今週の相場の動きは
今週のビットコイン(BTC)市場は、33,000ドル付近を推移し、依然上値が重い展開が続いている。先週末のハッシュレート大幅調整を受け、今週のビットコインのネットワークに不安定さが見受けられる状況が散見された。
各指標の騰落率一覧
7/9(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
7/3〜7/9のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上値の重い展開。9日正午時点で、360万円周辺で推移している。
3日のマイニング難易度大幅下方調整により400万円乗せを試したビットコインだったが、CMEでBTC先物がギャップアップして始まると反落。
その後、370万円で窓埋めを完了し反発するも、人民銀行が北京のソフトウェア会社に対して暗号資産(仮想通貨)の取引に関与したとして業務停止を命じたことや、バイナンスがユーロ建ての入金を一時停止したことが嫌気され、390万円を目前に上値を重くした。
週央からはハッシュレートの100 Ehash/s回復や、イーサリアムのロンドンハードフォーク実装のブロック高が決まったことによるETH相場上昇が追い風となり380万円中盤まで戻すも、その後はEHT相場が材料出尽くしで棒下げとなり、ビットコインも連れ安。
8日にはビットフィネックスで凡そ5,000BTCのショートポジションが積み上がったとの報道を受け、360万円を割り込んだ。
一方、その後はステーブルコインのサークルからSPAC上場の計画が発表されると下げ止まり、9日東京時間で節目33,000ドル(約364万円)奪回を試している。
3日のマイニング難易度調整は-27.94%と市場最大のディフィカルティ易化となった。
これによりマイニングの損益分岐点低下、ブロックタイム正常化、ハッシュレートの復調が見られたが、ハッシュレートの戻りは依然として鈍く、100 Ehash/s周辺で揉み合う形となっている。
短中期の移動平均で見ても、8日終日時点で5日線が25日線を下回っており、「堅調な推移」とはまだ言い難い。
ハッシュレートの急低下と相場がクラッシュした5月は、2018年末の状況とよく似ている。当時も6千ドルから3千ドルと相場は50%ほど急落したが、その後、19年1月から3月にかけて閑散相場で記録的な底ボラティリティが続いた。当時もやはりハッシュレートの底打ちと復調が相場の底入れサインとなっていたが、現状ではもう少しハッシュレートの回復ペース加速を確認したいところだ。
また、今週は米長期金利低下により期待インフレであるブレークイーブンインフレ率も低下した。新型コロナのデルタ株が経済回復の妨げになり、成長に伴う物価上昇観測も後退した格好と指摘される。
こうした中、来週13日は米国の6月の消費者物価指数(CPI)発表がある。4月と5月はパンデミックの影響でベース効果が出やすい期間となり、市場予想を上回る物価上昇率が金融引き締めの前倒しを連想させる結果となったが、来週のCPIではこうしたサプライズが起こる公算は低いか。
チャート上では、ビットコインは320万円から450万円レンジミドルでの揉み合いから下落しており、下限を試す展開が視野に入り、来週は320万円の水準を守れるか否かが焦点となるか。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回レポート:過去最大のディフィカルティ調整で底入れサインとなるか、今後の相場の方向感は
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