度を新設する。銀行子会社の参入も解禁。座長は「お墨付きを与えるものではない」と強調した。
14:12
仮想通貨企業のベンチャー投資、価格上昇でも活動は低調=レポート
仮想通貨金融大手ギャラクシーデジタルは、2025年第3四半期(Q3)の仮想通貨ベンチャーキャピタル(の現状について、市場心理は改善し活動も増加しているものの、以前の強気相場の水準には大きく及ばないと指摘した。
13:35
F・テンプルトン、ソラナETFの最終上場手続きを完了 まもなく取引開始へ
運用資産255兆円を誇るフランクリン・テンプルトンがソラナETFのForm 8-Aを提出。取引開始が目前に迫る中、既存のソラナETFは20日連続で純流入を記録し、累計858億円の資金が流入している。
13:10
米CFTC、民間企業CEOにイノベーション評議会への参加を呼びかけ 仮想通貨にも対処 
米CFTCのファム代理委員長が「CEOイノベーション・カウンシル」参加者の候補者推薦を呼びかけた。仮想通貨や予測市場の規制策定に向け、業界リーダーを募集している。
11:15
VanEck、BNB現物ETFのステーキング計画を撤回 方針転換に
VanEckが米SECに提出したBNB現物ETFの修正届出書で、当初予定していたステーキング機能を撤回。BNBの有価証券分類をめぐる規制リスクが背景にあるとみられる。
11:05
米上場のリライアンス社、デジタル資産トレジャリーをジーキャッシュ(ZEC)に一本化
ナスダック上場のリライアンス・グローバル・グループがデジタル資産トレジャリーを仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)に統合した。プライバシー機能を持つ仮想通貨への需要が高まる中、サイファーパンク・テクノロジーズも追加購入を発表している。
10:25
予測市場ポリマーケット、CFTC承認受け米国市場に正式復帰
予測市場大手ポリマーケットが米CFTCの承認を受け、3年ぶりに米国市場に正式復帰。2022年の罰金処分後、QCX買収とICEからの投資を経て、完全規制下での事業再開へ。
10:10
スタンダードチャータード銀行、21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定
スタンダードチャータード銀行が21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定された。機関投資家の需要に対応し安全な保管サービスを提供。様々な仮想通貨企業とも提携を進めている。
10:05
「仮想通貨交換業者の販売所誘導に懸念の声」金融庁の作業部会
金融庁は、仮想通貨制度に関する作業部会の報告書案を公開。報告書案には、仮想通貨交換業者の販売所誘導に対する懸念が指摘されているとも記載されている。
07:35
仮想通貨支持派のホワイトハウス経済顧問ハセット氏、次期FRB議長の最有力候補に浮上
ホワイトハウス国家経済会議のケビン・ハセット委員長が次期FRB議長の最有力候補として浮上。トランプ大統領の信頼が厚く金利引き下げ方針に賛同する人物で、デジタル資産市場作業部会で中心的役割を果たしコインベース株も保有。
06:58
米銀大手USバンコープ、ステラで独自ステーブルコインをテスト
米国第5位の銀行USバンコープがステラブロックチェーン上で独自のステーブルコインをテストしている。資産凍結機能などのセキュリティを評価し、バンク・オブ・アメリカやシティに続いてデジタル資産への取り組みを拡大。
06:40
メタプラネット、ビットコイン担保に約200億円を借入れ
メタプラネットは、約203億円の借入れを行ったことを発表。調達した資金は、ビットコインの追加取得やビットコインインカム事業、市場環境に応じては自己株式の取得に充当する予定だと説明した。
06:30
ビットワイズのドージコインETFも承認、水曜日にも取引開始見込み
ニューヨーク証券取引所がビットワイズのドージコインETFの上場を承認した。水曜日にも取引が開始される見込みで、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧