ARK Invest、ステーブルコインに注目か
米大手ヘッジファンドARK Investは13日、独自で運用する上場投資信託「ARK Fintech Innovtion ETF」で、新たに「Concord Acquisition Corp」から6万9,300株を取得したことがわかった。購入金額は約7,060万ドル(80億円相当)。
Concordは未上場企業の買収を目的として設立された特別買収目的会社(SPAC)。ARK InvestがConcordの株式を取得するのは、米ドルのステーブルコインUSDCの運営企業であるCircle社が昨年7月、Concordとの合併を通してニューヨーク証券取引所への上場を目指す計画を発表したことが背景にある。当時、合併は昨年第4四半期の予定と報道される一方で、上場時期については明らかにされていなかった。
SPACとは
SPACとは、「Special Purpose Acquisition Company」の略で、「特別買収目的会社」と訳される。その企業自体は特定の事業を有さず、未上場企業の買収を行うことを目的とする。
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ARK Invest
ARK Investは、この数年で目覚ましいパフォーマンスを上げ、ウォール街で注目されているヘッジファンド。ハイテク、フィンテック、ロボット工学、ヘルスケア、クリプトなどの分野でイノベーションを推進する企業に投資する複数のETFを運用している。
今回Concordをポートフォリオに加えた「フィンテック・イノベーションETF(ARKF)」はフィンテック銘柄を中心としており、最大の保有銘柄はBlock(旧Square)、ペイパル、アリババ、Zillow、Pinterestなど。現在このファンドの運用資産は40億ドル(約4,570億円)と見積もられている。
またARK Investは、これまでビットコイン関連ETFの申請も行っており、昨年6月にはビットコインETF「ARK 21Shares Bitcoin ETF」を、10月にはビットコイン先物に投資する「ARK 21Shares Bitcoin Futures Strategy ETF」の目論見書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。
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ステーブルコインと規制
米国では中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行の可能性に関心が集まる中、民間発行のステーブルコインについては連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長をはじめ、連邦議員らが規制の重要性について声を上げている。パウエル議長は、CBDCと民間ステーブルコインの共存を容認する発言をしているが、規制については繰り返し、厳格な枠組みづくりの必然性を訴える立場を貫いている。
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米ドルのステーブルコインは複数あるが、Circle社が運営するUSDCはテザー(USDT)に次ぐ第2位のステーブルコインで、時価総額は現在約5兆円だ。
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一方、昨年10月、Circle社がSECから「保有資産・顧客プログラム・運営」に関する情報及び書類の提出を要求されていることが判明した。同社は捜査の理由については明かしていないが、SECに全面的に協力しているとのことだ。
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新しいステーブルコインも
規制当局からの監視が強まる傾向がある中、新たなステーブルコインも誕生している。米国の銀行団体「USDFコンソーシアム」は12日、パブリックブロックチェーンを利用したステーブルコイン「USDF」を発行すると発表した。
また米決済大手のペイパルも独自のステーブルコインを開発中であることが報道されている。