イーサリアム上の供給量でUSDTに匹敵
イーサリアム・ブロックチェーン上のステーブルコインUSDCの総供給量は、テザー(USDT)を初めて上回ったことがわかった。この背景には、分散型金融(DeFi)でのUSDC利用が増えたことが挙げられている。
現在、Etherscanによると、イーサリアム上で、USDCの総供給量は約400億5,000万枚であるのに対し、USDTの総供給量は398億3,000万枚だ。USDCとUSDTは共に、米ドルと価値が連動するステーブルコインだ。
その他のブロックチェーンも合わせた全体的な総供給量は、依然としてUSDTがUSDCを上回っている。一方で、イーサリアムのブロックチェーンは両方のステーブルコインの成長に大きく貢献しているものであるため、そのチェーン上でUSDCがUSDTに追いつき、逆転したことは注目される。
USDCとUSDTは、イーサリアム(ETH)のほか、ソラナ(SOL)やトロン(TRX)、アバランチ(AVAX)などの様々なブロックチェーンで利用可能だ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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DeFiで需要増加するUSDC
USDCが成長した主な理由の1つとしては、分散型金融(DeFi)市場での利用が大幅に増えたことがある。ステーブルコインは、分散型取引所での取引や、DeFiプロトコル内でのイールドファーミングなど、様々な機能に使用されている。
USDCを発行する米サークル社の広報担当者によると、最近の暗号資産(仮想通貨)市場における変動も、USDCの成長を後押ししたという。広報担当者は、仮想通貨メディアThe Blockに次のように話した。
仮想通貨市場が上昇または下落する両方の局面で、USDCへの需要増加が見られる傾向がある。とりわけ、大きな動きがある時には顕著だ。
市場が上昇する時には、投資家が仮想通貨取引所に法定通貨と連動する価値を持ち込む手段としてUSDCを活用するため、需要が増加する。逆に市場が下落した時には、ボラティリティの高い資産を売却して、USDCのようなステーブルコインに変換する投資家が増えるという。
USDTは中央集権型取引所で需要
一方で、テザー社のパオロ・アルドイノ最高技術責任者は、USDTの需要は主に、中央集権型取引所のユーザーと機関投資家によってもたらされていると述べた。その点、DeFiプラットフォームで主に供給量を増やしている、USDCなどの競合ステーブルコインとは異なると説明した格好だ。
アルドイノ氏は最近の状況について、仮想通貨市場の弱気なセンチメントにより、機関投資家からのUSDT需要は減少していると続けた。個人投資家からの需要は、トルコとラテンアメリカなどインフレが高まる国では増加しているという。
ブロックチェーン全体で見ると、USDTの総供給量は、USDCのそれを上回って推移している。CoinMarketCapによると、USDTの現在の時価総額は約9兆円、USDCは約5兆円だ。
USDCの供給量は過去3か月にわたって、ゆるやかに増加しているのに対し、USDTの供給量はやや停滞している。