VisaがNFT購入
決済大手Visa社が先週18日、人気NFT(非代替性トークン)のCryptoPunks #7610を1650万円(15万ドル)相当で購入していたことが新たに判明した。NFTに対する期待の高まりを象徴する代表的な作品を購入することで、NFT領域への参入を示すとしている。
CryptoPunksの発行元であるLarva Labsの取引履歴によれば、Visa社は先週18日、CryptoPunkのデジタルアセットを49.5ETH(1650万円相当)で購入した。厳密にはVisa社は仮想通貨現物を取り扱わず、仮想通貨カストディ銀行Anchorageがトランザクションを代行、NFTのカストディとして保管を担当する。
CryptoPunksとは
Larva Labsが発行する人気NFTシリーズ。発行数は10,000で限られており、全ての個体が独特の異なる外見を持つ。イーサリアムブロックチェーン上で所有権の証明を行う。
▶️仮想通貨用語集
また、NFT購入の発表に合わせてVisa社は23日、NFTに関する公式ブログ記事とホワイトペーパーを公開。ブログ記事ではVisa社のクリプト部門の責任者であるCuy Sheffield氏が自社のNFTに対する事業展開と、自身の所感を明らかにした。
Sheffield氏は、NFTが「画像、ビデオ、テキストなどのデジタル資産の所有権を表す方法」であると定義。インターネットの台頭以来、大半のファイルが無限にコピーやペースト、そして共有が可能だったため、デジタルプロパティの所有権を主張する方法がなかったが、「NFTは、デジタルメディアの出所、真正性、所有権を証明するために使用できる」と説明した。
また、仮想通貨同様、パブリックブロックチェーン上で追跡、取引できるという共通点があるとしつつ、NFTはビットコイン(BTC)などとは違い、それぞれのトークンは替えが効かない(非代替性を持つ)と改めて特徴について説明した。
購入の経緯
また、Visa社がCryptoPunksを購入した経緯についても言及する内容も見られた。「文化と商業の架け橋となる歴史的なNFTプロジェクト」としてCryptoPunksが果たした役割を認識するためにCryptoPunks #7610の購入を決定したという。
NFTについてさらに学んでいく姿勢を示したい意図があるとした上で、NFTは今後、商業やSNS、エンターテインメントなど幅広い分野で重要な役割を担うと分析しているため、その上で顧客や提携企業にも導入を勧めるためにはまずはNFTの購入と管理、そして利用におけるインフラ基準と深い理解が必要であると言及した。
また、Sheffield氏は今回のNFT購入を通じてNFT分野の今後を支えるNFTクリエイターやコレクターおよびアーティストへの支持を表明する狙いもあったという。VISAとして、様々な場面でNFTの利用性とアクセスを高めていきたいとして、今後も今後もNFT関連の取り組みを行なっていくことに意欲を見せた。
文化としてのNFTに対する期待と新たな機会を象徴するNFTを集めたかったとVISAのコレクションを引き合いに、NFTの購入を祝うコメントもSheffield氏は行なっている。
Visa社は、商取引や決済の歴史に精通した企業ですが、未来にも目を向けている。今回のCryptoPunkの購入は、この分野での当社の取り組みの始まりに過ぎない。
Visa社としての見解
Visa社としてNFT領域に関する見解については、これまではNBA Top Shotなどスポーツ・コレクタブルとしての勢いがあるしつつ、長期的にはイベントなどのチケットやゲーミング音楽、アートなど様々な分野での活用が可能であると予測した。
ミュージシャンが音楽アルバムを発行するNFTを一例として挙げ、アートとして展示するほか、ファンとのエンゲージメントやライブのパス、限定コレクタブルの所有権証明など様々な用途が可能であると高く評価している。
今後の展望
Sheffield氏はVisa社は安全なコマースを提供することがミッションであると述べ、これは新たなデジタルコマース領域でも対象になるとコメント。NFT領域にVisa社の見識を活かし、シームレスで安全なデジタル決済環境の提供を目指すとした。
短期的には企業やブランドのNFTに対する理解を深めることの重要性に言及しつつ、NFTの現状や、今後の可能性を示すためにホワイトペーパーをリリースしたことを明かした。
さらに、長期的にはNFTのバイヤー、セラー、クリエイターをサポートするために、新しいコンセプトやパートナーシップに取り組んでいるとして、今後数ヶ月間でさらなる情報を公開していくとしている。