ビットコイン相場と金融マーケット
週明け14日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン価格は、前日比+11.2%の427万円(38,930ドル)と高騰した。ビットコインが前日比+10%を超えるのは稀。
週末相場では、CMEのBTC先物の窓にて1500ドル幅を超えるギャップアップとなり、ひと月ぶりの買い優勢を示したほか、週足では、暴落以降初となる強い形状(長い下髭陽線)が出現。30,000〜31,000ドルで二番底形成後の値動きとして、信頼度高めのトレンド転換を示唆した。
5月中旬の暴落以降、前週・前々週にも大幅反発する場面はあったが、戻り売り圧力に屈する形でいずれも週足確定まで値をキープ出来ず。下優勢・続落継続を示唆する長い上髭に押し戻された。だが、今回はこれまでとは異なる様相を呈している。
相場サイクルにも変化が訪れ、アルトシーズンの終焉(資金抜け)に伴いビットコインの占有率を示す「ドミナンス」は急反発している。過去の相場でも大暴落局面からの回復期では、リスクオフ局面で相対的に安定度が高く、グローバル仮想通貨取引所の基軸通貨でもあるビットコインに資金が一極集中する傾向にあり、「ETH/BTC」の反転でもその流れは如実に表れている。
ただし、現時点では紙一重であり「強気トレンド」の回帰とみるには時期尚早だ。一旦下げ止まり危険水域を脱した格好だが、先月中旬の暴落以降の「レンジ内」を乱高下しているに過ぎないとの指摘も少なくない。40,000〜42,000ドルは強いレジスタンスラインが存在しており、これを超えられるかどうかが目下の焦点となるだろう。
なお、株式など金融市場では、テーパリング議論の可能性が取り沙汰される「FOMC(米連邦公開市場委員会)」を15日に控えていることもあり、リスク資産全般で警戒感も見受けられる。
エルサルバドルの影響
エルサルバドルのビットコイン法定通貨化(法案可決)の影響は、驚きとともに数多くの発展途上国へと波紋を広げ、先週の大幅反発を後押しした。
GDPでこそ見れば経済的影響は限定的であるが、「一国が準備資産として仮想通貨を保有する可能性」が生じた上、他国がこれに追従する可能性があることを含め好感された。
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すでに一部機関投資家は、再び買いに転じているようだ。カナダで承認・上場した「ビットコイン投資信託(Purpose BitcoinETF)」は、ローンチ2ヶ月未満で13億ドル以上まで膨れ上がり、資産運用総額を示す「FUND AUM」は前週比+2870万ドルとなった。
現時点では米国ではビットコインETFは承認されていないが、今後認可されることがあれば機関投資家の呼び水となる可能性が考えられる。
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アナリストのジャスティン・ベネット氏は9日、ビットコイン先物に関して考察したレポートを公開した。
ビットコイン先物市場は、市場の成熟度を推し量る上でも欠かせない存在であり、機関投資家や大口投資家(クジラ)の間口を広げることは市場に新たな流動性を提供することになる。
ジャスティン・ベネット氏は、今四半期のSQである6月25日(日本時間26日)を目処に、市場が底を打つ可能性があるとの見立てを示した。
「過去の傾向を分析すると、先物限月(取引満了月)に向けたポジションに対する反対売買の差益決済取引(オフセット)の影響などを受け、大幅下落局面のSQ後(21年1〜3月)はいずれも反発している。」などと指摘した。四半期(3・6・9・12月)先物の限月は「仮想通貨市場のメジャーSQ」と呼ばれることもある。
第2四半期が始まって2週間足らずで、天井からの大幅調整が始まったことについて「偶然とは思えない(興味深い)」としており、今後も先物市場の影響を注視するとしている。
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